柚木さんの魔法
2月16日(大風)
私の父は絵を描いている。今のところは、絵描きとして生計を立てている人生ではないが、高校生の時から現在まで、とにかく絵を描き続けている人だ。
そして、義理の父も絵を描く人だ。
そのふたりに2022年のクリスマスプレゼントとして、柄違い・色違いの靴下を贈った。それは、染色工芸家の柚木沙弥郎さんがデザインしたものだった。当時100歳ながら益々世の中に求められているというすごさ、創作の炎が絶えることのない様、そして何より朗らかでチャーミングな佇まい。ふたりの父にもそのご加護がありますようにと、願いを込めてのことだった。
その柚木さんが先月末(1月31日)に102歳で亡くなったというニュースが飛び込んできた。「あぁ柚木さんも亡くなるのか」という間の抜けたような気持ちになった。
そして父たちだけでなく私たち夫婦にも欲しいなぁと思い、ひっそり買い求めていた靴下を、今日おろすことにした。
この靴下を履いたら、上手くいかないことがあっても人生の大先輩が支えてくれる気がする。柚木さんがいなくなっても、柚木さんの魔法は続く。