「胸糞の悪いミステリー」のレビュー
忘れられたスター(刑事コロンボより)
!注意!
多分にネタバレを含みますので、そういうのが嫌いな方は読まないで下さい。
1.主要人物(4人)
コロンボ:LA市警殺人課の刑事。葉巻は口で噛み切る方。
グレース:犯人、往年のミュージカルスター。
ヘンリー:被害者、グレースの夫。医師かつ資産家でもある。
ネッド :かつてグレースの共演者を務めた男性、グレースと恋仲だったことも。
2.あらすじ
過去のミュージカルの名場面を集めた映画が上映され、グレースは再び脚光を浴びることとなった。再起を図るグレースは、自身を主演するミュージカルを興行すべく、夫のヘンリーに援助を求める。しかし彼は反対し、代わりに世界旅行に行こうと言って援助を断る。諦め切れないグレースはヘンリーを自殺に見せかけて殺害する。
夫の遺産を相続したグレースは、かつての共演者であるネッドを演出に据えて、ミュージカルのための稽古を開始する。
コロンボが捜査を進めていくと、医師であるヘンリーが書いたグレースのカルテが発見される。そこにはなんと、彼女の脳に治療不能な動脈瘤があることが書かれていた。カルテには、症状の進行とともに記憶力も低下すること、激しい運動をすると瘤が破裂する恐れがあること、余命幾ばくもないことなども記されていた。
コロンボはネッドにこのことを伝え、更に、記憶力の低下によって、彼女自身が夫を殺したことすら覚えていないかもしれないと説明する。説明を聞いたネッドは、コロンボとグレースの前で、自分がヘンリーを殺したと嘘を吐く。この話を聞いたグレースは—コロンボの推測通り—自分が夫を殺したことを忘れてしまっており、夫は自殺したと思い込んでいた。ネッドは罪を償って戻ってくるまで、ミュージカルの話は保留してほしいとグレースに伝え、彼女もこれを了承、ミュージカルの稽古を中断させることに成功する。
ネッドの情に負けたコロンボは、無実であること知りつつも仕方なく彼を連行する。
3.胸糞ポイント
言うまでもなくグレース!過去の栄光に溺れ、夫を殺害し、(結果的にだが)元恋人に罪をなすりつけるという離れ業をやってのける。
自分の妻に余命宣告ができなかった夫ヘンリーと元恋人に少しでも長く生きてほしいというネッド、二人の男の情けもきっと忘れてしまうのだろう。
4.ミステリーポイント
果たしてグレースは、本当に忘れてしまっていたのか?というのが謎な部分。筆者は「忘れてしまった」と考える。実際、脳梗塞等の症状にそういうものがあるからだが、ラストシーンでのグレースの表情が引っかかる人もいると思う。
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