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初めてのカメラ

「趣味は多かったな〜、全部完璧にやってたな」

特に好きだったのは、写真、旅行。
国内で見るところ多いから海外には行かん、と言っていたのに、一回行ったら海外旅行にもはまったらしい。
私が小学生の頃、夏休みには一緒に旅行をするのが恒例行事で、クリスマスプレゼントにはデジタルカメラを買ってもらった。撮ってる姿が羨ましかったんだろうな。紅葉を見に行った日、ほしいものを聞かれて、めずらしく自分からリクエストしたように思う。私の初めてのカメラ。

たくさん写真を撮ってもらった。生まれてから、入学式、運動会、発表会。何でも見にきてくれた。日付を伝える前に、行くって即答だったとか。
中学生の私が楽器を始めたなら、音楽番組を録画して、遊びに行くたびにかけてくれた。ちゃんと見てなかった。反省してます。
中学入学から大学の最後まで、私の演奏会には皆勤だったんじゃないかな。ランドセル姿は見れないと言ってたみたいだけど、しっかり就職まで見てもらった。

絵本、袋いっぱいのお菓子、ちょっとだけ当たった宝くじ、海外土産で名前入りのキーホルダー、方位磁針、電圧計、百科事典、
趣味の中からも、たくさんもらった。探せばどんどん出てくるアルバムをめくるのも好きだった。

おじいちゃんが今月亡くなった。
弱っていると聞いて、明日は施設に会いに行こうかと言っていたところで、迎えた朝に。一晩、家に帰ってきたじーじの横で、ごはんを食べて、一緒に写真を撮った。少しずつ弱っていくところを見ていたから、怖くはなかった。
じーじとばーばの家に集まって、晩ごはんを食べるのも毎月のことで。今年のお正月、じーじが家に帰ってきて、すき焼きと鍋をしたのが、みんなで集まった最後になった。その日の家族写真を棺に入れた。湯灌やお化粧をしてもらって、お花に包まれて、すごくきれいだった。
足止めされるほどの雨の中、私たちは濡れながら移動した。じーじと一緒に外に出たときだけ、晴れ間がのぞいていて、すごいなあとみんなで笑った。

めったに会うことないから、と、親戚のお兄ちゃんお姉ちゃんがおこづかいをくれた。もう働いているけれど素直に嬉しくて、ぱーっと使いやと言ってもらったとき、ほしいと思ったのはカメラだった。スマホですぐに撮れるけど、今度は自分で、二代目のカメラを買ってみようかな。旅行の写真も、日常の写真もたくさん撮りたい。思い出を残せるのは素敵なことだ。

思い出話をすると、じーじの趣味の話が必ず出てきた。人生、面白いことまだまだあるんだろうな、楽しまないとな。でもまた自慢してもらえるように、仕事も頑張ってみようか。ほどほどに。

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