いよいよ来年度の「保活」が始まるシーズン。「保活」という言葉は聞いたことがあるけれど、詳しいことはいまいち分からないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、具体的に必要な書類や申請スケジュールを、東京都を例に挙げてご紹介。後半では、実際に保活を経験した方々のリアルな体験談もお伝えします。
そもそも「保活」とは?
働きながら子育てをしたい場合、子どもの預け先として代表的な施設が「保育園(保育所)」。保活とは「子どもを保育園(保育所)に入れるために保護者が行う活動」のことを言います。就職活動のことを「就活」、結婚相手を見つけることを「婚活」ということがありますが、「保活」もそのような造語です。
なお、保育園(保育所)は0歳から小学校就学前までを対象に預けられるのに対し、幼稚園は3歳から小学校就学前までの子どもを預けられます。保育園(保育所)には、国が定めた設置基準を満たしている「認可施設」とそれ以外の「認可外施設」があり、認可施設は自治体への申し込みが必要で、それ以外の施設は各施設に直接申し込みます。
女性の社会進出やひとり親家庭が増えたことで、少子化が問題視されている状況でも、0〜2歳までに保育園への入園を希望する家庭は年々増加。とくに東京都などの大都市圏を中心に、保育園に入園したいのに入れない「待機児童問題」は継続しています。
とりわけ待機児童が多い自治体では、希望する認可保育園に子どもを入れられるように、入念な準備が必須です。
【自治体別】保活のスケジュールと必要書類は?
保活を効率よく進めるためには、だいたいの年間スケジュールを確認しておく必要があります。情報収集や見学をどれくらいするかは人それぞれですが、認可保育園への入園を目指す場合、以下のようなスケジュールで保活を進めていく人が多いようです。
住んでいる自治体や子どもの生まれ月などによって、細かなスケジュールには違いがあります。正確なスケジュールは、必ずお住まいの自治体で確認しましょう。
東京都文京区の場合
文京区では、「おうちでぶんきょう園見学」として、区内の保育園の保育室や園庭、トイレや給食などを撮影し、各園の雰囲気が伝わるような紹介動画を公開。近くの園を検索できるMAPや、各園の空き情報を確認したり、必要書類の検索ができたりする「保育所案内アプリ」も導入しています。
東京都練馬区の場合
練馬区に限った話ではありませんが、保育園は申し込みをしても必ずしも入れるとは限りません。定員を上回る申し込みがある場合は、保護者や世帯の状況をもとに優先順位をつけます。その際に必要となってくるのが「保育指数」や「調整指数」です。
練馬区ではLINEで「保育指数」のシミュレーションができますので、活用するのもいいかもしれません(LINEで試算した指数と、実際に区が審査して算定する指数とは異なる場合があるので、試算結果は参考程度のものとなります)。
東京都港区の場合
港区には保育コンシェルジュという、ご家庭の事情や希望にあった保育サービスの情報提供を行う専門の相談員がいます。保育園の種類がいろいろあるけれど違いを教えてほしい......保育園の申し込み方法が知りたい......といった悩みをお持ちの方は、活用してみてはいかがでしょうか。
リアルな保活体験談を聞いてみた
8割以上が実際に「見学」へ
編集部では、WEBアンケート(2023年10月実施、n=35)を実施し、リアルな保活体験談を募集しました。
その結果、6割近くが子どもが生まれる前から情報収集を開始。1~3園の申し込みをした人が37.1%と一番多かったものの、中には15園以上申し込んだというツワモノも......!
具体的にどのような保活をしたか(複数回答可)尋ねると、百聞は一見に如かずという理由からでしょうか、「見学」が82.9%と最も多い回答でした。そのほか「保育園運営のWebサイトなど閲覧」(74.3%)、「市区町村の冊子を読む」(65.7%)、「周囲の口コミを聞く」(37.1%)といった回答も目立ちました。
保活においてやっておいてよかったと思うことにおいても、「見学」についてのご意見が多く寄せられました。
保育士さんの働く環境から園を考えてみても
一方で、自治体の担当課にどのように相談するかという点では、さまざまな意見が寄せられました。
そのほか保活についての感想や印象的だったエピソードを尋ねると......
「保育士さんの口コミサイトを参考にした」という人もいらっしゃいましたが、保育士さん目線で保育園を分析・評価するのもいいかもしれませんね。
早め早めの情報収集と準備を
「保活」は、地域によって年によって実情が刻々と変わるため、早め早めの情報収集と準備がキーになります。ただ、申請作業自体はデジタルに移行する自治体も増え、一昔前の煩雑さは多少軽減されているのかもしれません。
そして、アンケートでは68.6%が第一志望の園に入園でき、82.9%が第一志望もしくは第二志望に入れたという結果が。少し希望が持てますね......!
きっと数年でまた状況は変化するはず。手続きの煩雑さや待機児童問題など、「保活」にまつわる課題が少しずつ解消されていくことを願っています。
文:五月女菜穂