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陶磁器で有名な景徳鎮に行ってきました!

陶瓷製造業の発展過程

景徳鎮中国陶磁博物館

最近、陶磁器の歴史や発展に興味を寄せていたところ、実際に2024年10月18日-19日、景徳鎮を訪れる機会に恵まれました。景徳鎮は、中国の陶磁器の名産地として、数千年の歴史を持ち、美しい白磁や青磁で世界中に知られています。実際に現地に足を運ぶことで、この町がどれほど陶磁器製造に深い歴史と誇りを持っているのかを体感できました。

博物館の入口付近

何回かに分けて、景徳鎮の魅力をお届けいたします。今回は、景徳鎮の陶磁器製造業の発展過程について、改めて紹介したいと思います。
 

景徳鎮が有名になった理由

景徳鎮は陶器の生産地として名高いですが、その理由は、この地域に陶磁器の製造に適した陶土であるカオリン石が豊富に埋蔵されているためとされています。このカオリン石は白く美しい色を持つため、高品質な白磁が作られ、また絵付けをしても鮮やかな色合いが出ることから、特に評価されました。
近代になり、ヨーロッパとの交流が盛んになると、景徳鎮の美しい陶磁器はヨーロッパの人々を魅了しました。そのため、陶器を「china(チャイナ)」と呼ぶようになったのは、景徳鎮の旧名である昌南(チャンナン)に由来するとも言われています。また、中国の英語表記が「CHINA」となった背景も、景徳鎮の名と関係があるとされています。
北宋時代の真宗皇帝は、景徳鎮に「景徳」の年号を賜り、町の名前を改めました。
陶磁器を通じた国際交流が活発であったこの町は、日本の愛知県瀬戸市、佐賀県有田町、イタリアのファエンツァなど、陶器の名産地と姉妹都市や友好都市協定を結んでいます。
17世紀にはヨーロッパ各国で景徳鎮の陶磁器が愛用され、ドイツでは景徳鎮などをモデルとした「マイセン」が始まります。
このように景徳鎮の技術は世界各国へ影響を及ぼしました。


陶瓷製造業の発展初期

商周の時代(約3000年前)

  • 時期の特徴: 最初の磁器が誕生し、青磁の制作が始まります。

  • 工芸: 製造技術は未熟で、焼成工程の安定性も欠けており、全体的に技術水準は低いとされています。

  • 代表的な磁器: 原始磁器、原始青磁

  • 磁器の特徴: 原始青磁は青緑色を帯びた釉薬を持ち、褐色をわずかに含みます。胎色は灰白色で、硬度が高いのが特徴です。


秦漢の時代(約2000年前)

  • 時期の特徴: 秦の時代には主に陶器が生産され、後漢時代に本格的な磁器が登場します。

  • 工芸: 窯の雰囲気や釉薬の発色に対する理解が深まり、製陶技術が向上しました。

  • 代表的な磁器: 青磁、少量の黒磁

  • 磁器の特徴: 胎質は緻密で硬く、胎色は灰白または淡青灰色が多いです。釉薬は青緑が基本で、青黄の色合いも見られます。


六朝の時代(約1300年前)

  • 時期の特徴: 南方に磁器窯が相次いで設立され、白磁が出現し始めました。

  • 代表的な磁器: 六朝青磁、白磁、黒磁

  • 磁器の特徴: 青磁は先代の特徴を引き継ぎつつ、白磁の胎材は細かく白く、釉薬は白く、厚みがあり、釉薬の色は青白いものが多いです。黒磁は漆黒で光沢があり、胎は硬くて細く薄い特徴があります。


隋の時代(約1200年前)

  • 時期の特徴: 磁器業は南北で大きな発展を遂げました。

  • 代表的な磁器: 青磁、自磁

  • 磁器の特徴: 青磁が主流で、白磁も大きな発展を見せました。胎質はさらに白くなり、釉薬はつやつやと美しい光沢を持ち、釉薬面の仕上がりも非常に滑らかです。釉薬の色は基本的に青色が多く、黄色はほとんど見られません。

  • 胎釉(you): 磁器の表面に施された釉薬は、日常的に使用される陶器で、平滑で光沢のある「服」のようなものです。釉薬の光沢は、油のような光沢を持つため、「釉」という字が使われています。

 

唐の時代(約1100年前)

  • 時期の特徴: 磁器の技術が成熟し、真の完成期を迎えます。特徴として「南青北白」が挙げられます。

  • 代表的な磁器: 越窯青磁、邢窯白磁、晩期秘色磁器

  • 磁器の特徴: 越窯青磁は氷のように透明感があり、温かみを帯びた青緑の色合いが特徴です。邢窯白磁は土質が細かく、器壁は堅く薄く、器型は整然としており、流れるような線が特徴です。


白磁に酸化コバルト顔料(呉須)で下絵付をした陶磁器


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