ファッション専門の学習者が教えてくれた『ジェンダーレスファッション』と二人の考察
ファッション専門の日本語学習者《台湾人のミカさん》
ミカさんと私との出会いは、今年の6月。
ミカさんの叔父さんが、開校当初(2015年)からずっと私たちのオンラインスクールで日本語を学んでいて、その叔父さんからの紹介でした。
ミカさんは10月に、東京にある服飾専門の大学院の入学試験を受けるため、私との授業を始めました。
授業で扱う内容は、入学試験の項目の一つである「小論文」の練習です。
ファッション、社会問題、環境問題などなど、様々なテーマについて書き、それについてお互い理解を深めたり、時には意見をぶつけ合ったりしています。
ジェンダーレスファッション
そんな中、小論文の過去問に以下のようなお題がありました。
ミカさんはN2に合格しています。検定試験には合格していても、日本語を使って表現をする(書く・話す)ことは苦手な人は本当にたくさんいます。
ミカさんは、とても流暢な日本語を話すわけではありませんが、きちんと自分の意見が言える人です。
それってものすごく大切なこと。
日本語は「コミュニケーションツール」です。その前に、「自分の考え」や「伝えたいこと」が自分の中にないと、ツールだけあっても何も表現できません。
ということで、ミカさんはいつものように、1200文字程度で小論文を書いてきてくれました。
授業内では毎回、日本語表現や構成について先ずチェックします。それから、内容について二人で話し合います。
ミカさんの疑問
ミカさんが書いた文章を読んで、私が質問を投げかけました。
私:「問題文には、『ジェンダーレスファッションをデザイン・設計に反映させる時、あなたの考えをまとめて述べなさい』と書いてあったけど、ミカさんの考えはどこに書いてありますか?」
ミカさん:「先生、そうなんです。問題はそこなんです。」
私:「アイディアが思いつかなかったんですか?」
ミカさん:「違うんです。そもそも、ジェンダーレスファッションをデザインする必要ってあるんでしょうか。」
私:「なるほど。おもしろい。聞かせてください!」
ミカさん論
ミカさん曰く、
なるほど~!
その後、二人でインターネット上の定義(使われ方)を調べてみました。
ユニセックスとジェンダーレス
そして、ミカさんがとてもわかりやすい表現をしてくれました。
私は日本語教師として、こんなにも「表現したいこと」に満ち溢れていて、こんなにも「人に伝わる言葉」で表現できるミカさんに感動。
そしてまたミカさんが教えてくれました。
某日本ブランドが発表した「ジェンダーレスファッション」。あれはただの「ユニセックス」なんです、と。
だから、ミカさんは過去問の『ジェンダーレスファッションをデザイン・設計に反映させる時、あなたの考えをまとめて述べなさい。』に対して、とても違和感を感じていたんだと納得させられました。
この後も、LGBTQについて(台湾は同性婚をアジアで初めて認めた)、男性のネイルや化粧について(ミカさんの周りにいる男性は普通にしている人が多い)などなど、たくさんのことを日本語で話し合いました。
ミカさんとの授業を終えて、私がつくづく思ったこと。
染