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【日本vs海外】『手帳』から読み解く国民性 〜フランス人〜

手帳。スケジュール張。アジェンダ。呼び方は様々だと思いますが、当然フランスにも存在します。

近年スマホ内でスケジュール管理する事が主流になりつつありますが、紙派な私は今年度はらいよんチャン(MBS 毎日放送さんのマスコット)デザインの手帳を使用しておりました。

曽麻綾が毎日放送さんに昨年末頂いた手帳

ですが惜しくも12月に終わってしまうので、おさらばする準備&2025年からも使える手帳をフランスの街に探しに出かけました。

フランスのスーパーに並ぶ2025年1月始まりの手帳
同じくスーパーに並ぶミニサイズ手帳

思いの外、沢山の発見があったのでこのnoteに記録します。


発見①:カレンダーページがない

日本の手帳ならこんな感じで1ヵ月分の日にちが全てカレンダーになっているページが存在しますが…

こんなにボカすなら載せるなよ、な私の今年の6月

このページがまず存在しません。

いや手帳の種類によるだろ。

と言う声が(自分からも)聞こえましたが、大型スーパー、本屋さん、雑貨屋さん、文具屋さん、どこの手帳を開いてもこのページだけが見当たりません。

代わり(?)にこんなページがあります。

2024年9月から2025年8月の全ての日付

(※↑9月始まりの手帳の方が安かったのと、カナダの学生時代使用していた9月始まり手帳が懐かしかったので、9月始まりの手帳を購入しましたが2025年用の物も販売されています。)
もちろん国内で販売されている全ての手帳を見たわけではないので存在するのかもしれませんですが、フランス人の友達によると1ヵ月ごとのカレンダーページがある事は一般的ではないそうです。
ちなみにカナダ時代も手帳派な私の記憶が正しければ、北米で販売されてる手帳は日本同様カレンダーのページはありました。

日記用に使用してる大き目のミスドxポケモンコラボ手帳

フランスでもカレンダーを使う習慣はもちろんあるので、自宅に置いておく卓上タイプか壁掛けタイプがこの↑ような見た目なのかもしれません。

ただし、職場のカレンダーを拝見した所…

現在働いている職場に置いてあるカレンダー

どうやら四角いマス方式を見慣れている我々に対し、横線ズラリ方式(作者が勝手に命名してます)が欧州では馴染みあるようです。

発見②: 日曜日に働くわけがない

はい、説明します。
まず初めにこんなページがあります。

手帳内にあるEmploi du tempsページ

せっかくなので活用しようと思い、日曜日のスケジュールから記載しようとすると…

月曜日から土曜日までしかないではないか

日曜日働く者はどうすればいいのだ、などと考えてしまいますが現にフランスでは多くの商業施設やレストラン、ありとあらゆる施設が休みとなっております。
カナダと日本で生活したことのある私にとっては多くの会社員や学生にとって必ず休日の日曜日こそ商業施設は空いているものだと信じて疑わなかったので、来仏して初めて出歩いた日曜日は衝撃そのものでした。

日曜日のモール、店のシャッターが閉まっています
上の写真と同じモール内

上の写真の様に、駅と繋がっているのでモール内は通り抜け可能だったりしますが一部ファストフード店以外の小売店は全て閉まっている不思議な光景です。

そもそも何故毎週日曜日が正月みたいなんだ?と疑問に思ったので調べたところ、1906年の法律で日曜日の労働が禁止されて以来、小売業の日曜日の営業が原則認められていない影響だそうです。(現在は違法ではない)
また、日曜日は「家族と過ごす日」としてどこも空いていないのだとか。
営業している店がなければ各自の興味のある行事やお店に足を運ぶ事も難しくなり、また家族の中から一人だけ仕事して仲間はずれな人もいなくなり、そうなると工夫して家族全員で何かしらして過ごすだろう、と言う考えなのでしょうか?
良し悪しは別として興味深い考え方だなと思います。
ちなみにこの習慣はフランス以外のヨーロッパ諸国でも主流だそうです。

発見③: 1日の活動時間が短い

言い換えると、予定を書く時間帯が短い。
このページは一見、日本でも良くみる手帳の1ページに見えます。上に日付があって、下に予定を書き込める時間帯が記載されてます。

1月24〜26日のページ

ですが良く見ると…

20時で1日が終わる

20時以降も予定ある人そこそこいるだろ…とか思っちゃいましたが、基本的に上の発見ポイントと同様、恐らく手帳は仕事の予定を重視して記載する物っぽいので20時以降働く人は少ない程で手帳が作成されてるのかもしれません。
まぁ律儀に時間の枠に書かなければ何の問題もありませんが、夜中新喜劇の稽古があったり、早朝4時30頃からロケしていた新喜劇座員曽麻綾にとっては使いづらい手帳だなと思いました。

発見④:「お名前の誕生日」ページ

ぶっちゃけ日本の手帳でも数ページありますが、あまり役に立たないページもあります。
ですが中でも「一体いつ役立つんだ」と突っ込んでしまったページが1枚あるのでご紹介。

Fêtes à souhaiter のページ

「Fêtes à souhaiter」、直訳すると「お祝いすべき誕生日」。
その下にアルファベット順で良くある男女の下の名前と日付が記載されています。

Mayaの誕生日

例えば、Maya(作者の本名)の場合4月4日。
いや、違うんやけど?何が4月4日なん????
と気になったのと同時に、一番親しくしているフランス人の友人の名前を探してみたのですが見当たりません。
当然の結果です。下の名前なんて星の数程あるので名前が見つからない方が普通です。

調べてみてもピンと来なかったのでそのフランス人の友達に聞いたら…
「その名前の誕生日(名前が生まれた日)だよ!毎日退屈だから少しでもお祝い事を増やして人生を楽しくするために存在する」
らしいです。
友達独自の見解の様な気がしてならないのですが…これでも教職についてる方なのでそう間違った情報ではないと判断します。

詳しく聞いてみると、どうやら自分の名前の「ベース」的な名前があるらしく、そのベースの名前の誕生日が自分の(名前の)誕生日らしいです。
プライバシー保護の為友人の名前は伏せますが、「○○L○○○」と言う名前でアルファベット3文字目にLがあり、ラ行の音が二音目にあります。

友人の名前のベース名「Hélène」とその誕生日の8月18日

「Hélène」はフランス語で発音すると「エレーン」のようになります。
友人の名前同様、二音目にラ行が入るからこのHélèneが彼女のベース名になるそう。すなわち彼女の(名前の)誕生日は8月18日だそうです。

「8月18日に『お誕生日おめでとう』って言ってね!」と言われました。

あまり腑に落ちなかったので、頑張って自らGoogle検索に励んでみました。
どうやら辿ってみると「Fêtes à souhaiter」とは「聖名祝日」に関係しているらしく、キリスト教においてすべての聖人を記念する日だそうです。
(※作者は無宗教の為、自ら検索して得た知識により独自の理解に基づいた情報を記載しております。間違った認識により誤った情報を記載した場合大変申し訳ございません。その際は是非ともご指摘ください。)

キリスト教国では、自分の洗礼名が聖人の名前から名付けられます。その為、その聖人の祝日を「聖名祝日」として盛大に祝う為、手帳には「お祝いすべき(誕生)日」と書いてあることが理解できました。

分かりやすい例を見つけました。

Valentin(バレンティン) 2月14日

「バレンタインデー」として親しまれている2月14日は聖ウァレンティヌス誕生の日。
日本に住んでいた頃の2月14日は商業目的や日頃お世話になっている方にプレゼントを渡す口実の日の様に使用されていた感が否めなませんでした(←独自の偏見)…が、バレンタインデーの例のお陰様でこの「聖名祝日」に関してやっと納得がいき理解が深まりました。

最終的に、「何のためにこのページは存在しているのか?」と言う自らの問いに対し私が導き出した結論は…
「Fêtes à souhaiter」は聖名祝日を指すが、手帳の中に記載する事により(キリスト教以外の人も)「おめでたい」と思える日を増やし日々を明るくする為に記載されている。
です。
思いも寄らない方向で知識を得る事ができたのでフランスの手帳に感謝です。

まとめ:手帳から読み解く国民性

あくまで市販の手帳1冊から思った事をまとめます。

  • フランス人は休みを大事にする(メリハリをつけて仕事と向き合う)

  • 日本的観点からするとフランス人は休みすぎなんじゃないかと思う

  • フランス的観点からすると日本人はそこまで働かなくてもいいんじゃないかと思う

  • フランスでは家族を優先する傾向が強く、その概念が良しとされている

  • 日本(の手帳)は実用性・効率を重視する事に対し、フランス(の手帳は)実用性に欠けていても精神にゆとりをもたらす工夫を大事にしている

まとまってませんね。それはさておき…

手帳一つでこれだけの発見があると、自分の無知が以下に底なしかを改めて気付かされます。
日本で初めて手帳を買った際も、年齢早見表のページだけで学びの連続でした。年齢の隣に記載されている干支、西暦vs元号など…今まで触れた事のない概念を一つ一つ理解する中で、日本文化について知識を深める事が出来た感動を思い出しました。

思いがけないところに未知は転がっているもんですね。

最後まで作者の超長い独り言にお付き合いいただきありがとうございました。
以上、作者&曽麻綾のSo Much to Wonderでした。

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