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10年越しに無印「ラブライブ!」を見た感想【μ's】

○はじめに

 皆様こんにちは、タロウです。TVアニメ「ラブライブ!」を見たので、その感想を書きます。

2013年に第1期、2014年に第2期、劇場版が2015年にそれぞれ公開された「ラブライブ!」は、当時高校生だった筆者の周りでも大流行していました。放送でμ’sの曲が流れたり、放課後で踊ってる人がいたりと、オタク文化の枠を超えた盛り上がりが間違いなくあったことは今でも鮮明に覚えています。

 しかし、当時2次元アイドルコンテンツに全く興味がなかった筆者はアニメの1話、曲の1つも触れることはなく、その隆盛を遠くから眺めるのみ。当時の自分には今ほどのフットワークの軽さは備わっていなかったし、そもそも興味のないことに時間を割こうとも思えなかった。私はあの頃を生きていながら、あの頃のことを全く知らない…


そして、10年の歳月が過ぎこんな台詞を使うことになるとは


2023年末に開催された異次元フェスで「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ」に出会い、遂にラブライブとの縁を結んだ筆者。


そして、この記事を(たぶん)読んだ五穀米プロダクションCEO・佐々木裏たぁが放った一言が


 私を駆り立てた。以前にも述べたとおりta_rin0922_0607の"rin"は星空凛のそれであると言われているほどであるが(諸説あり)、彼は大学の入学式前日に「ラブライブ! μ's Final LoveLive!〜μ'sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜」1日目に参加、入学式が被った2日目は午後の説明会をその日に知り合った人にぶん投げてLVで見届けたという逸話を持っているほどの人物。
 (ちなみに、同じ頃の私は大学の近くに見つけたココイチでカレーを食べてブラックマジシャンをゲットしていました)(私は出なくていい説明会だったので安心してください)

えっこれそんな前!?


閑話休題。彼の言葉は自分の中で妙に引っ掛かった。引っ掛かったということは、動機に結び付く興味が既に湧いているということ。『興味を持った』、なら…

 この1カットを見るまでに10年を要するとは…

 かつて、入学式とファイナルライブがバッティングした者がいた。かつて、いつの間にかLINEの一言が「ラブアローシュート!」に変わっていた者がいた。かつて、謎の映像で実家の録画HDDを満杯にしていた者がいた。耳を澄ませばそこら中から「にっこにっこにー♪」が聞こえてきた日々。

 多くの人の心を虜にした「μ’s」とは。かつての私が踏みいれなかった「ラブライブ!」の世界とは。答え合わせをするのはまさに「今」…そんな気がする。

 以下は、そんな気持ちで一気見した感想をまとめたもの。結論からいうと「この物語に出会えてよかった…」という気持ちでいっぱいです。


○第1期

 主人公・高坂穂乃果が音ノ木坂学園の廃校を阻止するため、幼馴染の海未、ことりを巻き込んでスクールアイドルを始める。嵐のように幕を開けた第1期の物語は、色々なもの――とりわけμ’sを――「始める物語」だったように思います。

 第1話、マジで衝撃だったな… 知らなかった…唐突にミュージカル始まるの…


 
それにしても第1話でミュージカルやる作品なんて仮面ライダー響鬼くらいだろうと思ってたよ

なんでそこが繋がるんだよ

というか「ススメ→トゥモロウ」がラブライブの曲名だったことすらこの時知った。私の知識量はほんとうにそのくらい

 記憶朧げだけど確かにそういう人がいた気がする…やはり東大前で踊る等したのだろうか



 そんなミュージカル時空に拠らずライブをするようになるのは第3話。まさか一切の客が来ないというどん底のファーストライブ。視聴者目線だから「あぁ、これが他6人の今後へのフックになっていくんだな…」って思えるけど、穂乃果・海未・ことり視点で考えてみるとその衝撃と恐怖が身に沁みるようで…
 しかし、茫然とする3人の前に花陽が現れる。ここ花陽来なかったら歴史変わってたまであるんだな

 客はたったの1人。ファーストライブ、やるか否かというところでしたが、穂乃果の心を奮い立たせるにはそれで充分。

「やろう!」「歌おう!全力で!」という言葉とともに曲が始まる。タイトルは…「START:DASH!!」!!!!!!!


 辛く厳しい現実から逃げずに、とにかく頑張って立ち向かっていく穂乃果たちの姿。始めるか、始めないかの岐路に立たされるという、かなりシビアな状況の中でも1歩を踏み出した穂乃果たちがあまりにもかっこよすぎる回でした。


 二つ目は第8話。絵里、希が加入して"9人のμ’s"が完成する回。同じ思い・夢・理想を持っていても、必ず交われるとは限らない。手をつなぐためには1歩でも前に進むきっかけが必要で、穂乃果や海未、希の言葉で、絵里が自らの心を振り切る、というお話でした。
 この回で流れる「僕らのLIVE 君とのLIFE」がμ′sの1stシングルだったというのは当然知っている筈もなかったため、のちにめっちゃ驚きました 海未がキーパーソンとして動いてたのはオリジナルのMVオマージュだったか…

 中盤で仲間になってずっと強かったなこの人…

 
 9人揃ったμ’sの活躍によって、廃校の危機を脱して当初の目的を達成してしまった穂乃果。(あれ?これからどうするの?)となった筆者でしたがこっからが正念場だった

 第11話~13話は、穂乃果のオーバーワークとことりの留学という、平行して進んでいた問題たちが一気に表面化。廃校問題が解決したことで、今後スクールアイドルを続ける意義についても考えなくてはならない。前ばかり見て他の事が疎かになっていた穂乃果、そんな彼女に相談できず抱え込み、留学の話を飲んでしまったことり。μ’sも活動を停止。

 ラブライブは辞退、ことりも抜けて、でも廃校阻止という当初の目的はもう達成している。穂乃果が言ったように、ここでμ′sを畳む選択肢は当然浮上してくるわけだ…


結論、穂乃果はギリギリでことりを連れ戻し、9人の「START:DASH!!」と共にμ’sは復活を果たす訳ですが、この一連のストーリー、穂乃果・海未・ことりの心情と、解決に至るまでの論理にめちゃめちゃ感動しました。これがラブライブ!か…


・穂乃果は周りが見えなくなっていて、それが現況を引き起こした一番の原因です。でも、「今」一番大事なのは、「貴方がどうしたいか」ということ。

・ことりは穂乃果に相談して、留学する私を引き留めてほしかった。皆と一緒にいたいが、結果はそうならなかったので、これから飛行機に乗ります。でも、「今」一番大事なのは「貴方がどうしたいか」ということ。

・μ’sは目下の課題も、メンバーも失ったのでこのまま終わるのが自然です。でも、「今」一番大事なのは「貴方たちがどうしたいか」ということ。

 復活ライブは、第3話の体育館。曲は「START:DASH!!」…しかも9人バージョン!?
 穂乃果は(穂乃果だけでなく、他の皆もだけど)自分を見つめ直す中で、スクールアイドルが大好きで、仲間たちが大好きで、だから続けるんだ!という本当の気持ちに気づけた。目的のためじゃなく、好きだからやる。だからもう一度「START:DASH!!」なんだね…良すぎだろ………


 あと、空港のシーンで「ススメ→トゥモロウ」は反則だと思います。穂乃果に手をつかまれた時のことりの表情とかも…あのシーンが1期で一番好きかもしれない。歌詞のひとつひとつが突き刺さってくるんだよな…

 ちなみに、ことりママが留学先に土下座している様子は是非サブチャンネルをご覧ください(この辺りのリアリティラインをミュージカル時空要素で調整してるのが何気に巧いわ)


 楽曲の話でいうと「No brand girls」がお気に入り。何故か聴いたことがある気がするが真偽不明。勢いがあってめちゃ好きです。ライブとか盛り上がっただろうな…
 第10話ラスト、この曲を踊ってる途中でぶっ倒れるのか…と思いきやちゃんと最後までやり切ってからぶっ倒れた穂乃果に驚愕。強制負けイベントに紐付く楽曲ではあるけどそれ以上に衝撃的で逆に笑ってしまった

○第2期

 ラブライブ優勝という目標を掲げ日々を過ごすμ’s。穂乃果たちはその中で多くの人の思いに触れ、また自分たちの抱える思いに気づいていきます。
 この第2期は再スタートに至るまでを描いた第1期とは対称的な、終わる選択に至るまでの物語。
 とはいえ本質的な部分は全く変わっていない気がする。彼女たちの日々と選択を始点からみるか、終点からみるかの違いなのかなと思ったり。


 第1期と比べるとオムニバス形式の話が多かった印象。各メンバーの掘り下げ回を通して、過去回の描写が補完される場面も結構あって面白かった。

 そんな第2期のクライマックスのひとつは第8話。ラブライブ最終予選を前に「皆でラブソングを歌いたい」と提案する希。彼女のバックボーンが描かれる中で、9人の気持ちが究極的に一つになっていくストーリー。

 第1期から見えないところでμ’sを支えてきたのは、彼女自身が仲間をとても大事に思っていたから。最終予選に挑む曲は、9人で作った曲がいい。ささやかな願いを抱えた彼女の思いを、かつて希に助けられた絵里と真姫が受け取って皆につなげていく流れも含めて美しすぎる…


 この回、希の言葉を直接聞いたのは絵里と真姫だけだった。でも、それ以外のメンバーにも同じだけの思いが伝わっていた。9人の思いは既にひとつになっているんだというのが言葉にせずともわかるのがめちゃくちゃいい…


 そしてラストシーン。外はが降っている。最終予選、曲…まさか…ここで来るのか…!?


 第9話は最終予選当日。生徒会の仕事をやってから会場に向かう穂乃果たちだったが、猛吹雪で交通網が麻痺、大会参加そのものの危機に陥ってしまう。
 これまでの苦難は穂乃果たちが自分たちで頑張りまくって乗り越えてこれたけど、これは彼女たち自身の力ではどうしようもない。観てる側としても「え…?これどうすんの…?」と冷や冷やする展開でした。

 そんな彼女たちを救ったのがなんと音ノ木坂の生徒たち。確かにそうだ…スクールアイドル活動を通して廃校の危機から学校を救い、それを果たしてなお生徒会長として学校のために尽くしている。そんな人が困っているのだから…そりゃ助けたくなるのも頷けるわ…

 して、第8話の最初で触れられた「ラブソングをどう歌うか」という問いの答えは「沢山のありがとうを込めて」「大好きを大好きなままに」と結ばれる。話を締め括る楽曲は「Snow halation」

 正直、2期の最終話!みたいな超クライマックスで来るのかと思ってただけに中盤で来たのが予想外だった。そもそもこの曲がアニメ化より前にあった曲(2ndシングル)だったのも後から知ったんだよね


 でも、この曲が2024年現在においてもμ’sを代表する曲であり続けている理由がわかった気がする。積み重なれどやがて消えていく"雪"と、限られた時間を全力で駆ける彼女たちの姿は強く重なる。halationの言葉が示すとおり、眩しすぎるほどに澄み渡っている感情の強さに、多くの人が心を打たれたんだ…


そして、ついに迎えるラブライブ決勝編。


あぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 第10話では、A-RISEに勝利しラブライブ決勝進出を決めたμ’sが、そのキャッチコピーを考える中で、応援してくれる皆と一緒になって頑張ってきたからこそ、夢や目標をひとつひとつ叶えてこられたことに気づく。決まったキャッチコピーは「皆で叶える物語」。皆のために頑張ること―――廃校の阻止という目的―――から始まったμ’sは、応援してくれる皆の力を借りて最終予選を突破し、いざ決勝の舞台に立とうとしている。

 そして続く第11話。ついに「決勝戦が終わったら、μ’sはどうするのか」という命題に向き合う回がきた。いうまでもないことだが、絵里、希、にこの3年生組は今年度で卒業するため、来年度以降「この9人」によるμ’sを続けることはできない。メンバーを変えながら続けるのか、或いはここで終わらせるのか。去る立場である絵里は、残る1、2年生に答えを委ねる。


 6人が場所として選んだのは、9人以外誰もいない海。それぞれが出した答えは皆同じだった。


「大会が終わったら…μ'sは、おしまいにします!!!!!!」


 歌うこと、踊ることが大好き。スクールアイドルが大好き。ここまでμ’sを支えてくれた皆のことが大好き。でも、そう思えたのはμ’sが「この9人」だったから。


「皆で叶える物語」という言葉が示すように、μ’sは沢山の人たちに支えられてここまで来た。そんなμ’sの在り方を維持しながら活動を続けることだって、十分に意義のあることだ。それが一般に採るべき選択であるならば尚のこと。

でも、彼女たちはこれまでも「貴方はどうしたいか」という視点に立ち、走ってきた。ことりが留学しかけたときも。目標を失ったμ’sがバラバラになったときも。

だからこそ、「μ’sはこの9人だけの宝物にしたい」という正直な気持ちに向き合い、それを選んだ。この言葉を口にすることで、終わりの輪郭を鮮明にし、その選択によって消滅するありえた未来、或いは、ありえない夢を諦めることになったとしても。

…なんというか、自分の感想が介在する余地がない。一介の高校生である彼女たちが、泣きながら辛い現実に向き合い、一般論に流されることなく、自分たちが「そうしたい」と思った答えを誰に言われるでもなく出せることが、とてもかっこよくて、立派で、その在り方がとても美しいと感じる。



 9人の思いを確かめ合えたこと、そして9人の選択によって、これからμ’sが終わりへと向かうこと。駅のホームで涙を堪えきれなくなるシーン、本当に色々な感情が入り混じって見えてしまって…あの場面は何度見ても泣けてしまうのでもう暫く見れない
 結果、μ’sはその有終の美を「ラブライブ優勝」という形で飾った。まさか第1期OP「僕らは今のなかで」の映像が決勝戦のシーンだったとは…

 最終回は3年生組の卒業式。9人の思い出が詰まった屋上を後にする間際、浮かんでは消えていく思い出たちと共に、地面に書いた「μ's」の文字が薄れていく演出。これは流石にやられた…

 この文字のように、いずれ時間が全てを消し去ってしまうとしても、かつて「今」だったあの頃を全力で走り切った記憶は、9人の心に永遠に残り続ける。選んだ道に後悔はないことを物語るような穂乃果の表情も併せて、寂しくも温かいエンディングだなぁと思いました。

ラストシーン、校門から一歩踏み出す3年生組と見送る1,2年生組。儚くも美しい、「終わりに向かう物語」だった…







思われたのですが



あれ????!???


 ストーリーに沿って場面転換したりメンバー増えていったりするのすき


ここで…ミュージカル時空だと??!!!?!?



 どういう…ことだ…?俺はいつからミュージカル時空に接続していたんだ…?
完璧すぎる余韻を自らぶち壊すラストシーンにめちゃめちゃ笑った。そうか、ミュージカルならば「カーテンコール」は付き物ということか!

 あれで終わりっていうのも個人的にはかなりアリだよなと感じる傍ら、こんな奇跡が起こったっていいじゃない!とも思う。そんな感じで物語は劇場版に続いていくのでした。


第2期、実はエンディングの「 どんなときもずっと」がすごく好き


○劇場版「ラブライブ!The School Idol Movie」

 2期最終回がノーマルエンドならば、この劇場版はさしずめ「真エンド」。11話で「9人のμ's」を選んだ彼女たちでしたが、この物語では"選ばなかった道"にも再度スポットが当たります。

 本作、まず第一に映画とミュージカル時空との相性が抜群過ぎる。1時間半という限られた上映時間の枠で絵的なキャラの見せ場と展開の進行を一気に解決しているのはずるい…
 結果、内容もさることながら一本の作品としてめちゃめちゃ見応えがあって良かったです。再上映とかあったら絶対行きたいところ

 披露された楽曲は全部で6曲。せっかくなんで、曲ベースで振り返ってみようと思います。

Hello,星を数えて

 卒業式直後のμ'sの元に舞い込んだオファー、それは海外からの取材だった!スクールアイドルの知名度を高められれば、水面下で進んでいるらしい「次回ラブライブのドーム開催」という計画の大きなプラスになる。今後のための使命も大事だが、まだ少しだけμ'sでいられることが決まったことも嬉しい9人。心を踊らせてニューヨークに飛びます。
 現地でのステージ探しの傍らで観光に勤しむ9人を、突然の雨が遮る。皆で過ごせる最後の時間は刻々と進んでいく。「寂しいなぁ」と呟く穂乃果。
 そんな空気の中、「大丈夫にゃ!」と雨空に一歩踏み出す凛の声とともに、この曲は始まります。

"星"を数えて、というだけあって冒頭の凛ソロパートがめちゃくちゃいい…それにのっかって笑顔で歌い出す真姫と花陽もすごく楽しそうで素敵。あと何気に私服で踊ってるのはレアだぜ

 「ニューヨークの街は秋葉原に似て自由だ」という話を経てミュージカル時空に突入するのもいい流れだよね…異国、新しい地でどんな体験、どんな出会いが待っているのか。それを皆で分かち会える喜びがあれば、雨なんて吹き飛ばせる!という、明るいエネルギーに溢れた一曲だと思います。

Angelic Angel

 ついに来たニューヨークでのステージ!和ドレス!!!フォトンエッジが如くしなる扇子!!!センターは…満を持しての絢瀬絵里(ポニテ限定解除)!!!!!

 理解するぞ(冥黒並感)。あと、個人的には海未のパズズみたいな髪型アレンジもかわいくて見逃せない
曲、映像、キャラビジュアル、どれも珠玉のクオリティ。これは劇場版じゃなきゃできないスケールだ…

 ラブライブ優勝、そして卒業の日を以て終わると思われたμ'sに起きた、奇跡のようなひととき。それを"夢に見た熱い蜃気楼"と形容する歌詞のキザさ、μ's的にはかなり新鮮に感じます。曲全体に漂っている大人っぽい雰囲気は、二期分の物語を経た彼女たちの精神的成長を示している…のかもしれない

 うちの妹(絵里推し)もこの曲好きって言ってました。余談ですが、妹は同じ時期にディオ・ブランドー、ギルガメッシュにハマったため、当時友人に「お前の推し金髪ばっかじゃねぇか」と指摘されたとのこと(人外二人と括るな)。


?←HEARTBEAT

 ニューヨークでのステージを大成功させたμ's。しかし悠々と帰国したらなんかバチバチの有名人になってしまっていた!「ラブライブのドーム開催計画の後押し」という目的の遂行に関しては一定の手応えを感じられたけど、環境の変化には驚きを隠せない。とりあえずなんとか家に帰らないと…な状況と共に披露されたのがこの曲。

 サングラスが絶望的にダサくて面白い絵里、こんな状況でもやっぱり楽しそうな希、そして最早ミュージカル時空を完全に乗りこなしているにこ。3年生組はふざけてるのが似合うな…一番苦い日々が長かっただけに、楽しそうにしてるのをみるとこっちまで嬉しくなってくるような

曲としては、混乱もあるけど嬉しさも感謝もある、「さぁ、どうしよう?」ということで、意外と後の展開に繋がるワードが混ざっていて巧いなと思ったり。


Future style 

 ラブライブの旗印としてμ'sには存続してほしいという大人の意見、そして今や大注目の世論。かつて打ち立てた9人の決断を折りたくはないが、μ'sが応援してくれる皆のおかげで成長できたこともまた事実。自分たちにできることから逃げるように消えることが本当に正しいのか?という視点が、穂乃果たちを悩ませます。
 あの第11話、穿った見方をすると「皆」と「9人」を天秤にかける回だなとは思ってたんですけど、ここにきて再度あのときの覚悟を問われる展開は中々に重い…

 しかし、どちらかを選ぶことだけが物事の全てではない。目の前のわだかまりを飛び越え、思いもよらない新しい道をつくりだすことだってできる。どちらも大事にしたいなら、それを為すための道に挑戦すればいい。それは穂乃果にとって、昔からずっと繰り返してきたこと…!


確かに、選ぶことで人は大人になれるかもしれない。でもそれは、選ぶことよりもっと大事なことを忘れさせてしまう。「貴方は今、どうしたいか」という、繰り返してきた物語の基底に、ここにきて、再度立ち返るのか…!!

穂乃果が描いた「未来の輪郭」。その思いは、次の曲にて結実することになります。真姫ちゃん!!電車賃、貸して!!!

 

SUNNY DAY SONG
 
ここで幕を引くμ'sに最後にできる事、それは「スクールアイドルそのものが放つ輝き」を世に示すことなのではないか。μ'sの呼びかけにA-RISEを始めとした多くのスクールアイドルが応じた。ついに最後のステージが幕を開ける…!


これはタイトル回収じゃないか…?
「The School Idol Movie」なんてとってつけたような…と1ミリでも思ってしまった自分をぶん殴りたい。穂乃果たちが描いてきたスクールアイドルの"かたち"、それは「瞬間の輝きに全てを懸けること」「互いを認め合い、切磋琢磨しながら前に進むこと」「応援してくれる皆と共に、喜びを分かち合うこと」でした。それはきっとμ'sだけじゃなく、多かれ少なかれどのスクールアイドルも持っている"かたち"だ。ならば、それを示す物語のタイトルは「ザ・スクールアイドルムービー」以外にないわ!!!!!!すご!!!!!!!


 この曲は、μ'sとA-RISEが中心となりながらも、参加した全てのスクールアイドルによって完成した楽曲。当然、読み手目線ではμ'sの歌ではあるのだけれど、きっと語られないスクールアイドルたちの物語もこの曲に乗ってるんだろうなぁと思ってしまい、こんな明るい曲なのに何故か泣けてきてしまう…

 例えば、この計画に大きく噛んでくれたA-RISEが、UTXというホームグラウンドを背に、おおよそスクールアイドルとして最後のパフォーマンスをファンの前で披露している一瞬のカットなんかを見てしまうと…余計に。



 μ'sが示した新しい道は、自分たちがこのメッセージの旗印となり、後に連なるスクールアイドルたちの道を切り拓くこと。作中の文脈もさることながら、同年に始まる「ラブライブ!サンシャイン!!」を始めとした後続作品たちへとバトンを繋ぐ一節にも感じられる。
特別ではないけど、かけがえのないもの。「SUNNY DAY SONG」という素朴なタイトルも相まって最高の曲だなと強く思います。


僕たちはひとつの光

 ラストシーンは2年後の春。末っ子だった真姫・凛・花陽も音ノ木坂を去り、かつてのμ’sを直接知る者はもういない。

 場面はアイドル研究部の部室に代わる。詰めた新入生たちを前に、高坂雪穂、絢瀬亜里沙によって、"かつて存在した"スクールアイドル・μ’s、そして彼女たちを始めとした沢山のスクールアイドルの力によりドーム大会が継続的に開催されるようになっていることが明かされる。

 個人的にぐっと来たのが、亜里沙が真姫の作曲ノートを持っていたこと。彼女が音楽をやるのは高校生活が最後だった筈。この曲が書かれたノートを後輩に託して去った彼女の心中に思いを馳せると…

 こうして、μ’s最後のライブは、彼女たちの思いを受け継いだ者たちによる回想という形で語られた。

 多くの人に注目されるようになった今、μ’sがここで解散することを皆に伝えるライブをしたほうがいい。そんな提案をした希は、真姫がこっそり新曲を書いていたことを知っていた。物語序盤で描かれた「9人としての区切り」が欲しいという真姫の内心は、思わぬ形で叶うことになった。この曲はμ’sを応援してくれた皆へ思いを伝える曲でありながら、「9人のμ’s」であることを選んだ自分たちに向けた曲でもある。

9人が睡蓮の花弁の上で(円卓理論…μ’sは皆がセンター…)穏やかな眠りにつくかのように歌う姿、そしてμ’sをやる中で感じた様々な思い。曲中に散りばめられた皆の名前と、これまでの軌跡を思い起こさせる言葉たち。


"歌おう最後まで" "僕たちはひとつ" "今が最高!"と歌い上げつつも、「また会おう 呼んでくれるかい? 私たちのこと」は流石にずるいよ…わかっててこれをいうのは…
 真姫が曲を書いていると聞いて「私も少し書き貯めていましたので!」と応じた海未だけど、貴方…この話がなかったら…この言葉たちを墓まで持っていくつもりだったのですか…?

 "ほのかな予感"に始まったμ’s。あの日屋上に書いた文字のように、いつか全てが消えて忘れ去られるとしても、少なくとも、彼女たち9人の中では音楽という形でμ'sは永遠に残り続ける…そういう歌なのかなと思いました。

 曲と共にゆったりと終わりに向かっていく映像。穂乃果たちの、μ’sの語られるべき物語はここまで。

○おわりに

 いかがでしたか?この作品はμ’sの始まりから終わりまでを描いているけど、個々の事実≒どうなったかではなく、それに至った過程≒どう決めたかを尊んでいることを、物語を通して感じられました。

今!を進むということは、どう決めるか?、ということ。なるほど、これが最新シリーズまでつながる「ラブライブ」の基底であり、μ'sが人々の心をつかんで離さなかった大きな理由のひとつなんだ。そのように理解できた気がします。

 皆、こんな素敵な物語に出会っていたんだな…10年という長い時間はかかりましたが、私もようやく出会うことができました。ありがとうμ's。2024年に生きる私の「今」をも明るく照らしてくれて…

-tarou-


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