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そもそも魔王って倒さなきゃ駄目なのか?【第3章 ラスン救済編 21】

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―バミラのアジト 牢屋―


マサアキ
HP 45
MP 0
LV.9



あぁもうっ!!いい加減取れよそれ目隠し!イライラするわ!

そして早くどけお前!

ガッ!!
【マサアキは目隠しに手をかけた!】


「や、やめてくれ!わかった!わかったから、自分でやらせてくれ!頼む!」

「僕にはまだ…刺激が強いんだ……」


何弱々しい声で誤解が発生するような事言ってんだ!

お前この状況を看守は勿論、他の誰かに見られでもしたらどうす──!

「………えぇそうですね…見損ないました…マサアキさん…」


ほら見ろ…!早速マサアキさんが見損なわれてるだ

……ろう……が??


「…………どーも……お楽しみの所をすみません…」

…………


「頼むから服を着てくれマサアキ!」


サー…
【マサアキは血の気が150下がった!】


「ち…違うんだ!聞いてくれリリアル!え、ってゆーかなんでリリアルが!?と、とりあえず冷静に聞くんだ!俺とこいつは何でもなくて、俺は暑いから裸で、こいつは目隠ししないと駄目だから、そのまま肩車で通気口を調べてたらこうなったんだ!」

【マサアキは混乱している!】


「……あぁいや……マサアキさん…私なら大丈夫ですよ?…」


何が大丈夫なの!?


「…分かってます…分かってますから…」


何が分かったの!?


「…しかし…囚われてもなおここまで欲望に忠実だと呆れるを通り越して恐怖ですね…世の女性のために即刻去勢をすることをお勧めします…」


一つも分かってねぇだろうが!


「…あ…なんなら私が今…直々に去勢して差し上げましょうか?…丁度道具なら揃ってますから…」

スチャ
【リリアルは羅刹を装備した!】


まてまてまて誤解なんだって!早まるな!


「…誤解?…では説明して頂きましょうか…聞きますよ…」

「…もっとも…マサアキさんが上半身裸で何やら可愛らしいお嬢さんに目隠しをさせ馬乗りにされているこの状況から私を納得させられる説明が出来ればですが…」


あぁ!一から十までしてやるよ!

まず第一に!こいつは男だ!


「…お…男!?…男性なのですか!?…」


これだけでひとまずはセーフだろ!?


「…ぶっちぎりでアウトです!…」




「────…なるほど…つまり私の勘違いだったのですね…安心しました…」

「…てっきりラスンでは女性陣の目があり抑えつけられていた性欲がここにきて爆発したのかと思いました…ところ構わずに…」


ところ構うわ、捕まって牢屋だってのにそんな余裕あるわけねぇだろ


「…まぁいいです…マサアキさんを訴えるか否かの審議は追い追いにするとして…とりあえず今はこの牢屋からマサアキさん達を出す事を先決としましょう…」


おいやめろ、誤解は解けたろ訴えるな

ん?……もしかして、いやもしかしなくても

騒がれてた侵入者って……お前?


「…侵入者?…いえおそらく違うかと…」

「…侵入者とは一般に敵の領分へと不法に入り込むことを指します…私は堂々と真正面から入ってきたので適用されないはずです…」


お前だろ!?何だその屁理屈!

何で来た!あぶねぇから帰れ!家で寝てろ!


ガチャガチャ…!
【リリアルは牢屋の錠を調べている!】

「…開きませんねこれ…鍵もたくさんあってどれがこの牢屋の鍵か分かりません…」


聞けよてめぇは!!帰れよ!


「…嫌です…私はあなたを助けます…」


この意地っ張りが…!!


「み~~つけたぁ!」


「………!…」
………っ!!


「おらぁ!!」

ドフ…!
【魔族の兵士はリリアルを蹴り飛ばした!】

【リリアルは16のダメージを受けた!】


「……うッ!…」


「手間かけさせやがってこのくそアマぁ、なんだ?お友達を助けに来たのか?」


「……えほ!…えほ…っ!…」


リリアルっ!!


「俺らをさんざん引っかき回してくれた礼、たっぷり返させてもらうぜ」

「さぁ、どこから斬られたい?お前」


スチャ…!
【魔族の兵士は斧を装備した!】


おいやめろ!頼むからやめてくれ!!

俺のことはいい!逃げろリリアル!!早く逃げてくれ!!


「………はぁ……マサア…キさん…」


「女性の君っ!!」


「……?…」


「そこに袋があるだろう!僕の装備一式…剣があるはずだ!取ってこちらへ投げてくれ!」


……レノン?


「早急に頼む!助かりたいのならな!」


「……っ!…」

ガッ!
【リリアルはレノンの剣を手に入れた!】

レノンの剣


ヒュッ…!
【レノンの剣をレノンへ投げ渡した!】


パシ…!
【レノンは剣を装備した!】

「うむ、懸命な判断痛み入るぞ」


お前、ここからそれ一本で何を…!


「あぁ?何する気か知らねーが、おせーよ!」

「こいつは終わりだ!」

【魔族の兵士の攻撃!】


や…!

やめろーーっ!!




「伏せろ!マサアキ!!」


あ…!?


ギュム…!!
【レノンはマサアキの頭を踏みつけ地面に叩きつけた!】


がふ…!?

【マサアキに4のダメージ!】


霊光れいこう魔技!来光刃〔ライコウジン〕!!」


パァァァァ…ッ!!
【レノンは来光刃を放った!】


「……っ!?なんだこの光は…!?」

「くそっ!目が…!」


「…うぅ…ッ!…」


【剣から発せられた強い光が辺りを包む!】




──
──────
──────────



ァァァァァ………!
【光は徐々に弱まっていく!】



「──────……っち!」

「……この野郎…目眩ましか?小賢しい事しやがって!」

「こんなもん、わずかに寿命が延びただけじゃねぇ……」


グラァ…

「………か…」


バタン…!
【魔族の兵士は倒れた!】


「ふん、わずかだと?」

ガラガラガラ…!!
【牢屋の檻が音をたて崩れ去った!】


「貴様程度を仕留めるなど、それだけあれば充分だ」


「………!…すごいです…一体何が?…」


いやほんと……一体…何があった…?


「女性の君、大丈夫か?」


「…あ…はい……あの…」

「…どこのどなたか存じませんが助かりました…ありがとうございます…」


「礼には及ばないさ、こちらも君のおかげで助かったのだしな」

「マサアキの仲間なのだろう?ならば名乗ろう」

「僕の名はレノンだ。よろしく頼む」


「…初めまして…近隣のラスンという村で見習いシスターをやっているリリアル・フェザードと申します…よろしくお願いします…」


「うむ、リリアルだな」

「しかしこんなところに一人で忍び込むなど、可憐な容姿とは裏腹に見上げた度胸だ。称賛に値するぞ」


「…か…かれ…///………ありがとうございます…」

「…えと…あ…!お…追っ手が来るかもしれませんね!…早くこの場を離れましょう!…」

ガッ…!
【リリアルは小石につまづいた!】


「……きゃ…!…」


「おっと!」

ガシ…!
【レノンはリリアルを支えた!】


「やれやれ…慌てん坊の子猫ちゃんだ。ふふ…!」


「…はいぃぃ…///…す…すみません…///…」

プワァァァ…!
【リリアルとレノンの周りは桃色に包まれている!】


え―……あれ??作品間違えたかな?何だこれ?

主人公って誰?俺って何?


ドクドク…
【マサアキは頭から流血している!】


こんな扱いあんの?



「さて、ん?マサアキどうした?」


いやぁ……あはは

お前すげーんだな、最高にかっこいいよレノン


「何だいきなり……気持ち悪いな」


あ、リリアル大丈夫?


「…………どちら様ですか?…」


そりゃないんじゃないの!?誰でもいいから少し位俺にもスポットライトを当ててくれ!


「ふざけている暇はないぞマサアキ、助けたい仲間がいるのだろう?」

「リリアルが言った通りこのままでは追っ手が来るだろう、グズグズしていては敵に囲まれてしまうぞ」

「まずはここから早急に出よう」


あ、あぁ…それはそうなんだが…

何なんだ、この釈然としない気持ちは…



「だ、誰かいるのか…!?」

「お願いだ、助けてくれ!」

「ここから出してくれ!頼む!」


……?…何だ?


「ふむ、僕たちと同じく囚われている者たちだな」

「先を急ぎたいところだが、これでは無視もできない」


ジャラ…
「…牢屋の鍵なら一応ここにありますよ…おそらく全部です…」


よし、んじゃソッコー手分けして開けるぞ

半分貸してくれリリアル


「…はい…」


【リリアルはマサアキに牢屋の鍵を渡した!】


ヒュン…ヒュン…!
【レノンのは壁に向かって歩きながら、軽く剣を振るった!】

ガラガラガラ…!
【レノンは牢屋の檻を全て破壊した!】



「……はぁっ!」

ドゴォ…ッ!!
【レノンは魔力を込めた掌で壁に大穴を開けた!】


ブワァァァ…!
【レノンの周りに魔法陣が浮かび上がった!】


「召喚魔法!僕との盟約に基づき献身するのだ!」

「出でよ!霊鳥れいちょう モウラン!」

ボン…!
【霊鳥 モウランが現れた!】

モウラン



《クァァァァ…!!》


「しっ!静かにするのだモウラン」


《クゥ……》


「そう、よしよし良い子だぞ、ふふ…!久方ぶりだなモウラン」

「この穴から外に出て、ここにいる人たちをそれぞれの村へ帰してやるのだ、できるな?」


《クァ…!》


「うむ、頼むぞ」

「あ、すまない二人とも、何か相談していたか?」


ブン…!
【マサアキとリリアルは鍵を投げ捨てた!】


いや別に…
「…いえ別に…」


「……?そうか」


「…マサアキさんマサアキさん…一体何者なのですかあの方?…スペックが高すぎて怖いです…危うく惚れかけました…」


俺だって知りてーよ…!!なにあいつ…!?何であんなのが捕まってたんだよ…!

あ、やべえ…なんか落ち込むわ…今だけ泣いていい?

俺居る価値あんのかなあ?


「…自分を卑下しては駄目です…私はマサアキさんの良いところをたくさん知っていますよ…」


……例えば?


「……例え?……あぁ…例えば………」

「……ほら…あの………えぇ…っと………」

「………案外…力持ち?…」


……つらっ



「「「「本当にありがとうございましたぁ!」」」」


「うむ、次は気を付けるのだぞ皆の者!達者でな!」


《クゥアッ…!》

バサバサ…!
【モウランは飛び立っていった!】


「……よし、これでここでの長居は無用だな」

「さぁ行こうマサアキ」


お…おぅ…


「…どうした?変な顔して」


え…変な顔してる俺?


「あぁ、苦虫を噛み潰したような…そんな顔をしているぞ、大丈夫か?」


だ、大丈夫!大丈夫!そんなことねぇって!


「ふむ、ともかく気を引き締めていくぞ。牢から出れたとて、まだ安泰ではないのだからな」

「むしろ危険なのはこれからだ」


……あぁ、分かってるよ


「………あの…すみませんマサアキさん…少し…」


あん?


「…………あ…いえ…」

「…やはり何でもありません…行きましょう…」


……?おぅ



―バミラのアジト 解析の間―

解析の間


「ふわぁ~~あ…ねむ……」

「ったく、ただ待ってるだけってのも楽じゃねぇぜ。なぁルーボ…」



「こ…これは…一体…!」

ピピピ…!
【グリルのステータスが表示されている!】


「はん…?どうした?」


「バミラさん…あなたの魔力の最大許容数値、いくつでしたっけ?ちなみに俺は2200です」


「あ?最近計ってねぇけど一番新しいので確か…3800とかだったな」


「驚かねぇで下さい。このガキ……28000超もの魔力をこの体に収めることが出来るようです」


「……っ!何だと…?」


「28000というと戦闘部隊デモニックアーミー2番隊隊長、もしくは1番隊の隊員クラスです」

「末恐ろしいガキですよ全く…先程のはおそらく、内に秘めていたこの力の一部が暴走した形だったのでしょう」

「上手く自分で引き出せていないのは、不幸中の幸いと言ったところです」


「はん!さしずめ着火されてねぇ爆弾ってか?大いにおもしれぇじゃねぇか」


「おもしろくねぇっすよ…目を覚ました時このガキがまたやらかしてアジトもろとも爆破オチだなんて、俺嫌ですからね」


「逆に考えろ、俺様達は今圧倒的な戦力を手に入れた状態って事だ。このガキの力を利用すりゃあ戦闘部隊での昇格も夢じゃねぇ」

「それどころか規律だなんだ堅苦しい組織の枠から外れて、俺様達だけでこの世界を手中に収めることも出来るかもしんねぇんだぜ?こんなに楽しそうな事はねぇだろ」


「……!そ、そうか!そうですね!バミラさん頭良い!」


「はん…!よせよ、照れんぜルーボ」


バタン…!
【解析の間の扉が勢いよく開かれた!】


「大変ですバミラ様!」


「あぁ?」


「例の侵入者が捕らえていた者の一部と手を組み、牢屋の連中を全て逃がしました!」


「…………うってかわっておもしろくねえニュースだな」


「申し訳ありません!」


「おう」

「んで、どうすんだ?」


「あ…は、え?」


「牢屋の連中全員逃がしちまった。ごめんなさい」

「それはもう分かった分かった、そんで?」


「え…あの…」


「どう落とし前つけんだっつってんだよ!今ここで死んどくかぁ!?」


「すす、すみませんッ!!」


「謝って欲しいんじゃねぇんだよ!んなこと報告してる暇あったらそいつらとっとと血祭りにあげてここまで持って来いや!」


「は、はい!了解しました!!」


「ちっ!侵入者はたかだか一人だってのに使えねえ屑どもが、てめえらに任せんじゃなかったぜ」

「おいルーボ、俺様も行ってくんぜ。これ以上俺様のアジトでのびのびと活動させてたまるか」


「ん~……それじゃあ俺が行ってきますよ」

「データ採取も粗方済んだし、デスクワークばっかりじゃストレス溜まっていけねぇです」


「んじゃあ俺様と二人で行くか?どっちが先に殺れるか勝負しようぜ」


「いえ、バミラさんはここで待機していてください」


「はん?何で?」


「これは単なる俺の憶測ですが、侵入者と手を組んだ連中ってのはおそらくラスンでの青年でしょう」

「勢力を拡大させこのガキを奪い返しに来るつもりかもしれません。となるとここを留守にするわけにはいかねえです」


「あるか?あいつの事結構な勢いでボコったぜ?万が一にもねぇと思うが」


「万が一でも備えとくに越したことはねぇです。連中逃がしてガキまで取られたらいよいよ俺らの負けでしょう?」


「……分かった、んじゃ任せたぜ」

「ただし、行くからにはしっかり仕事してこいよルーボ」

「おめえの腕は信用してる」


「どーも、言われねぇでもそのつもりです」



〜To be continued〜

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