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「RSI・ワンツーパンチ」理論
RSI(Relative Strength Index:相対力指数)は株・FXトレードでの超絶人気のインジケータである.前回の記事で,その定義が誤解されることがあることを書いた.本稿は,なぜRSIの70%以上や30%以下が相場の加熱感を表すものとして扱われるのかについての簡単なメモである.ワンツーパンチというのは水前寺清子のヒット曲「三百六十五歩のマーチ」の歌詞の一部である.
RSIの定義を見ると,
$$
\begin{align*}{}
RSI&:=\frac{S_1}{S_1+S_2}
\end{align*}
$$
となっている.ここで,$${S_1}$$と$${S_2}$$はそれぞれ考えている期間$${N}$$日(簡単のため日足で考える.$${N=14}$$とするのが普通)における終値ベースで測った「上昇価格の合計」と「下落価格の合計」である.また,実際にソフトウェアなどで用いられるRSIは上式を100倍して百分率(パーセンテージ)表示したものである.
70%と30%が節目として扱われるが,本来は,66.6…%と33.3…%に深い意味があるようだ.まず,66.6…%について見てみよう.RSIが66.6…%ということは,定義に遡れば,
$$
\begin{align*}{}
%RSI_{33.3\cdots \%} &= 0.333\cdots = \frac{1}{3} = \frac{1}{1+2},\\
RSI_{66.6\cdots\%} &= 0.666\cdots = \frac{2}{3} = \frac{2}{2+1}
\end{align*}
$$
ということである.これを定義式と見比べれば,$${S_1:S_2=2:1}$$に対応することがわかる.これは,$${N}$$日の値動きを平均してみたとき「定期的に半値の押し目を作りながら進む上昇トレンド」を形成していることに相当する.そして,この値動きを擬人化して言えば「2歩進んで1歩退がる〜🎵」である(本家の水前寺清子は「人生はワンツーパンチ!3歩進んで2歩退がる〜🎵」であるが,これと同一視する).この「2歩進んで1歩退がる」状況が「安定的な上昇」と捉えるのがRSIの哲学である.
同様の考え方をすればRSIが70%というのは
$$
\begin{align*}{}
RSI_{70\%} &= 0.7 = \frac{7}{10} = \frac{7}{7+3}
\end{align*}
$$
であるから,「7歩進んで3歩退がる〜🎵」であり,これは明らかに前に進み過ぎ(もしくは退きが足りない)で,「不安定な上昇」なのである.
つまり,70%に深い意味はないが,66.6…%(ちょうど良い安定的な上昇)より大きい中で一番小さいキリのいい数字ということで,70%が選ばれているだけである.そもそも(そもそもオジサン出動),RSIにも$${N}$$というフリーパラメータがあるので,あまり数値に拘っても意味がないことを考えれば,このチョイスは合理的である.
同様に,33.3…%は「1歩進んで2歩退がる〜🎵」($${S_1 : S_2 = 1 : 2 }$$)という「安定的な下落」であるが,30%は「3歩進んで7歩退がる〜🎵」に相当する「不安定な下落」ということで,売られ過ぎの目安とされるのである.
RSIの定義はよく誤解されているので,RSIを極めたい人は次の記事もどうぞ.