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好きな人に好きな人が出来た時、私はどうする?

活字中毒。

そこまでとは言わないけど、常に何かを読んでいたい。
読んでいたいと云うよりも、読まないと眠りに入れない。

それ、睡眠導入剤的な役割じゃない?
というのを否定しないわけでもない。

でも、読みたいのだから許しておくれ。

実際、読み始めて三行で眠りに落ちることもあるのだから、睡眠導入剤としてはかなり効き目が高いと云うのは否めない。

しかし、読み始めて気がついたら空が明るくなり始めていて、慌てて本を閉じることもある。
が、案の定、興奮していて眠れない。

プラマイ、ゼロ。

でも、読みたいのだから許しておくれ。


全く知らなかった作家、加藤元。


タイトルのみに惹かれて手に取った。
目次を見て、各章の名前の付け方に興味が湧いた。
最初の数行を読んで借りてみた。

よくある「恋愛がうまくいかない現代人」の悲喜交々だろうなと思いながら読み進めると、少しだけ匂いが違う。

確かに「コミュ障あるある」というべき、意思の疎通の食い違い。いや、そもそも意思の疎通を望んでないだろう相手との会話にイライラする。


あ、少しばかりこの作品とは離れちゃうんだが、、、、

この成立しない会話へのイライラがコミュ障の人間にとっては、またもやコミュを障害する一因なんだろうけどね。んなことたぁ、こっちだって分かってるさ。
一言だけ言わせてもらえば、「コミュ障なんです」とさえ言えば何でも「じゃあ、しょうがないね。無理に話さなくてもいいから」で解決すると思わんでくれよ。自分の怠惰を、面倒臭いを「コミュ障」という免罪符でシュレッダーにかけられると思わんでくれ。


この作品に戻ろう。


主人公は一貫してる(当たり前か、主人公だから)が、主人公を取り巻く人間たちが変わっていくことで、視点(思考や哲学や宗教や、要するにその人その人にとっての正義)の違いがあるから、主人公に対する距離とか感情とかが色々と変化する。
そういう手法は別にこれといって新しいことでもないが、この作品はそこに少しだけ、本当にほんの少しだけだが、なんだかミステリー臭があるから新鮮に感じるのかもしれない。
いや、ボクが普段あまりミステリーを読まないから新鮮に思っているだけなのかな?
だとしても、ボクには新鮮だったから、それでいい。

タイトル通り「好きな人ができた」ことによって、物語は動いていく。主人公も動くし、周りの人間たちも動かされていく。


面白い作品、売れる作品というのは読み進めるほどに主人公に感情移入するか、逆に嫌悪感を覚えるか、そういうことが多いように思う。
ボクの場合、この作品は読んでも読んでも主人公への心の距離が変わらず、周りの人間の誰かしらに共感し、心寄り添わせたくなる、というか「この人と話してみたい」と思った。

最後、というか物語の最終章に当たる部分が、なんだかモワ〜っとしてるというか、ちょっと強引というか、尻切れトンボというか、、、、
前半〜中盤に散りばめられている色んな伏線を回収しないまま、一気に作者だけしか追いつけないスピードと、作者だけに見えているゴールに向かって進んでしまったのが残念。
そこが万人に「あぁぁ、、、、そういうことだったのか」と言わせられると、きっとミリオンセラーになるんだろうな。
いや、別にこの作品がミリオンセラーになる器じゃない、ということではなく、ボクが感じたこのモヤモヤはおそらく他の人も感じる何かしらの違和感なんじゃないかな、と思うだけ。

でも、この作品を読めたことはすごく良かったし、面白かったのは事実。
タイトルから想像できうる、スウィートでラブリーな世界観じゃなかったのも良かった。

一般の書店だったら買わなかったかもしれないな、という作品に出会えるのも図書館ならではのメリット、醍醐味だ。


「好きな人ができました」って人。
「好きな人ができました」って言われた人。
どちらの人にも読んでもらいたいな。

あ、もちろん、そういうのとは関係ない人もね。


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SOMETHING WRONG MAGAZINE (The Seventh Ghost Records) / TLGF
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