「三重県育ちの静岡茶」と「三重県育ちの宇治茶」の話
こんにちは。
名古屋で伊勢茶カフェの店長をしています、松本壮真です。
今日は「静岡茶だからといって静岡のお茶とは限らないよ」「宇治茶だからといって宇治のお茶とは限らないよ」って話をしたいと思います。
ちょっと言ってる意味が分からないかもしれませんが、続けます。
「今日飲んだお茶は三重県産かもしれない」という話
皆様は、三重県のお茶を飲まれた事があるでしょうか?
ウチのカフェに来たことがない方は「三重県ってお茶作ってたんだ」くらいのレベルで三重のお茶って知らない方もいると思います。
でも三重県のお茶生産量は全国3位です。
これは、ココ最近の話ではなく“ずーっと”そうです。僕が中学の時に社会で学習した時から「お茶の生産量全国3位は三重県」です。
なんでこんなに知られてないんでしょう?
というか、そもそもこのお茶ってどこに行ってると思いますか?
①三重県内ですべて消費されていて、三重県以外には販売される事がない「幻のお茶」
②三重県外にも出ているが、ほとんどの人が気づかないように販売されている
実は真実に近い答えは「②」です。
『三重ブランド』に登録する必要がありますが、三重県の畑で取れて三重県で焙煎までしたお茶は「伊勢茶」として販売する事ができます。
三重県で育てて、三重県で加工して、静岡で焙煎したお茶は「静岡茶」と呼ぶ事ができます。
三重県で育てて、三重県で加工して、宇治で焙煎したお茶は「宇治茶」と呼ぶ事ができます。
※下図は「荒茶生産量」のグラフと地図で、「荒茶(あらちゃ)」とはザックリ言うと焙煎をしていない状態のお茶の事を指します
「焙煎した場所」が産地!?という話
少し前まで、最終加工地(焙煎をした土地)がお茶の産地として使われていました。だから三重県で育てたお茶も静岡茶になるし、宇治茶になっていました。
最近はそういった事はやめていこうという流れで、三重県も「伊勢茶」は登録制で「三重県内ですべて完結したもののみを伊勢茶と呼べる」としてブランドづくりをしています。他には八女茶や愛知県の西尾の抹茶なども、すべてその産地で完結しているもののみを呼んでいよい事になっています。
※三重ブランド『伊勢茶』認定農家
ただ残念ながら、現時点で宇治茶も静岡茶もそのような規定を敷いていません。そうするにはシンプルに自分たちだけでは生産量が足りないのだと思います。静岡で育ったお茶だけでは足りず、宇治で育ったお茶だけでは足りないのだと思います。明確なデータがあるか分かりませんが、栽培面積と流通量が明らかに合っていないはずです。
これからのお茶と産地の話
「美味しければ産地はどこでもよい」とも思うのですが、やはり「本当に育った場所はどこなのか」は僕はなんとなく知りたいなぁと思ってしまいます。
「どこの産地のお茶が良い」というよりは、静岡茶として買ったのなら静岡で育ったお茶を飲みたいし、宇治茶として買ったなら宇治で育ったお茶を飲みたいな、という意味です。
「輸入したアサリを砂浜に埋めて育てれば国産として売れる」という、よく分からない話を聞きますが、これからのお茶はそうであってはいけないと思いますし、情報を開示できるお茶づくりでありたいものです。
おまけ:深緑茶房のお茶の話
深緑茶房では三重県内で完結しているというだけでなく、自社の茶葉100%でお茶をつくっています。「生産者は全部自分たちでお茶を育ててるんじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれないですが、まったくもってそんな事はないです。自社の茶葉100%って実は結構珍しいです。問屋さんでなくお茶農家でもお茶を仕入れている事がほとんどです。
では誰からお茶を仕入れているのか。これはまた別の話として後日記事にさせていただきます。
今日はここまで!
また次回!