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鯨を待っている6月

毎月最終日!一本集中!

タイトルは「鯨」からの一節。映画 犬王 の挿入歌です。マジで良かった。音に合わせて躍動する身体の美しさがスクリーンに詰め込まれていて泣いた。
歌うことは自分の身体の解放であり、身体を動かすことは自分はここにいるという意思表示であり、それがそのまま平家への鎮魂や祈りになる。観衆の思い思いの動きが、ばらばらの個でありながら一体感を生んで波及していく。身体を介して伝わる熱とうねりが、語られない歴史を一人一人に根付かせてゆく。
死者を思うことが多いが身体を動かし声を出すことは憚られる昨今だからこそ響いたのだ。欲望のままに集まって声を出すスクリーンの中の観衆が興奮の坩堝にいて、声を出せない映画館にいる自分がどれだけ抑圧されているかを浮き上がらせるようだった。気づいたら泣いていた。

犬王では名前に重要な役割が与えられていて、主人公は友魚(ともな)から友有(ともあり)と名前を変える。大切な人のためを思って名乗りを変える切実さに息を呑んだ。

名前を変えることから連想して宮脇咲良さんの話をする。数年前の東京ゲームショウでゲーミングPCの小さなブースに出演していた「宮脇咲良ちゃんねるのさくちゃん」はもういない。今は「ルセラフィムのkkura」だ。kkuraオンニなのだ。もちろん別人ではないが、呼ばれたい名前を身に纏うことで新しい自分を装う。bayfmでラジオ番組を長年担当していても、ルセラフィムのANNXが初出演になる。だってkkuraだから。秋元康領から脱出したからには世界的スターになって欲しい。ブチ抜いてくれ。

そしてkpop界隈などでも言われている(と思う。ここは予防線でぼかしておく)口から音源 という褒め言葉について。これは本当に褒め言葉だろうか……と思うことがある。

口から音源が褒め言葉として成立する為には、ライブで聞いたら音源より下手なアーティストがいることが前提になる。これを前提にするのがちょっと悲しいが、まあそりゃいるだろうよ、とも思う。キー下げするアーティストだって大勢いるし、リリースから年月が経てば機材や声が変わる、メンバーが変われば譜割りが変わって慣れないフレーズを歌うことになるのは当たり前の話だ。

私は音源よりライブが好きで、ライブでしか聞けないものに価値があると思っている。ゲスの極み乙女なら ロマンスがありあまる のドラムから始まるライブ用イントロが一番好きだし、RADWIMPSの 君と羊と青 は長いコールアンドレスポンスがないと物足りない。サンボマスターの 世界はそれを愛と呼ぶんだぜ に至っては、山口さんが泣いている観客を見つけてわざわざ演奏を止めるのだ。「泣いてる奴がいるからさ、そいつが笑うまで待ってんだ」なんて、まさしく愛と平和の体現者だと思った。サンボマスターなどが出演するドリエンライブのラインナップがめちゃくちゃ好みだが、金欠でチケット購入に踏み切れない。いいかげん働かなくてはと思うが、低い時給と昼夜逆転がモチベーションを押し下げる。

口から音源と褒められる為には極限まで磨かれた声帯があってこそだ。久しぶりに聞いても、音源から何年経っても、声に年月を感じさせない もしくはより若く聞こえる(Fukaseさんと西川アニキが好例)為に、どれだけの研鑽が積まれてきただろう。歌うたいが鳴らす身体には弛まぬ努力が宿っている。日々鍛錬しいつ来るかも分からぬ機会に備えよ。伴虚無蔵の言葉が刺さって抜けない。朝ドラも基礎英語も1日15分だ。

少しでも英語に触れようと思うが流れてしまう。にじさんじENライバーの、まずは切り抜きから見るようにしたい。でも佐久間さんに触発されてゴットタレントの動画はちょっとずつ見ている。ケイイチさんゴールデンブザーおめでとうございます。
たまにはガツンとレベルを上げてNYTデイリーのローウェイド判決のポッドキャストを聞きたい、いざとなったら再生速度遅くすりゃいいし、と思って、気づいたら数日経っている。

日々の鍛錬が花開いたのはなかやまきんに君もBPLの選手も同じだ。もちろんプロ棋士も。恐ろしいほど研ぎ澄まされ、1ミス1点差が勝負を分ける最高峰の戦いはまさに真剣そのもので、鋼の切先が見えるようだ。本編を見て震え、敗れた選手の眠れないというツイートを見てまた震える。BPL、アツい、ヤバい。

そろそろ1時間なので締める。
生活が急速に貧しくなって一番最初に狙われるのは食べ物と娯楽だ。ガムの捨て紙が小さくなったことを細田議長は知らないし、吉川議員が辞職せずにボーナス受給したことを多くの人は知らない。堂々と公開されている自民党の改憲4項目も実質増税のインボイス制度も知らないまま、単純接触効果で与党に票が行く。嘘言うだけで勝てる選挙なんて為政者側は楽でしょうがないだろう。20代は人口が少ないから投票率が上がってもひっくり返すほどの数が集められない。それでも選挙に行く。大阪は維維自公で無風なんて思いたくない。これもエコーチェンバーと思いながら、それでも選挙に行く。

ムロさんの「私は面白がりたい。だから投票します。」という言葉が救いに思えた。山下達郎さんの「文化が続くためには平和が続くように努力しなければならない」という言葉もずんと響く。面白いものを減らさない為に、私も投票します。選挙、行こう。

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