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僕の大事なネッ友
今回は僕の唯一のネッ友について話していく。
その人は僕にとって大切な存在だ。普段から連絡を取り合うわけではない。せいぜい三か月に一度LINEするくらいだ。だけどとても大切な存在で大好きな人だ。自分の居場所がなくなったと思ったとき、その人だけは居場所をつくってくれる。そう思えるのだ。
彼女と知り合ったのは、自分が中3で彼女は高2の頃だった。
たしか9月30日とかそのあたり。
ふと暇なときに配信アプリをダウンロードしてみた。
そこで音声配信をしていたのが彼女。お互いアプリを始めたばかりで配信も自分たち2人しかいない状態。
その配信で僕はどんどんコメントしていった。
共通の話題が2つあった。アニメとソフトテニスの話題。それだけですごく話が盛り上がった。
そしてその日から彼女と配信アプリで話すようになったのだ。
最初はどちらかが音声配信してもう片方がコメントをして会話していた。だが、その後すぐコラボというお互いが声を出せる通話状態で配信するようになった。
2人の会話は配信という形でだれでも聞けるようになっていたが、ほかの誰かがその会話に興味があるわけでもなく、ただ配信アプリを使って電話をするような形で数日連続で話していた。
そして、ある日、配信アプリで話した後、TwitterのDMで「今日もありがとうございましたー」と話しているときに、「配信アプリじゃなくてLINEとかで電話しませんか?」と提案した。
その時の自分の心臓はバクバクだ。LINEなんて簡単に教えれるものではない。それもネットで数日話しただけの相手だ。
だが、その時の自分はこんなに話していて楽しい人ともっと話がしたいという気持ちでいっぱいで、中学生なりの勇気を出したのだ。
そして、相手から了承を得て、それからLINEで電話をするようになった。
そこから1か月くらい毎日電話した。
電話の時間も一回当たり3時間とかは余裕で超えていた。
そんなに話したら普通話題がなくなったりしないのかとも思うのだが、そんなことは一切なかった。それほど彼女との会話は盛り上がって楽しいものだったのだ。
そのころ、自分の中に1つの感情が芽生える。
それはもちろん恋心だ。
顔もしらない相手。だが話していて今までこんなに楽しいと思う瞬間があったのかと思うくらい楽しい時間を過ごしていた。それだけで当時男子校で女子とのかかわりが一切なかった自分にとっては彼女を好きになる十分な理由だった。
だがそれと同時に僕は彼女に依存していった。
まあ、毎日ずっと電話するとそうなってしまうのも仕方がない。
当時、日ごろの生活において生じるストレスはすべて彼女と電話することでなくなっていった。つまりまったくストレスがない状態をずっと過ごしたのだ。
そして11月中旬に入ったころ、彼女が忙しくて電話ができない日が増えてきた。
そうなると、いままで解消されていたストレスが溜まるようになり、次第に精神的にしんどくなった。
このままでは自分はおかしくなってしまう。
そう感じた。
そして僕は決心したのだ。
彼女との距離をあけようと。
そうして11月の末の電話を最後に毎日していた連絡を辞めた。
年が明けた1月1日。一応連絡しておこうと、お互い明けましておめでとうとだけメッセージを送ったがそれだけでそこから3か月連絡することはなかった。
3か月というと1年の4分の1を占める。それだけの月日が経つと、彼女のこともすっかり考えることはなく、依存なんてものからは脱却していた。
そして、学年が1つ上がった4月3日。ふと久しぶりにLINEをしてみた。
前みたくまた毎日連絡しようだなんて気はない。なんとなく久しぶりに話してみるかという気持ちになったのである。
そして、少しLINEをしていて、思い出した。
その日は彼女の誕生日だったのだ。
電話していた時に聞いた誕生日をふと思い出したのだ。そして、メッセージで誕生日を祝い、そこからたまに電話するようになった。
前みたく高頻度で電話するとまた依存してしまうかもしれない。
そう考えた自分は数か月に一回くらいで電話するようにした。
相変わらず電話は毎回盛り上がってとても楽しい。
やっぱり彼女のことが好きだった。
そして夏が来た。
僕は彼女に顔が見たいと伝えた。相手の反応は好ましくない。
ついに口にしたか、、
そんな反応をされた。渋る彼女にねだる自分。
いろいろやり取りがあったのち、ついに写真を送ってくれた。
感想は、あーそんな感じねっといった感じ。
やはり声だけを聴いてきて好きになって、そうなると自分の中で相手の顔を理想化するものなのだ。もちろん理想通りになるはずはない。
その時、僕の反応は微妙だっただろう。
それが彼女を傷つけた。
雰囲気は悪くなり、初めて彼女を怒らせた。
ネットの関係なんて脆いもので、相手がブロックしたらそれで関係はすぐに終わってしまう。
だからもう終わったとおもった。
それから1か月くらいたったころ、お願いするように彼女と電話した。
そして謝った。思っていたのと雰囲気が違ってびっくりしたといったことを伝えた。
そうして、無事元の関係へと戻った。
僕の恋心はなくなったのかというとそういうわけではなかった。
結局、顔が理想通りじゃなかったとかあっても、電話するときは顔のことなんてかんがえないし、自分が話していて楽しいのはその時電話している彼女なのだから。
ちなみに好きというのは何度も口にした。そして彼女はそれに応えることは一切なく、毎回流していた。
多分、応えることで関係性が変わってしまい、それにより関係が終わってしまうことを避けたのだろう。
今思うとその行動にとても感謝している。
冬になった。
僕が高1で彼女が高3の2月。
ある日の夜に突然彼女からLINEがきた。
「今卒業旅行で○○(僕が住んでいる県)にきてるよー」というLINE。
びっくりした。そして思った。
会うならこのタイミングしかないと。
そこから会うならあうでいつどこで会うかなどを急に決めないといけないのに、彼女からの返信は遅いものだから大変だった。しかも当時の自分は、Wi-Fiでしか通信できないスマホを使っていたから、当日フリーWi-Fiの場所をさがして必死に連絡をとった。
そういった苦労もあり、彼女と会うことができた。
今でも鮮明に覚えている。
待ち合わせ場所である歩道橋の上に立っている彼女を発見して近寄った。すると彼女は顔をあげって「こったんだー!(こったん と彼女は僕を呼ぶ)」と言った。
それから場所を近くのスタバに変えて1時間ほど話した。
会う前は不安があった。もし実際にあって話が盛り上がらなかったらどうしよう。めっちゃ気まずいやん……。
でも、会ってみるとそこにいるのはいつも電話している彼女でなにも変わらなかった。彼女と話す時間1時間は一瞬だった。
この日、僕は2つのことを決めていた。
1つは彼女に触れること。
別にセクハラ的な意味ではない。いつも絶対に触れることができない距離で話している僕たち。だからこそ会ったときは本当に近くにいるんだということを感じたかったのだ。これは話の流れで手を合わせたので達成した。
もう1つは一緒に写真を撮ること。これは帰り際に達成した。
スタバを出て僕たちは駅のホームに向かった。
そこで僕は言った。
「1つわがまま言っていい?」
彼女は不思議そうな表情で「なに?」と言う。
「一緒に写真を撮ろう」
そう僕が言うと、「いいよ」と言って撮ってくれた。
そして、そのあと次は自分の番と言わんばかりに彼女が言う。
「私もわがままいい?」
何をするんだろうと思いながら、「いいよ」と答える。
「ハグしよ」
そう彼女は言って、僕を抱きしめた。
思わぬ事態に呆然とする僕。
そのあと電車がくると一緒に乗って、2駅ほどで彼女が降りて別れた。
それが僕たちが初めて会ったときのことだった。
それからも3、4か月に一度くらいのペースで電話をした。
出会ってから3年が経ち、僕が高3のときは半年に一度くらいしか電話しなかった。
一年の浪人を経て、僕は大学生になった。同じ時期彼女は社会人になった。
大学1年生の4月、僕の中で彼女への恋心が消えた。
逆にそれまでずっと好きだったのが凄いと思う。
別に嫌いになったわけじゃないし、序盤に書いた通り彼女は大切な存在だ。
もう僕にとって彼女は普通の友達ではなかった。友達以上恋人未満なんてものでもない。そんな簡単に表せれるような存在じゃない。
一番近いのは仲の良い親戚のお姉ちゃんみたいな感じ?
とにかく特別な存在なのだ。
大学生の夏休みは長い。そして大学生になったことで行動の幅が広がった。
東京に行く機会があったので、その時は彼女と夜ご飯を食べに行った。
4年ぶりに会うとあって緊張したが、やっぱり会うといつもの彼女で楽しい。
その1か月後、僕は彼女とディズニーランドに行った。
一日一緒に行動するわけだし、待ち時間も長いのだが、話す話題に困ることなんてない。凄く楽しい時間を過ごした。
1つ面白かったことがある。
普通ディズニーに男女2人で行ってる人をみるとほとんどがカップルやそれに近い感じである。ただ僕と彼女は、"弟と姉"という雰囲気が凄くてドキドキなんてまったくなかった。だからこそ気軽だったのだろう。
夜は一緒にホテルに泊まった。
もう今更な距離感だし疲れ切っていたので、変な雰囲気にもならない。
疲れ切って風呂から上がると一瞬で眠りに落ちた。
次の日、カラオケに行って別れた。別れ際に昔のようにハグをされた。
さすがに東京駅という人の多いとこでされるのは恥ずかしい。
大学2年の今年。
6月のある日には突然明後日の予定が空いてるか聞いてきた。
どうやら出張で僕の住んでる県まで来るらしい。
サークルがあったがそんなの休むのはどうってことない。
一緒にご飯を食べてお酒を飲んだ。
中3のときに知り合った人と一緒にお酒を飲む日がくるなんて思いもしなかった。
本当にネットだけの関係というのは脆い。どちらかが関係を切ろうと思えばすぐに切れてしまう関係。一度切れた関係が修復することもほぼない。
そんな中、彼女とずっと友達でいれたのは奇跡だと思う。
だから、これからもこの関係が続いたらいいな。
こんな感じで今回は僕のネッ友について書いてみた。
ざっくり今までのことを書くだけで思ってた以上に長くなってしまった。
ここまで読んでくれてありがとうございました。