分散型エネルギーとは!? エネルギー独立の時代へ
こんにちは。ソルティマのサトウタクマです。
「エネルギーを身近に。もっと自由に。」をモットーに皆様へエネルギー情報を発信致します。
今回が初稿になりますが、テーマは「分散型エネルギーとは!?エネルギー独立の時代へ」です。
エネルギーと聞くと、身近ですが関心がなかなか湧きづらい内容だと思います。
ただ最後まで読んでいただけると、エネルギーの未来がちょっと見えてくると思いますので、お付き合いください。
1.そもそも分散型エネルギーって何?
「分散型エネルギー」について、
資源エネルギー庁の資料では以下のように説明されています
わかりやすく言うと、
分散型エネルギーは「地元で発電し、地元で消費する」ためのエネルギーで、特定のエネルギー会社や送電網に依存しない仕組みです。
以下が国が示す分散型エネルギーのイメージです。
分散している小規模なエネルギー設備(太陽光発電、蓄電池、電気自動車など)をネットワークでつなぎ、あたかも一つの大きな発電所のように管理・運用するシステムです。
これにより、電力の需給調整や効率的なエネルギー活用が可能になります。
これをVPP(バーチャルパワープラント)と呼んでいます。
では、なぜこのようなシステムが求められたのか、それは東日本大地震が契機となります。
13年前の大地震で福島原発の事故を皮切りに、計画停電など需給バランスが崩れた事により生活環境に大きな影響を与えました。
また政府のFIT制度の立ち上げにより、再生可能エネルギーの爆発的普及しました。
つまり、これまでは電力会社への依存が強かったところに対し、再生可能エネルギーシステムが導入されたことで、個人や事業者がエネルギーを自ら発電する動きが広がりました。
限られた送電網の中で、送れる電気の量は限られています。だから地域単位でのエネルギーをマネジメントする必要が出てきました。
つまり地域内でエネルギーをコントロールして「地産地消」するという考えが、分散型エネルギーとVPPのコンセプトです。
最近は、カーボンニュートラルや災害対策、エネルギー調達コストの増加から、より一層注目度が上がってきています。
2.分散型エネルギーで活用されるツール
第1章では、分散型エネルギーについての概要をお伝え致しました。
第2章では、具体的な設備やツールがどのような役割を果たし、分散型エネルギーを形成していくかをお伝え致します。
エネルギーには、大きく分けると2つあり、「電気」と「熱」です。
またそれぞれを「つくる」「貯める」という役割別に5つのカテゴリーがあります。
分散化エネルギーでは、それぞれをうまく組み合わせることによる実現されます。
①〜⑤までのカテゴリー別に見てみましょう。
①電気をつくる(再生可能エネルギー)
いわゆる「発電」は、再生可能エネルギーが分散化エネルギーにおいて担います。主な電源としては「太陽光」「風力」「地熱」といった自然エネルギーを材料としているので、原材料費がかからないのがメリットになります。
②電気+熱をつくる(コージェネレーション)
「コージェネレーション」という言葉は聞いたことない方でも「エネファーム」という言葉は聞いてことがあるのではないでしょうか。
簡単に説明すると、ガスに含まれる水素と空気中の酸素を化学反応させ、
電気と熱を作り出し、発電と発熱を同時に行うシステムです。
③熱をつくる(ヒートポンプ・ボイラー)
熱をつくる分野では、ヒートポンプの活用が見込まれています。ヒートポンプ技術を活用した代表例が「エコキュート」です。ただ大規模な熱にはヒートポンプの熱量だけでは追いつかないため、従来のボイラーも引き続き活用しながら、熱を作り出していきます。
④電気を貯める(蓄電池)
蓄電池の技術は、ここ数年で電気自動車で知られる「テスラ」をはじめ、産業用の大規模蓄電池の開発が進んでおります。電気は需給バランスを整えるため、太陽光で日中発電した電気を蓄電池で貯めておき、夜間で使用することも可能になります。
⑤熱を貯める(蓄熱槽)
熱を貯めるということは、あまり聞き馴染みがないと思います。実際、私も知らなかったのですが、実際に蓄熱槽を販売されている株式会社大気社さんには、以下のような説明がありました。
また①〜⑤がそれぞれ勝手に作ったり、貯めたりしては効率が悪くなってしまいます。
それを取りまとめる為に使われるエネルギーマネジメントシステムが下記になります。
それぞれの施設に、EMS(Energy Management System)を付けて、HEMS(家)、MEMS(マンション)、FEMS(工場)、BEMS(ビル)となります。
それをまとめるのがCEMS(地域)です。
ここで第1章でご紹介した下記図を思い出してください。
そこでなんとなく登場していた「アグリゲーションコーディネーター」が、その取りまとめ役であり、活用するツールがCEMSになります。
また「リソースアリゲーター」が工場であれば、「FEMS」、ビルであれば「BEMS」、マンションであば「MEMS」、住宅であれば「HEMS」となります。
IOTとAIの発展により、このエネルギーマネジメントが、より正確かつ精密にリアルタイムに予測制御が可能になりつつあります。
例えば、電力需要が逼迫する時間帯は、工場やビルなどのFEMSやBEMSを活用して省エネに切り替えたり、蓄電池で貯めたエネルギーを回すなどのトータルバランスを考えた運用が瞬時に自動で可能になります。
分散型エネルギーやVPPがもたらす未来が少しでも想像できましたでしょうか。
3.私たちが分散型エネルギーで得られる価値
分散化エネルギーが私たち個人が、どのように参加して、どのような価値が得られるか、を最後にご紹介致します。
まず皆さん自身が分散型エネルギーを得るためには、ご自宅に「太陽光パネル」や「蓄電池」のシステムを組み込んでもらう必要があります。
仮に将来的に導入した場合の価値はどのようなものか3つご紹介します。
1) エネルギー自給率の向上とコスト削減
まずは、電力会社からの購入に依存せずに電気を賄えるため、ご自身のエネルギーの自給率が向上します。
また蓄電池がある事で、余剰電力を電気供給が少ないタイミングで、高く売電したり、ピーク時間帯の電力消費を自家発電で補ったりすることで、電気代の削減が期待できます。
資源エネルギー庁の2022年のデータによれば、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた家庭では、「再生可能エネルギーの導入実績と効果」によると、太陽光発電と蓄電池を併用した場合、家庭の電気代は30-50%削減できるとされています。
2)災害時のレジリエンス向上
分散型エネルギーを持つ家庭や建物では、停電が発生しても蓄電池や自家発電設備で電力を賄えるため、非常時の備えとしての効果が高まります。
災害の多い日本において、このレジリエンス向上は大きな価値を持ちます。
経済産業省や総務省による「災害に強いエネルギーインフラの構築」レポートでは、2019年の台風19号による大規模停電では、蓄電池を備えた家庭が大きな役割を果たし、電力の供給に困らなかった事例が報告されています。
3) エネルギー選択の自由度と環境貢献
分散型エネルギーは、ユーザーが使用するエネルギー源を選択できる自由度を高めます。
例えば、太陽光発電や風力発電のような再生可能エネルギーを選ぶことで、環境負荷の低減に貢献でき、カーボンニュートラルなライフスタイルの実現に近づきます。
また、分散型エネルギーは、地球温暖化の原因となる温室効果ガス排出の削減にも寄与します。
日本政府も2050年カーボンニュートラル達成のため、分散型エネルギーの普及を推進しており、個人の積極的な参加が期待されています。
1)〜3)のいづれも皆さんが想像できる価値だと思います。
私が個人的に一番価値を感じる点は、
地方にこそ分散型エネルギーの実現が活性化に繋がったり、地域の独自性や戦略性を出すことができる点が非常に面白いと感じました。
今後も制度や設備などテーマごとに掘り下げた内容をアップ予定です。
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