想い出とは言わ無い1つの引き出し。仕舞い込んだ小さな箱は使い回しの紐で結ばれていた。情報が収まる小さな箱は時々紐が解ける時には目覚まし時計が日頃より大袈裟に響く
仔猫は日々の身体の成長が著しくその上に本能が持つ知恵は計り知れない。遊びの天才で運動能力などは野生そのもの。ベッドに潜り込んで来ていつの間にかスヤスヤと寝てしまう所は人間の仕草に重なる。「お休み仔猫」
早朝から愛猫が産んだ仔猫が私の夢を見事に壊してくれた。それは久々の私への嫉妬の始まりはジェラシーそのものだった。
「私の耳を甘噛みしている」
目が覚め冷たい水で洗礼を受けたからか今朝のレモンティは特に甘くて酸味が効いて美味しい。
メープルシロップたっぷりのフレンチトーストは覚めた夢の未練より現実の夢の糧になる
「 とある 輪郭線」。
風化し重ね塗りされた壁や窓のペイントが剥がれ落ちそうなバスターミナルの壁はまるでアブストラクトなカンヴァスの様に投影された
そんな背景に誰かが佇む輪郭線は普遍的で有りペイントナイフで描写されて溶け込んでいる様な感じがした。その誰かが解凍される事について待とうとする劇的な輪郭線
ペイントが剥がれたバスターミナルの斜向
私が想う誰かが瞳のスクリーンに映る
誰か解凍された人にフォーカスした
雲の白と蒼い宇宙の空色
黒いボストンメガネにコードバンのコインローファーのコーディネート
私のトラディショナルでフレンチな嗜好が眩しさに科学反応し自ら瞳を絞り込む
瞼は腫れ涙も渇きシャッターが降りない
瞼は重く暫く沈黙
それでも一旦仮の小引き出しに収めた
仕舞い込んだ数字論理の定理表
ある特別の日
その記憶の輪郭が緩く
焦点の合わない輪郭に最善へと導く
記憶の雲の白色と蒼い宇宙の空色
改めて変換された
自分の意識は
ニュートンの万有引力の法則には逆らえないもどかしさ
誰か解ら無い
誰か解ら無い
その輪郭線
暫くするとその輪郭線が螺旋階段に消えた
気が付くと
貸しギャラリーの前に私は立っていた
心臓の鼓動は破れたスピーカーの様に不正の脈を線で表していた
それを素知らぬ顔で繕い
鈍い色はブラスのドアノブに
意図の解れたペリカングローブの手を添え
塗りたての白いペイントされた窓からの
外の景色は欅の渇いた葉が風に揺らいで見えた
建築現場の成り行きに任せられた銘作の足場板で出来たフローリングの時間の経過の
アートが心地いいと云う人を想い出した
それはジャクソンポロックの
ドロップィングアートのデジャヴの様に重なる偶然の芸術
蒼い炎はアラジンストーブだった
僅かな
スペースの暖かい澄み切った空気は浄化
版画 リトグラフ セリグラフ エッチング
アコースティックなレコード針から
ノイズ音さえも 意味を紐解く様に
暖かく優しい貸しギャラリー
が迎えてくれる
古びた嵌入が有る白いホウロウポットから
琥珀の珈琲が注がれた
「 ド ゥ モ 」
短めなツイードジャケットには
チーフがさりげなく
コーデュロイパンツに
アーガイル模様のソックスが良く似合う
ファーのビムラムローファー
アンニュイなショートボブ
記憶の色とはまるで違う
愛猫の親子達から嫉妬され
夢が総て消えた
リアリティは現実
潮風を浴びながらシーグラスを探していてガス灯のマントルに点火の後の蒼い光源を想いだしながらヒントに違い無いが鼓舞された様に想えた
大野一雄の舞踏の中で響く鼓の穢れのない舞踏と鼓から嫉妬と云う宇宙を私は描いていた。
夢は鼓舞の前触れ