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私の時間は、続いていく_220424

ここのところ、そわそわと日々を過ごしていた。

「奇跡!本当にチケット当たった!明日一緒に行ける?」
「もちろん!もちろん!!」

電話越しに持ち物確認をしながら「執念は実るね〜」なんて笑い合ったのはもう、5年も前なのだ。嘘みたいな猛スピードで、時間は過ぎている。

2017年の8月6日は、Mr.Childrenの25周年ツアー『Thanksgiving 25』の、
日産スタジアム2日目だった。

タオルを首にかけて、つばの広い帽子をかぶった私たちは、自由が丘駅構内で待ち合わせて、小机駅で降りた。そして、スタジアムへ続く長い行列に並んだ。
「『HANABI』演ってくれるかなぁ」「そりゃ演ってくれるよ!」なんて話しをしながら。

『シーソーゲーム』のイントロへの大歓声にはじまり、それぞれに好きな『HANABI』や『Simple』で顔を見合わせ、『innocent world』に『Tomorrow never knows』や『名もなき詩』……名曲ばかりを浴びて、大声で歌った。

日陰なんてない、灼熱の太陽の下で2時間超。
パイプ椅子に一度も座ることなく、彼女はずっとステージを見つめていた。

私は、内心はとても心配していた。でも「大丈夫?」と聞きすぎることも違うような気がした。
結果、私ばかりが「暑いーきついーでも最高!」と騒いで、彼女はそんな私を見て笑っていた。

全27曲の最後、『終わりなき旅』でライブの幕が閉じた後、「30周年も絶対観に来たいなぁ」と彼女は言った。

「その強運でまたチケット当ててよね」と言った私は多分、泣きたいのか笑いたいのかわからない、名前のつけられないひどい顔をしていたと思う。

「自由が丘で降りて買い物してくよ」
「わかった。気をつけて。また近々ね」

彼女と別れたあと、彼女の未来を信じきれていない自分が情けなくなった。
でも、わずかな哀しみを発露したらそれが現実になってしまいそうで、
ぐちゃぐちゃな感情を飲み込んだ。

落ち着かないほどに待ちわびたメールは届いた。彼女が行きたいと願った30周年のライブのチケットは、当選していた。

「チケット当たったよ!東京ドームもあったけど、やっぱり日産スタジアムだよね」

すぐに彼女に伝えたくて、彼女の妹に連絡をしたら、「絶対喜んでる!」という返事がきた。私もそう思う。ツンデレのデレの顔しか浮かばない。

その後は、半袖で夏を感じながら、ずっとミスチルを聴いて過ごした。
彼女がいなくなってから一番、彼女を感じた日だった。

そして翌日の私は、朝から渋谷へ出て、クライアントから紹介された新しいひとと会った。ひと目ですぐに仲良くなれることを確信する、珍しく嬉しい出会いだった。

私の時間は続いていく。

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