22:15
家の鍵を忘れた。
今朝はわたしが仕事で先に家を出た。
泊まりに来ていた彼からは、昼頃地元へ帰ったとLINEが入っていた。もちろんきちんと鍵を閉めて。
わたしの、オレンジのキーケースは、家の中。
気が付いたのは、愚かしくも退勤後。激しく動揺して、彼に電話した。
「合鍵を持っていく、すぐだからまってて」
あ、うそ、ちがう、ちがうの。
そんなつもりで、電話したんじゃなくて。
ただ、笑い飛ばしてくれればよかったのに。
そりゃ、あわよくば一緒に解決策を考えてくれないかな、くらいは思っていたけれど。
慌てふためき、やめて、いいよ、ご両親に咎められるだろうからと伝えても、「もう外にいる」って。
これじゃあ、ただの迷惑な彼女じゃないか。
嬉しい、申し訳ない、きもちが交互に行き交う。駅前で突っ立って、涙が溢れていた。
彼が来てくれるまで、あと1時間半。
せめて、朝ごはんはちゃんと作ってあげなくては。