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子宮筋腫を取ってきた話

初めて、入院して手術してきた。

今日は退院して1日後。まるで恐ろしい夢を見ていたようだったけど、身体中はまだ痛いし、お腹にも痕がある。子宮筋腫はよくある病気なので、先人たちが残した記事は幾ばくかあると思うが自身の記憶として残しておく。

我が家スペック:私(29歳、Webデザイナー)、夫氏(34歳、エンジニア)、結婚3年目、子無し、妊娠希望無し

病理が発見されたのは昨年の人間ドックで、一年放置した次の年の人間ドックで更に大きくなって見つかり、渋々通院することになった。

なぜ放置したのかというとまったく害が無かったからで、通院を開始したときには8センチ以上の筋腫だったにも関わらず、生理は通常通りだし、痛みも無かった。

詳しく検査した結果、私の場合は漿膜下筋腫という子宮の外にできた筋腫だったので、生理の量や生理痛には影響が無かったらしい。遺伝的には関係がないが、母も子宮筋腫で8年前に手術していて、母の場合は子宮内部にできた筋腫だったので、オムツをしても数時間で経血が漏れるほどに出血がひどく、大変だったようだ。こういった場合は緊急性がありすぐに手術に臨むようだが、私の場合は緊急性もなく通院開始の5月から9月まで様子見の状態だった。が、9月には筋腫が12センチまで大きくなり、寝転ぶと『お前(筋腫)ここにいるんだな』という存在感が出てきた。

MRI撮影をした画像には、断面図いっぱいに筋腫があり、これを見たときは流石に取ったほうが良いだろうと思った。

私の職業はデザイナーであり、一応チーフという立場だが、12月に先輩が産休に入ってしまうことや10月で中途採用が入ることもあって、先輩がいて、かつ、人手が足りている10月の末に手術日を決めた。ちなみに、通院していた病院では手術はできないため郊外の総合病院に転院した。2年前上京したばかりの私にとってはどこの病院を選べば良いのか途方に暮れたが、フォロワーさんにおすすめされたところが自宅から1時間以内であったのでそこに決めた。感謝。

新しいメンバーが入ったり、先輩の引き継ぎで職場環境がかなり変わってストレスがマックスで、入院前は早く手術のための長期休暇に入りたいと思ったものだが、直前になると恐怖しかなかった。

【前日】

手術の前日に入院。入院は個室で、それが本当に良かったと思う。静かだし、真っ暗で寝たいし、何より余計なことを考えずにいられた。夜から病院食であったので、前日のお昼は好物のつけ麺を食べた。最後の晩餐の気持ちだった。

夜ごはんは18時。早い。いつもならまだ仕事してる時間だ。


【当日】

全然眠れなかった。好きなYouTuberが夜通しクリアするまで眠りません企画を生放送してくれていたのでずっとそれを観ていた。

正午から手術であったので、その前に採血し、手術着に着替えて、血栓予防の靴下みたいなのを履く。11時ごろ夫が到着、泣きつく。手術開始の時間が早くて良かったと思う。これが17時開始とかだったらずっと緊張状態だから。

前の手術が早く終わったらしく、11時40分から開始となる。通常1時間前から点滴をし始めるが、祖母譲りの私の細くて薄い血管…まったく点滴が入らない。新人ナースさん→ベテランのナースさん→麻酔科の若い方→麻酔科のベテランさんの順で、なんとか入れてもらえた。この時既に失敗の穴だらけで腕が痛い。

ギリギリに入った点滴を持って自力で手術台に登る。緊張しすぎて脚がガタガタ震えたのが自分でもわかったし、このときお医者さんたちの優しさが凄く染みた。

フォロワーさんから事前に、麻酔はだんだん意識が無くなりますからねと言われてから、そうなの?って思ってる瞬間に意識がなくなるよと聞いていたけど本当にその通りだった。手術台に乗って麻酔をかけられて次の瞬間にはベッドの上だった。夫が私を覗いていた。

足にフットポンプ(血栓予防)、左にナースコール、右に痛み止めのプッシュを握らされていて、とにかく痛かったので痛み止めを連打した。

夫が何か言っていたけど、意識が朦朧としていて夢だったのか、現実だったのかよく覚えていない。2時間後に地元からわざわざ新幹線で駆けつけてくれた母と妹が到着して、それも何か言っていたけどよく覚えていない。本当は手術後には到着が間に合うはずが、開始時間も早まって更に予定より手術時間が短く済んだため間に合わなかったらしい。

これもフォロワーさんから聞いた話、意識が朦朧としている間無意識で変なことを言い出すことがあるらしいので私はそれに怯えていた。腐女子であることは夫は知っているものの、推しCP論とか語り出したらどうしようかと。手術直前はししゃも(飼っている文鳥)のことを考えようと思っていたのに緊張でそれどころではなかった。

結果、何かを言っていたらしいが夫には聞き取れない言葉だったらしい。ひと安心!


とにかく、手術後は意識が朦朧とし時間もわからず体も動かせないので朝になるまでが永遠に感じた。病棟が産婦人科であったので、遠くから聞こえる赤ちゃんの夜泣き?で毎回目が覚めたし、看護師さんがバイタルを確認しに来てくれるたびに朝かと思った。

ずっと同じ姿勢なので腰が限界なのである。そして点滴が痛い。


【手術から1日後】

やっときた朝、点滴と小水管を抜いてもらって、立ってみましょうと看護師さんに言われトライするが、えっ無理でしょ?という感じ。生まれたての鹿以下の立ち上がり。結果すぐに血圧が下がってしまってフラフラに。

ご飯食べたら元気になるかもですね〜と言われて昼食が運ばれてくるがどうやって食べるのか途方に暮れる。まずは身体を起こして…皿を持って、口に運んで……

汗だくになりながら1日ぶりの食事をとった。粥だったけど、美味しくはなかった。

でも、胃に何かを入れる行為のおかげで生きていることを実感できたし、胃が動くと身体全体が動き出した感じがして動ける気がした。

次に看護師さんがきたとき、歩行練習をしたが食事のおかげかよぼよぼと歩くことができた。余裕があればシャワーを浴びてくださいと言われたが、できる気があまりしなかった。

しかし、汗もかいていたし消毒液?の臭いや手術用のオムツをいち早く取っ払いたかったので、数時間休憩して頑張ってシャワーを浴びた。このとき、初めて自分の傷口を見た。腹腔鏡手術であったので、下腹部に3つとヘソに大きな傷口。ああ…という感じ。思ったよりグロくはなかった。

へとへとの状態でなんとかシャワーを浴びて、夜ごはんの粥を食べ、このとき初めてスマホを触った。当たり前だけど自分が動かずとも世界は回っていたし、YouTuberはまだ生放送を続けていた。


【手術から2日後】

たくさん歩いた方が早く良くなりますよ、と言われるが、傷はもちろん麻酔の影響で全身が筋肉痛のように痛い。

特に胸と肩〜首が痛くて、大きな鷲の幽霊が肩を掴んでいるかのようだった。シャーマンキングかな。

隣の病室の人も同日手術だったのだが、私は歩行器を使いながらよぼよぼ歩いているのに対してシャキシャキ歩いててびっくりした。この筋肉痛さえ無ければ……。きっと個人差があるのだと思う。

昼から夫が来てくれ、色々話したり、院内を歩き回って売店へアイスを買いに行ったりした。昨日シャワーを浴びたが、髪を洗う余裕は無かったので夫がいる間にシャワーを浴び、髪を乾かしてもらった。この人と結婚して良かったと思う瞬間でもあった。結婚して2年になるが、結婚式も挙げず、共通の友人もおらず、入籍後すぐに上京した我々にとって、彼が人からこんなにも『旦那さん』とか『ご家族の方』とか呼ばれているのを初めて経験した。夫、家族だったんだな。こういう弱り切っているとき、無償で側にいてくれる人がいてくれて良かった。


【手術から3日後】

朝6時に起床。7時に採血と内診、問題ないと言うことで退院になった。筋肉痛はまだ消えず、正直、こんなよぼよぼで退院なんだと思いつつ、朝ごはんを食べた後支度する。最後の病院食が白米と納豆と味噌汁と牛乳で地獄だった。納豆はあまり好きではないし、牛乳もごはんとは飲めないと思う。

精算。3割負担で30万円ほど。高いのか安いのか分からない。

夫が迎えにきてくれて、家に帰った。駅から徒歩10分の我が家への道が、永遠に着かなくて死ぬかと思った。30分ほどキャリーケースを杖にしてよぼよぼ歩いた。短距離でもタクシー呼んでもらったら良かった。その日の夜は熱が出た。


【手術から4日後】

身体を横にして眠れるようになったので、久しぶりに快眠できた。ベッドから立ち上がることがまだ困難だけど、立ち上がってしまえばトイレにも行けるしシャワーも浴びれる。日常生活が戻ってきた。それが今である。


【まとめ】

まな板の上の鯛なので、手術台に乗って仕舞えばもうなすがままである。出来ればもう二度と経験したく無いけど、また同じ手術を受けることになるかもしれないし、来年には友人も同じ手術を受ける。病状や病院によって全然違うと思うが、何かの参考になるかもしれないのでメモしておく。


良かったこと:

・ワンデーのコンタクト(眼鏡を探す眼鏡がないし探す力も無いときに役立つ)

・前開きのパジャマ(Tシャツでも良いって言われたけど、肩が上がらないので着脱時前開きで良かった)

・パジャマの上に羽織れるガウン(ベッドの羽毛布団が暑い時に役立つ)

・アイマスク(寝たいのに電気を消しにいく力がない時に役立った)

・夫の存在(超絶サンキュー)

・YouTube(テレビだと体制が変えられないけどスマホなら体制が変えられて観れる)

・キャリーケース(帰りに杖代わりになった)

・無印の縫い目のないサニタリーショーツ(傷口に被らず履ける)

・トロピカーナ食物繊維(術後便秘になるので助けられる)


反省点:

・ブラジャーとか2つで良い(手術後ブラジャーしなくて良い。キャミソールで問題無し。)

・着替えそんなにいらない(パジャマ3セットあれば良い)

・バスタオルは3、4枚欲しい(レンタルすれば良かった)

・裏起毛パジャマ(暑い、術後は熱が出るし汗だくになったので普通ので良かった)

・夫の教育(退院後しばらくは家事ができないとい&夫は料理ができないにも関わらず食材を買い込んできたので冷食とインスタント以外買うなと言っておけば良かった)



とにかく、問題無く生還できたことに感謝。

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