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そもそも魔王って倒さなきゃ駄目なのか?【第3章 ラスン救済編 16】

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ー活気を失った村 ラスンー




バミラが現れた!


【マサアキのHPが回復していく!】


……?付けられた傷が治ってく、何でだ?



清めの塩


シュワァァ…!
【清めの塩の効果は消えて無くなった!】


これは…修道院に入る前、自分に振りかけた塩?治癒効果もあったのか



マサアキ
HP 90
MP 0
LV.9


……助かったぜ、今はアイテムの持ち合わせも無かったしな


「さ~て、んじゃあ先手必勝行かせてもらうぜ。頼むから一発KOとか冷める展開だけは勘弁しろよな!」

ドンッ…!!
【バミラは勢いよく突っ込んできた!】


くっ…!


「おぉォォォらぁァ!!」


【バミラは鋭い蹴りを放った!】

ガッ……!!




【マサアキはバミラの蹴りを受け止めた!】

【マサアキに4のダメージ!】


「………………はん…?」


いっつ……!

ん…にゃろう…っ!!


こうげき ◀︎
とくぎ
ぼうぎょ
どうぐ
にげる


ブン…!!
【マサアキの攻撃!】


「……!?お……」

サッ…!!
【しかしヒラリと身をかわされてしまった!】


「………っと?」




マサアキ
HP 86
MP 0
LV.9


はぁ…はぁ………!


「お前……」


【バミラの攻撃!】


うっ…!?


ガッ…!!
【マサアキはバミラの攻撃を受け止めた!】


ガツ…!ガガッ…!!
【マサアキはバミラの攻撃をかろうじて受け流している!】


「…おほ!?なんだなんだ!?お前結構やれんじゃねーか!クソ雑魚野郎だと思ってたぜ!正直な!」


……ッ!ち…!うお…!?

こうげき
とくぎ
ぼうぎょ   ◀︎
どうぐ
にげる


【マサアキは身を守った!】


ドッ…!
【マサアキは大きく飛ばされた!】

【マサアキは5のダメージを受けた!】


ぐっ…!はぁ…はぁ…ッ!


「ま、動きはだいぶ荒削りだけどな」

「けどいいんじゃねーの?人間風情が思ったよりも動いてくれるもんだから俺様ちょっと感動してるぜ。一発入れただけで泣き喚いて失禁しながら命乞いでもすると思ってたからな」


…随分な過小評価をありがとよ

けどこれくらいじゃ俺をチビらすことは出来ねーよ。師匠と比べたらまだまだ手ぬるいレベルだしな


「はん…?なんだ?お前、俺様と同じくらいつえーやつとやりあったことがあんのか?」


まぁ…な


「へぇ……おもしれぇな…!」




そう……半年

たった半年間だが、俺にはこんなやつよりよっぽど悪魔っぽい人間と共に修行をした過去がある。対人戦ならその時にさんざんやって来た

思い出したくもねぇ。村娘が笑顔で「組手よ!組手!!」と言う度一体何度死の縁を見せられた事か

立ってる間は余裕のサンドバック、ボコボコにされ地面にひれ伏し、終わらねーかなと気絶したふりをしていると瞳孔を確認され、意識があるようなら最低限の回復を施されたのち、また無理矢理立たされる

基本はこのループだった。組み手じゃねぇわこんなの

正直修行中は生きてる心地がしなかったな…………だが

案外超絶スパルタも馬鹿に出来ねーみたいだ。しっかり効果は出てる

熊の時みたいに体格に差もある訳じゃねーし、人型相手ならまだやりようはある。ビビって体がすくみさえしなければ手も足も出ない内にやられることはない…と思う

接近戦に関しては……だけどな

そんなことより問題は…


「お〜し!じゃあ若干テンションも上がって来たところでお待ちかね、種も仕掛けもないマジックショーといくかぁ!?なぁおい!」

ブワァァァァ…!
【バミラは自身の周りに魔法陣を展開した!】


これ遠距離攻撃だよなぁ






────村娘が言ってたことだ。

魔法を使う奴は、必ず相手と一定の距離を空ける。規模の大きい魔法は自分にも被弾する可能性があるからだ

だから逆に言えば、発動する前に距離を詰めちまえば相手は魔法を使うことが出来ない


だったら、やることは決まってる……けど

うは~……おっかねぇ~


「はん…! 舞台の準備は整った! ……あ?」

ダッ……!
【マサアキはバミラに突っ込んでいく!】


捨て身の特攻大作戦!

一見自殺行為に見られがちだが、これが今の俺にとっては最良の手段だ

つーか、これ以外に奴の魔法を対処する術がねぇ。危険だろうが無謀だろうが、魔法を使えない俺はどのみち手が届く距離まで近付かねーと何も始まらねーんだよ!!


「なんだぁ? なんの捻りもねぇ突進か? せっかく楽しくなってきたってのにつまんねぇ真似すんなよ」


ボォ……!
【バミラは火の玉を放った!】


……!? はやっ……!

ジッ……!
【マサアキは7のダメージを受けた!】


……っぶねぇ~! 少しかすった!! あちあちぃッ!!


「客参加型のマジックにはちょっとはえーだろ? 慌てんなや」


……へへ、悪かったな

俺の村、ド田舎だからマジックショーなんか見る機会全然なくてよ、マナーもへったくれも無いんだわ

だから、もっと近くで見させてくれよ…!

ダッ……!!
【マサアキは再度バミラに突っ込んでいく!】


「はん……! また突進か? ワンパターンな野郎だぜ」

「まぁいいぜ、じっくり見せてやるよ。俺様の所までしっかり来られたらなぁ!」


ボボボッ…!!
【無数の火の玉がマサアキを襲う!】


マサアキ
HP 74
MP 0
LV.9


【マサアキは火の玉を掻い潜っていく!】


「おらおらおらッ!!踊れ踊れ!」


ボッボッボッ…!!
【バミラは火の玉を打ち続けている!】


う…ッ!

【マサアキは15のダメージを受けた!】


【マサアキは18のダメージを受けた!】


……〜~ッ!………何発かはもらっても仕方ねぇ。大体全弾避けろって方が無理だ

直撃さえ避ければいい、あとは被弾しながらでも進む事だけ考えろ…!


「どうあっても近づきてぇって訳か?」

「はん…!ならこいつはどうだ?」


ダン…!!
【バミラは魔法陣を踏みつけた!】

ゴゴゴゴ…!!
【魔法陣から大きな岩石が飛び出した!】


はぁ!?マジかよ!?


「行くぜ、うまく避けろよ?地裂ぢれつ魔法!クレイグストライカー!!」


ガコッ…!!
【バミラは岩を蹴り飛ばした!】

ちぃ…!無茶苦茶だぞ!くっそ…!!


ドゴォォォォォ…!!






「……しまった…少し速すぎたな今のは、もしかして終わっちまった?」

「おぅ、生きてるか~?人間」


【バミラは辺りを調べた!】

【しかし何の反応もない!】


「……………死んだなこりゃ…あぁ~力加減ミスったぜ。せっかく良い遊び道具を見つけたと思ったのに、勿体ねぇ~」


パラパラ


「はん…!けどまぁいい、壊れやすいおもちゃなんかどっちみち要らねぇや」

「最後に死体の面ぐらい拝んでやるとするか」


ヒュン…
【バミラは魔法陣を収束した!】


「……!………居ねぇ…」


………おい


「………ッ!?」


誰が壊れやすいおもちゃだよコラ…!





接近戦で重要なポイント?


「そ、あなたは何だと思う?」


お前の思う重要なポイントだろ?

あれじゃないか?いかに相手を面白おかしくねじ伏せるか常に頭で考える事



「あ~…ダメね、全然ダメ」


え、ちげーの?


「違うわよ。何で私に対してそんな野蛮なイメージ持ってるのよもう、40点!」


40点はくれんのか…


「いい?接近戦の基本はね──」


マサアキ
HP 41
MP 0
LV.9


……相手は攻撃しにくく自分は攻撃しやすい位置取りを瞬時に見極め、そこに素早く踏み込む!そしてぇ…!


頸動脈をかっ切るのが一般的なのよ」


頸動脈を……ってこえーな!どこの世界の一般論だよ!お前だけだそれは!


俺のありったけを全力で叩き込むっ!!

とくと味わえこれが村娘から"まぁまぁ”の大絶賛を頂き、血ヘドを吐きながら死に物狂いで習得した必殺…!


「……!!」


こうげき
とくぎ  ◀︎
ぼうぎょ
どうぐ
にげる
トキオリコンシン  ◀︎
やめる


ドッ…!!
【マサアキの渾身の一撃!】


「……ッ!!」

【バミラに29のダメージ!】





……一応必殺とはぬかしちゃいるが、実際この技はその名の通りで成功確率が異様に低い

7~8回やって1回上手くいくか、いかないかぐらいのもんだ

なので失敗したらどうしようと一瞬懸念したが……

当たった……タイミングも手応えもばっちりだ

少しは効いただろうがよ


「……は…!」


……!


「ぎゃはは…!!なんだこりゃあ!?ぎゃははは…!!」


何だよ…どういう事だおい…

俺は笑えるツボを突いたつもりはねーんだけど


「……ぎゃはははは…!……………はぁ〜ぁ…」

「…てぇ……」

ブワァァァァ…!!
【複数の魔法陣が二人の四方八方に浮かび上がった!】


……ッ!?なっ…!まさか…!


「いってぇなぁァァァ…!クソがぁッ!!」


これ…まず…!!


ドドドドッ…!!
【魔法陣から岩石の雨が降り注いだ!】







───はぁ……!はぁ…っ!

いっつぁ…!


【マサアキは7のダメージを受けた!】


マサアキ
HP 34
MP 0
LV.9


……っぶねぇ…っ!!咄嗟に魔法陣が無いところへのダイビングヘッド

あの状況でそんな冷静な判断が出来た俺を誰か褒めてくれ……五体満足なのが奇跡だぜ…マジで


パラパラ……
【マサアキの目の前は大量の岩石で埋め尽くされている!】


何て野郎だ……自分ごと魔法をぶっ放してくるなんて

死んだか?自滅覚悟って事で……いいんだよな…?


【マサアキは様子を窺っている!】


くそ、土煙が立ちすぎてどうなってんのかいまいちわかんねーな……

奴の安否が確認できねぇ。これはもう少し近づかねーと


と……まぁ、普通の人の思考は大抵こうだろうな

しかしこのマサアキ、そんな安易な行動には決して出ません

知ってんだ俺は、こういうシチュエーションでやったか?て言う時ほどやってない事を

不用心に近づいて痛い目を見るなんてベタな真似はしねぇ。ここは煙が晴れるまで焦らず待ってリスクヘッジといく

ビビリだなんだと笑いたいやつは笑えばいい、戦場では臆病者ほど生き残るってのはよくある話だ

……実際は経験ないから知らんけどな




…………

チラ…
【マサアキは遠くから様子を窺っている!】


…………

チラチラ…
【マサアキは遠くから様子を窺っている!】


はっ……自分の小心者っぷりに笑っちまうぜ……

だがこれでいい、無茶をしないで座して待つ

命を大事にするならこれが一番安全に決まってんだ


しっかし、相手も相手で動きねーな。もしかして本当に自滅したのか?


…………

……………


………も、もう少しだけ近づいてみようかな…?

10歩……いや、あと5歩!5歩だけ!


…よ、よーし!



……と、まぁこれが辛抱強さが欠乏している者の思考だ


しかしご安心ください皆様、このマサアキご存知の通り10年に渡る理不尽な二択を迫られ続けても精神壊す事なく耐え凌ぎ続けたという、強靭な辛抱強さを持った実績があります故

万が一にも血迷って、これ以上近づくという事は天地がひっくり返っても──

ドパァン…ッ!
【土煙の中から勢いよくバミラが飛び出して来た!】


「はん……!」


はぁんっ!?





くっ…!

こうげき
とくぎ
ぼうぎょ
どうぐ
にげる


「おっせーよ!!致命的になぁ!」


ガッ…!
【バミラは片腕でマサアキの喉元を締め上げた!】


う……っ!…え…


「よぉ…!最っ高だったぜさっきの一撃、見事にきれいに頂いちまったよ」

「こりゃ、お返しをしねーとなぁ」


はは……そんな大したもんじゃないんでお構い無く…


「はん…!」

パァァァァァ…!!
【バミラは掌に魔力を集めている!】


い…!?いやいや冗談だろ!

この距離はねーよ!!


「おら、ジタバタすんな狙いにくいだろうが」

「もがいた所で逃げられやしねぇって、チェックメイトって奴だ」


……ッ!!


「まぁまぁ聞けや、お前は人間にしては良くやった」

「この俺様相手に一発食らわせたんだ。誇りに思うといいぜ」

ビカ…!
【バミラは魔力を最大まで溜めた!】


「だが…一つ教えといてやるよ。半端な実力は死期を早めるだけなんだってな、こんな風によ」


ぐ…!マジ…ヤッベ…!


「はん………!あばよ」


優秀な人間凡人


ドッッ…!!!
【バミラの攻撃!】





【マサアキは大きく吹っ飛んだ!】


……………………!


ドサァ…
【そのまま力無く地面に倒れ込んだ!】


「……終了、っと」

「やれやれ、思いの外手間取っちまったぜ。全く俺様も暇じゃねぇってのによ」


「さて…これからどうするか。傭兵派遣の首謀者の特定と野郎若い男の回収をと思ったが、色々予定が狂って何だか面倒くさくなって来たな。ルーボも帰しちまったし」


……ゴ……ほ……


「………!」



マサアキ
HP 1
MP 0
LV.9



…………ぁ……は……ぁ……


「あいつ……まだ生きてやがんのか、俺様の拳は直撃したはずだぜ?」



【バミラはマサアキの様子を窺っている!】


は……ぁ……はぁ……


「はん……!なんだ虫の息じゃねぇか」

「へへ、苦しいだろ?俺様が今すぐ楽に──」


「…………いや待てよ?ふんふん……あーそっちのが都合いいか」

こいつを本部に送ってやろう。諸々の手間も省けるしな」


……お…………く……?


「拘束魔法 キャプチャーキューブ」


ブゥー…ン……
【マサアキは立方体の箱に閉じ込められた!】


……………!


「おっと大丈夫だ。逃げないように保険をかけただけ、まぁその体じゃどっちみち無理だろうがな」

「一応言っとくがそいつは内側の攻撃をそっくりそのまま跳ね返すからな、頼むから無駄な抵抗はすんなよ。死んじまったら価値が無くなっちまう」


……だ………せ………


「焦んなくてもアジトに着いたら出してやるよ。それまで大人しくしてろ」


……ち……き…

………っ…


【マサアキは気を失った!】


「はん…?おいお~い」


………


「あ~らら、頼むからそのまま安らかに死ぬんじゃねぇぞ」

「うっし!じゃあ帰るか、早くしねぇとくたばるかもしんねぇしな」


【バミラはラスンを出た!】




ザワザワ……
【子供達は避難した家の窓から外の様子を窺っている!】


「ねぇ見た?見てた?」

「うん、あれって確かリリアルお姉ちゃんといっしょにいた」

「えと……マサ何とかさん」

「そう!マサ何とかさん!」

「バミラにつれて行かれちゃったよ?大丈夫かなぁ?」

「凄いグッタリしてたね」

「この事リリアルお姉ちゃんに知らせた方がいいかな?いいよね?」

「そうだね。リリアルお姉ちゃんマサ何とかさんはお客さんだって言ってたし。しゅーどーいん行く?」

「うん行こう、早く行こう!」



〜To be continued〜


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