【有料記事】追波川シーバスガイド前編【4月-7月】
はじめに
今回は有料記事にて追波川のシーズン全体を通した解説記事になります。北上川水系全体ではなくあくまで追波川のみに限定します。全体で約8万字程度の内容で、現時点では3編構成です。新書の本でやや少なめのものくらいの文字数になりますが、有料記事ですので内容的には妥当な情報量になると思います。
基本的に釣りの腕は釣行回数と継続年数に比例しますので、この記事の内容を把握できれば1-2年毎晩釣りに出掛けて得られるのと同じくらいの知見を獲得し、釣果目標達成までの時間的コストを大幅に圧縮できると考えています。
本シリーズでは具体的に"どの場所からどういうルアーを投げれば釣れる"のような初心者詐欺は一切しません。当然のことですが、自然相手の釣りは環境パラメーターに対してどう適合戦略を取るかという知略ゲームですので、いついかなる時も通用するメソッドは存在しません。
したがって本稿で提示する情報やメソッド、戦略はアングラーの基本的な洞察力や戦略構築のレベルアップを目的としています。つまり本気でアングラーとして成長したい方や、もう一段階上のステージに行きたい強い願望を持っている方を対象としています。
本稿では水温データや映像など具体的な情報を開示しながら、どのタイミングにどのエリアを選択すべきかという基本的なセオリーを提示し、またベイトパターンやルアーセレクトについても詳細に内容を書いていきます。
よって、需要があると想定されるのは県外からのビジター、釣行回数を確保出来ない方、追波川に通いながらも現状に満足出来ない方向けになるかと思います。
川のポテンシャルとしては週1-2回の釣行だとしても基本的な部分を押さえていればシーズン通して90upは2本、80アップ10本、サイズ問わなければ300本以上は獲れるはずです。
追波川という川
釣り人にとって「オッパ」とは北上川水系のなかで、北上大堰から追波湾までの区間を指します。本稿ではそれに準じて追波川=北上川として扱います。
岩手県を水源とする当河川は歴史的にはもともと市街を流れる旧北上川が鹿又から分流して追波湾へと注いでいました。現在の正式名称は北上川であり、昔からの追波川は福地水門から旧北上川の梨木水門まで。北上川は流路延長249 km、流域面積10,150 km2は、東北地方の河川の中では最大で、日本全国では4番目の規模です。
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地形上、追波川の方が北上川の本流のように見えますが機能的には旧北上川が本流で北上川=追波川が排水路ですので流速は旧北に比べて非常に遅いです。しかも北上川水系全体が傾斜のほとんど無い平野を流れているため尚更遅いのです。
旧北上川を引き合いにだすと、豊里付近の川床は旧北上川河口の平均水位に対して+1m程度しかありません(国交省データ)つまり30kmの距離で落差1mしかありませんので、どれだけ緩いかがわかるかと思います。追波川の方がより流量が少ないですから基本には水溜りのような川です。
追波川の最上流である北上大堰はオーバーフローの1〜6号ゲートと流下の3〜5号ゲートが存在し、平水時はオーバーフローの中央3〜5の三つが開いています。渇水時はオーバーフローが一つだけ開くかたちになります。増水すると1〜6のオーバーフローが開き、次の段階として流下が開きます。(全開)
北上大堰のようす
基本的にはこのサイトで北上大堰の現在のゲートの状況、水温、水位がわかります。2024/6/25現在はサイトエラーにつき見れない状況ですが、そのうち復旧するかと思います。
北上川水系の釣り禁止区域と駐車禁止区域
ビジターで遠征する際に1番気にする部分でもありますが、通い始めたばかりでわからない方もいますので本項に記すこととします。
まず追波川最上流の北上大関の流下から200m地点と旧北上川本流最上流の鴇波洗堰の流下200m地点まで禁漁区域です。したがってここは釣り禁止エリアです。また鴇波洗堰に関しては9月頃から鮭の刺し網が入り、網にルアーが引っかかっているのが迷惑だという話が漁協から出ています。普通にBLUE BLUEのタッグバトルの映像にも出ていますが釣り禁止ポイントです。
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同じ旧北上川で言えば河口の日和大橋から下流は釣り禁止エリアですが、「釣り禁止」の看板等が無いので注意してください。警察、港湾局、漁協で言い分が違っていたりするのでそのあたりも要確認です。
またこの付近は迷惑駐車の問題があるので路駐せずに川沿いに用意されている駐車場にキチンと停めて、心置きなく釣りをしてください。
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北上川水系で明確に禁止されているのはこの3か所になるかと思います。続いて駐車禁止エリアについて紹介したいと思います。
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基本的には注意すべきは中下流エリアです。河川敷に侵入するための側道は漁業関係者が使う通路になっており、日中は特に使用頻度が高いので、駐車しないようにお願いします。
ほぼ全てのポイントは少し離れた場所に駐車出来るスペースがありますので明るいうちに駐車場所を確認する事を強くお勧めします。
その他注意事項
●ヨシ(イ草)の刈り込み
この流域はヨシ原が有名ですが、釣り人によるこのイ草の刈り込み等も度々問題になってますので、特にこのエリアで釣り座の確保のために草刈りをするのはやめましょう。
邪道のバチ抜けパターンのプロモ動画で大人気となったポイントですが、このエリアのイ草は計画的に管理して白川郷の茅葺屋根などに使用されるものです。全面釣り禁になる前にこういった問題を食い止めましょう。
●遊漁券の必要性
また、シーズン始め(4月〜5月頭)はサクラマスアングラーとバッティングする事になるため、遊漁券の購入をおすすめします。シーバスは共同漁業権の指定魚種ではありませんから、法的には買う必要はありません。
しかし、ルアー釣法で釣れる可能性がある事とスズキのみを対象とした釣りである事を一般的な視点から客観的に証明する事が難しいのでトラブル防止の為に遊漁券を入手するに越したことはありません。
本編
シーズンインとはいつなのか?
さて、ここからが本編になります。一般的に追波川のシーバスゲームは6月頭からシーズンインと言われています。実際のところ1番最初に海から登ってくるファーストランのスクールは4月中旬から下旬の時点で北上大堰まで到達しています。
その一つの基準となるのが水温です。基本的に魚は消化酵素の関係上13℃以上にならないと、積極的にエサを食うモードに入りずらいです。
お寺や神社などで冬場に鯉に餌やりを禁止している所が多く見られますが、それは消化酵素が働かず消化不良を引き起こし死亡リスクが上がる為です。
したがって13℃以下になると、特に動物(魚・貝・甲殻類等)食の中型魚は極端に活性が下がります。面白いことに、この時期のクロダイの釣果情報をウォッチしていると、水温13℃が明らかな分水嶺になっていたりします。もちろん落鮎パターンのように特定条件下では水温低下によるカロリー消費を補うためにエネルギー確保の関係から逆に積極的に捕食行動に移る場合もあります。
しかし、シーズン初期は、半閉鎖性の河川内のような場所ではバイオマス的にカロリーを供給できるエサに乏しい為、水温の低下は悪影響である事がほとんどです。シーズンの進行によって河川内のバイオマス増加に従いセレクトできるエサが増えると流域によってベイトパターンが発生します。
4月末~5月下旬までのタイミングはGW突入を境に代掻きの水が入ってきて河川の濁度が爆増します。水量が安定していれば、海水が上げてくるタイミングの間だけ、水の状態の良い箇所に限って釣りになる状況です。
海から遡上してきて間もない魚が多い事と淡水の泥水を嫌って基本的には海水層を非常に強く意識しており、上げ潮の最中のみしか反応しません。
大体5月20日前後に代掻きの濁りは取れてきます。一般的にシーズン開始の合図とされるのがこのタイミングです。
年間データから見る水温の変遷と傾向
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淡水と海水の年間水温グラフ。23'国交相データ参照。
北上川の観測地点は登米付近です。したがって、実際の追波川では水温はこのデータより高くなります。
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