たった一瞬のことでも忘れられない記憶に?グリア細胞が握る記憶の謎を東北大学が解明!
みなさん、こんにちは!今回は東北大学の研究チームが発表した、記憶の形成に関する研究成果をわかりやすく解説します。なんと、記憶が長期に残るかどうかは、体験した瞬間に決まってしまうという驚きの発見なんです。
脳のなかの謎を解き明かす!
私たちの脳の働きのなかでも、とくに大切なのが「記憶する力」です。これまでは「短期記憶が徐々に長期記憶に変換される」と考えられていたのですが、今回の研究でその常識が覆されました。
縁の下の力持ちが主役に躍り出る
実は、脳には神経細胞とほぼ同じ数の「グリア細胞」があることが知られています。このグリア細胞のうち「アストロサイト」と呼ばれる細胞が今回の主役です。昔は神経細胞の間を埋めるだけの細胞と思われていましたが、記憶の形成に決定的な役割を果たしていたんです。
実験の中身を見てみよう
研究チームは、マウスに軽い電気ショックを与えて、怖い体験をさせる実験を行いました。普通なら、マウスはその怖い体験を覚えていて、翌日も同じ場所に入れられると、怯えてじっとしてしまいます。
ところが、電気ショックを与えた直後に、マウスの脳のアストロサイトを光で「酸性化」すると、翌日にはもう怖がらなくなっていました。でも、同じ光の操作を30分後にやっても効果はありませんでした。つまり、体験の直後でないと記憶を消すことができなかったのです。
この実験から、体験をした瞬間に、その記憶が長く残るか消えるかが決まってしまうことがわかりました。これまでは「記憶は時間をかけてゆっくり定着していく」と考えられていたので、これは大きな発見だったのです。
1回の操作で3週間も効果が続く!
驚くべきことに、アストロサイトを「アルカリ化」する実験では、たった1回の操作で3週間後まで記憶が鮮明に残り続けました。普通なら時間とともに薄れていく記憶が、消えにくくなってしまったのです。テストや試験前に、一夜漬けした内容をこの方法で覚えられたら最高ですよね。
臨床応用への期待と課題
この研究成果は、将来のトラウマ治療に大きな可能性があると言われていて、次のような応用があります。
救急救命現場への出動前の予防的な投薬
トラウマ体験直後の治療介入
記憶障害の新しい治療法の開発
ただ、記憶のコントロールは慎重な研究が必要。脳の働きは複雑で、どのように作用するのか、解明すべき点が多く残されています。
今後の展開に注目!
記憶の形成から保存、そして忘却までの仕組みが、少しずつ明らかになってきました。私たちの記憶の仕組みを理解し、さまざまな記憶関連の障害を治療する新しい道を開くかもしれませんね。これからの研究の進展が、とても楽しみです!
内容を振り返りたい人は以下PDFを見てね!
もっと詳しくQ&Aで紹介するよ!
Q1: グリア細胞って何ですか?なぜ重要なのですか?
A: みなさんは「グリア細胞」という名前を聞いたことがありますか?実は、私たちの脳の中には、よく知られている神経細胞と同じくらいの数のグリア細胞が存在するんです。その中でも今回注目したのが「アストロサイト」というグリア細胞。昔は神経細胞の間を埋めるだけの脇役だと思われていたのですが、なんと記憶の形成に大切な役割を果たしていることがわかったんです!
Q2: 「酸性化」と「アルカリ化」について、もう少し詳しく教えてください。
A: これ、ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、実はとてもシンプルなんです。私たちの身の回りでも、お酢は酸性、石けんはアルカリ性というように、物質には酸性とアルカリ性があります。今回の研究では、アストロサイトの中の環境を、光を使って酸性やアルカリ性に変えることができるんです。専門的にはpH(ペーハー)という値で表すのですが、この変化によって記憶の形成が大きく変わることが発見されました。面白いですよね!
Q3: マウスの記憶はどうやって調べたのですか?
A: とても良い質問ですね!研究チームは「すくみ反応」という行動を観察しました。マウスは怖い体験をした場所に入れられると、その記憶が残っている場合、じっとして動かなくなるんです。この「すくみ反応」の時間を測ることで、マウスがどれだけ怖い体験を覚えているかを調べることができるんです。工夫されていますよね。
Q4: なぜ扁桃体という場所に注目したのですか?
A: 面白いところに気づきましたね!扁桃体は、私たちの感情、とくに恐怖の記憶を処理する場所として知られています。例えば、怖い経験をしたときに、その記憶を形成するのに重要な役割を果たすんです。だから研究チームは、恐怖記憶の形成を調べるために、この扁桃体のアストロサイトに注目したというわけです。
Q5: ChR2とArchTって何が違うんですか?
A: はい、ちょっと専門的になりますが、面白い仕組みなんです!ChR2とArchTは、どちらも光で働く特別なタンパク質なのですが、その働きが逆なんです。ChR2は光が当たると細胞を酸性化させる一方、ArchTは光が当たるとアルカリ化させます。研究チームは、この2つの道具を使い分けることで、アストロサイトの状態を自在に変えることができたんです。まるでスイッチのオンオフのように!
Q6: この研究は将来、人の治療に使えるようになるんですか?
A: とてもワクワクする可能性を秘めていますよね!でも、まだまだ研究段階なんです。例えば、救急救命の現場に向かう人が強いストレスを受けそうな時に、予めアストロサイトを制御する薬を使って、トラウマになりにくくすることができるかもしれません。ただし、人の脳はマウスよりもずっと複雑なので、安全性や効果の確認にはまだまだ時間がかかります。
Q7: 記憶を消すことに危険性はないんですか?
A: とても大切な視点ですね。記憶って私たちの人生そのものといっても過言ではありません。良い思い出も辛い経験も、すべて私たちを作る大切な部分なんです。この技術は、PTSDのような深刻な症状に苦しむ方々の治療に役立つ可能性がありますが、どの記憶を残すべきか、消すべきかの判断は慎重に行う必要がありますね。これからの研究では、そういった倫理的な面での検討もとても重要になってくると思います。
Q8: 今後の研究でどんなことがわかるかもしれないんですか?
A: わくわくする未来が待っているかもしれませんね!例えば、記憶の形成メカニズムがより詳しくわかれば、アルツハイマー病などの記憶障害の新しい治療法につながるかもしれません。また、普段の学習や記憶力アップにもヒントが見つかるかもしれないんです。でも、まだまだ謎が多い分野なので、一歩一歩、丁寧に研究を進めていく必要がありますね。