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【ブログ】ハンドメイド備忘録vol.2【24.8.26】


こんにちは。いよいよ八月も月末を迎え秋に向かって進行していくはずですが残暑厳しく、日中は暑すぎて何もする気になれない昨今です。設置したエアコンの冷風を全て無効化するレベルの暑さにうんざりします。

先日、秋田県は雄物川へ遠征に行ってきましたが想像以上にタフな状況で修行状態でした。ガイドしていただいた現地ローカルの方ですらシブいというのだから、もはやビジターにできることは何もありません。いわく「タカオ(戸澤プロ)だったら釣れる」=デスってるとのこと。

そういえば秋田の末廣ラーメンが美味かったのが驚きでした。仙台のアーケード店はなんか無個性な感じでしたが現地のは醤油の風味が際立つ一品でした。炎天下で電解質不足のせいでおいしく感じたのかもしれません。ラーメンは最高の熱中症対策です。

関係各位この度はありがとうございました。この場にてあらためてお礼申し上げます。

しかし釣れなかったにせよ、いい経験になったと思います。下流、河口はともかく、清流域にこだわって釣るというのがこれほど難しいかと思い知らされました。魚の量や密度が太平洋側にくらべて明らかに少なく、スズキが居たとしてもゲームとして成立させられる箇所はそんなに多くない(あるいは既存の手段以上の開発が必要)ような印象でした。

ハンドメイドでルアーを作る以上すでにあるモノとモノの隙間、痒いところに手が届くようなモノである方が作っていて、使っていて楽しいので、そういう輪をひろげられたらと思います。


シチュエーションは最高でした。

重心移動搭載型スイミングペンシルの制作

さて、近況ですが、数年前にも一度試したことがある挑戦。

それは、バルサルアーに重心移動は搭載可能なのか?という課題。

よく、ウッドルアーの張り合わせ面に移動ウェイトのルームを掘り出して移動式にしている写真を見ます。しかし実際使ってみるとどれだけ止水処理に注意をはらってもほとんどの場合数時間以内に浸水します。持って一日くらい。

それに、中が空洞になるとボディ強度が極端に弱くなるので、圧力や撓みで簡単に浸水します。基本的にウッドルアーは浸水する前提なのでボディの掘り込みだけでは使い物になりません。


そこで、移動ウェイトシステムを独立させて搭載してみることにしました。作り方は単純なK-tenシステム。アクリルパイプにスチール球をいれ、両端を塞いだら、片方にネオジム磁石つけます。正確に言うとアクリルパイプを薄くするために削り出して、キャップは別成型して片方にネオジウム磁石を”内蔵”させます。そこからコーティングして形を整えてあります。

構造が複雑すぎるので、販売品までもってくにはバルサではなく発泡のボーン系になるかもしれません。ウッドでこの構造で作れと言われたらこのサイズでも金額取らないとキビシイような気がしてます。しかし非常によく飛び、アクションもとても優秀なので「どうしても」という方は個人的に連絡ください。

激流キラーの去年作ったモデル。ハイピッチ、ハイフロート系。これに重心移動を搭載したかったのですが、いろいろ考えた末保留。しかし目途たったらまた作るつもりです。

去年作った高速ローリングするスイミングペンシルにしたかったんですが、いろいろ悩んだ結果、別の要素のルアーにしました。今作は幅的にフラットサイドになっているのと、ウェイトが前作よりやや重めに設定したSP~SFくらいの浮力なので軌道は若干グライド系の要素が入ります。

低速でナチュラルウォブンロールともいうべき非常に柔らかい動きですが、ラインスラッグを多めに出したり、ダウン側に鋭角に通すとS字軌道とのランダム切り替えになります。

水押しは弱く、どちらかというと水流を切る感じの動き。フィーディングに入っている魚に見せて食わせるならこれくらい押しが弱くて柔らかい動きのほうが個人的にはイイ。

もちろんバルサ特有の高速ローリングのアクションも物凄く効く場合があるので、そちらも捨てがたいですが。ドリフトで使うならばやはり動きは柔らかい方が反応しやすい気がしてます。

80アップの良い魚でした。

実はルアーテストの際は確実に魚が着いている箇所でやっています。そのなかでもほとんど大型(とはいっても70~ぐらい)しか着かないポイントが結構あって、そういうところでテストしています。

それにはいくつか理由があって、まず「既存のルアーで釣りが成立する」ところである事、「確実についている配置がわかる」こと、雨やローライトで「魚の配置の小変更」が読める事がほぼ確実なので、テスト場にはもってこいなんです。

まず、ルアーのアクションや流れの中でのタイム感や、実際に魚が反応する動きになっているかどうかは、すでに確立した「ルアーと釣り方」という「定点」から類推していきます。

すでに「このピンでこのルアーを投げて巻きだし5秒以内に食う」とわかっているので、次に食わないルアーを探し、そのサイズ感、タイム感、アクションピッチ、アクションタイプに分割し、流速×水深×ストラクチャー:反応するルアータイプ(サイズ・アクション)を分類していきます。そうすることでそのポイントの特性に対する全体傾向が読めてきます。

この地域では特に70~の魚だとアクションとトレース速度がセレクティブになってくるので、実際に有用なアクションに仕上がっているかどうか判断するのにとても有益です。50くらいのスズキだと、変な話、食い気があれば鉛筆にトレブルフックをつけても釣れるので参考にならないんです。

大型になるほどベイト依存じゃなくてアクションやサイズ感(=ドリフト時のタイム感)やアクションのピッチなどに対してとてもグルメになる傾向があると思います。

そういう意味で言うと「ルアーの動き」の追求が根底にあるのかもしれません。

それ以外にも「ストラクチャー、ブレイク、チャンネル、シェード、ベイト」などの複合要素が強くなるほど釣れやすくなってしまいます。

特に「縦ストラクチャーとして機能するもの」が一番やっかいで、水流の壁、シェードなどは縦スト機能を持つので、こうなってしまうと「正確な位置にキャストして、正確なコースを通す」という方向性になり、アクション性能は二の次になってしまいます。

ただ、第一段階として縦スト依存の魚を釣ってから(ハイピッチ系)徐々にルアーに要素を(ナチュラル系アクションへ)フィードバックしていく方向で去年はやっていたのですが、あまりにも効率が悪いので、おもいきって今年は一発目からナチュラルアクションで作って、それがどこまで魚に口を使わせられるのかという方向性に変えました。

あとは、ダウン耐性、アップ耐性をどう調整するか、ジャーキングやトップ的な使い方もできるのか、あるいは出来るためには何が必要か、またはできるようにした際に失われる機能はあるか、そういった細部を料理していこうと考えています。

ともかく、今回、オープン、デイゲーム、中距離のナチュラルドリフトで80アップを食わせられたので、基本的なアクションとしてはばっちり。ここからどういう細部変更を加えるか楽しみです。


カップ付きシャローランナーというスーパーカーのフリした軽自動車

去年から作っていたものにシャローランナーがあります。どうせバルサで作るならば高速ローリングの動き、柔らかい水抜け、食わせ特化のアクションにしたら爆釣ではなかろうかといやらしい事を考えていました。

決してカゲロウのデッドコピー品を作ろうとしていたわけではなく、どちらかといえばソラリアやレスポンダーのような食わせ系シャローランナーにハイピッチローリングを加えたらデイゲームの良いサーチベイトになるのではないかと期待してました。

やっぱ釣れる。きゅうり浅漬け130F。動き的には95%ローリングみたいな感じ。アイボーンとレスポンダーのハーフ。尾っぽデカいねー。

以前からこのルアーでは釣っていて、アップクロス耐性のあるルアー、つまりアップに投げてルアーがアップにあるうちに食わせたいときに使えるかどうかという脈絡で制作してました。

今回は通常テストなので流速の速いピン、ブレイクやスリットに入ったストラクチャー依存要素ではなく、中距離ドリフトでの釣り。淵、トロ場。

このシチュエーションで反応が取れないと本当に意味がないので、内心ドキドキしましたがちゃんと食いました。

75くらいかな。良型で太いナイスワンでした。

カゲロウの人気をもってして各社がカップ付きシャローランナーを出すという謎のブーム起きています。でも実際カップつける意味本当にある?と最近疑惑を持ちつつある(自分も作っておいて言うのもアレだが)

順を追って釈明したいのですが、今回ここで釣った後に瀬絡みに入ってみました。瀬絡みは流速がカッ飛んでるので、スリット状のブレイクや大きなガレ石のヨレなんかにピンで張り付いているわけですが、ナチュラルアクションだと、これがまあ食わない。

食わないこともないんですが、光量+フラッシングとかのオプションで寄せないとどうしても食わなくて、あまりナチュラルすぎるのも場合によってはよくないです。

そこでカゲロウを流すと一撃で食うんですが、やっぱダーターのワープスライドが無いとだめなのか、それとも水押しなのかなんとも言い難いモヤモヤが毎年あります。ダウンにウェイクを入れるとこのタイミングだと食わないので水押しもデカければいいってもんじゃないんです。

100点満点の食い方

カゲロウのアクションはその祖先をズィールのダーターに持ちます。すなわちダーターを早まきしたときに出る強いロールと水押し、それからワープスライド。そしてカップ由来による激流、高速でも破綻しにくく、かつ高速域でも食わせの動きであるという設計。

ただ泳げばいいってもんじゃなくて、最大公約数を取った水押し、ローリングのピッチ。このバランスが非常に秀逸なのが、やはり特徴なのかなと思います。

カゲロウのようなシェイプにすれば売れるのは分かるけど、実際コモモじゃだめなん?それ。みたいな使い方しかほとんどの人してないわけで。しかも機能的に普通のシーバス用シャローランナーとしての能力しか無いと考えるとなんとも微妙な気がしてきます。

だから本質的にはカゲロウというのはシーバス用のドリフト、直引き専用のダーターであって、普通の脈絡でのシャローランナーでは無いという認識です。特に124はその意図がかなり強いと思いますね。

これも結構いいサイズでした。


このような具合にルアーを作っては投げ比べ釣れるのか釣れないのか、比較検討をずっとしています。

ルアーの形状には製作者の意図した思惑があってそれは、機能的なものなのか単に意匠なのか峻別するのには使ってみないとやはりわからないですね。

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