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『巨星ジーグフェルド』を見たのでジーグフェルドについて少し書く。

『巨星ジーグフェルド』を見た。
少しネタバレ書くよ!
と言っても伝記映画なので歴史でネタバレしてるんだけど。

以前、ジャズエイジの記事を書いてからも20世紀前半についていろいろ読んでたけど、アマプラに古い映画がたくさんあって、その中にジーグフェルドの伝記映画があった。
見ようと思って1年が過ぎて、ようやく見た。
3時間あるからなかなか踏ん切りがつかず、放置してたらnoteも放置してた(Phasmophobiaにハマってたのも理由の一つ)。

さて「ジーグフェルドって誰よ?」。
↓この人

彼がブロードウェイでプロデュースし続けたレヴューが『ジーグフェルド・フォリーズ』↓


自分の名前を冠したショーをブロードウェイでやりまくってたっていう、20世紀初頭のエンターテイメント産業において重要な人物って認識。

ジーグフェルドの時代の音楽産業のメディアは舞台とシートミュージックとレコード。
舞台の興行収入とそこで歌われていた曲の楽譜とレコードがメジャー音楽産業の中心だったと考えてる。
音楽を大衆(ここで言う大衆は都市部の中流以上の白人と考える)に向けて発信していたのが舞台だったんじゃないかなぁ。
その中心がブロードウェイ。

そのブロードウェイで自身の名前を冠したレヴューを1907年から1931年までやってたってのはとんでもないことだった。
ジーグフェルド・フォリーズに出演して、後にハリウッドで活躍した俳優にエディ・カンター、ボブ・ホープ、ウィル・ロジャース、マリオン・デイヴィス、などがいる(うちの母がボブ・ホープを知ってるくらいなので、わかる世代は相当上よね)。
とにかくスターを売り出すことに長けていた。

亡くなって数年でド派手な伝記映画がつくられるって、とんでもないよな。

では何故、これだけのことをやっていた、伝記映画まで作られた人物が忘れ去られているのか?

実はこの伝記映画が現代の価値観では非常に良くない表現が入っている。
ブラックフェイスのショーが普通に入っているのだ。
この時代(ジーグフェルドの時代においても、映画が制作された時代においても)ブラックフェイスのショーは普通に見られていた。
しかし現代の価値観では人種差別的表現であり、許されるものではない。
アカデミー賞を受賞したこの映画も、この時代の価値観により忘れ去られる運命だったと考える。

ジャズエイジはフラッパーの出現などで女性の自立がうたわれるようになった時代であるが、男性向けのセクシーなショーが中心だったので、女性を見世物にしていたと見れる。
ショーに出ていた女優と愛人関係だったという記述がちらほら見れる(映画の中でもかなりの女たらしという感じだった)ので、その辺りでも現代では問題のある人物と思われるんじゃないかな。

公民権法が制定されるまで、人種差別は公に認められていた。
ジャズエイジは特に禁酒法によるマフィアの台頭などで、悪徳の時代のイメージがあるように思える。
その時代のプロデューサーだし、この時代で記録に残っている娯楽が中流以上の金持ち向けだったから、今は残ってないのかなぁというのが個人の印象。
単に100年くらい経ってるから、人々の記憶から失われているというのもあるけど。

映画の最後に破産して亡くなる直前のジーグフェルドに執事が「あなたの功績はこれからずっと人々の記憶に残る」的なことを言っていたけど、ほとんどの人に忘れられている。
娯楽ってのはどんな記録媒体があっても、時代で忘れ去られるもんなんだなぁと思った。

映画自体は舞台装置がとにかくすごくて派手。
そんな表現するのかってくらいすごい。
しかし人に勧めることは無いなぁ。
3時間あるし、差別表現あるし。

そういう人がいたんだなぁと自分が知っていればいいや。

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