盗作ライブ
非常に濃い1時間半だった。母に「あっという間だったね」と言われたとき本当にライブが終わってしまったんだと実感した。すごくすごく悲しくなった。ついさっきまであんなに楽しかったのに。幸福感と喪失感で満たされている今、忘れないようにここに書き残しておこうと思う。
今思えばライブ中はずっと宙に浮いたような感じだった。入場を待っている間、入場時間が近づくにつれて鼓動が速くなっていった。緊張していた。なんで私が緊張してんだ。入場の際母に「チケットの表示の仕方教えて」って言われたのに緊張してたから混乱して教えられなかった。母にキレられた。ごめんね。私たちはチケットを別々に購入したのでお別れして自分の座席へ。少し迷いながらも無事に着いた。数字で見たときはすごく近いと感じたのに近いのか遠いのかわからなかった。会場は霧で視界が霞んでいて、鳥のさえずりと風の音が聞こえた。それだけじゃなかったかもしれない。スクリーンには青い空、草原に咲く一輪の花が映っていた。あぁ、ヨルシカのライブなんだ。そう思った。開演まであと1時間弱。入場時に貰った「生まれ変わり」を読もうと思いページをめくった。なんだか見覚えのある文章だった。負け犬だ。負け犬アルバムに封入されていたものだ。なんだかそこでもう泣きそうだった。この文章とこの盗作ライブに一体どんな関係性があるのだろうかと思った。授業中黒板が見えにくいからと言う口実で、この日のために買った度入りの眼鏡を着けて、開演を待った。
会場が暗くなった。私の鼓動はまた速くなった。ナブナさんだけがステージに入ってきた。帽子をかぶっていたしなんかちょっとスリムになっていた気がする。ナブナさんの朗読。生まれ変わりの話だと思ったけどなんか違う。たぶん旦那さんと奥さんの幼少期の話。少しリズムを付けた読み方もしていて月光ライブを彷彿とさせた。
春ひさぎのイントロが流れた。ベースとドラムの音が心臓に響いて鳥肌が止まらなかった。suisさんの歌声が響く。どうしよう。体を前のめりにして目に力を入れた。ナブナさんすごいノリノリで演奏してた。本当にすごいノリノリで少し笑ってしまった。楽しい。一曲目から心を奪われてしまった。
休む暇もなく思想犯。すごく楽しみにしてた思想犯。また目に力を入れる。「君の言葉が呑みたい」のsuisさんがずっと優しくて大好き。
強盗と花束。イントロのギターフレーズもサビのノリ感も本当に大好き。テンポは落ちているのに、楽器の音とボーカルがより一層大きくなって会場に響く。広い会場だからか、音圧がすごかった。
suisさんがベンチに座って水を飲む。口紅かなんかを塗っていてなんだか可愛かった。ナブナさんの朗読。これから花火大会に行く話。私の頭の中はずっと夜行のMVが流れていた。
昼鳶。ナブナさんのPhunkdified。また興奮して少しにやけた。そしてお馴染みのギターイントロ。ここで私はどきりとした。なんでもスカリーンになんかちょっとえっちな映像が流れているから。いろんな二人組がキスしてる映像。最後には顔が塗りつぶされていく。ただエロだけではないんだろうけど私には刺激が強すぎた。suisさんの舌打ち、良かった。
レプリカント。左右でギターが鳴る。これも私がライブで聴きたかった曲の一つだ。ずっと待ってたレプリカント。warningって書かれた映像が流れていたのは覚えてる。ナブナさんずっとノリノリで楽しそう。はっちゃんさんのヘドバンが凄かった(会場全員分のヘドバンをやられてたみたいです。嬉しい)。
歌い終わってsuisさんが水を飲んだと思ったら休む間も無く花人局。この流れをライブでやるとは思わなかったから驚いた。スクリーンには洗面台が映ってたかな。歌い出しが本当にかっこよかったな。
今思い出したけど、どこかでステージから光がさしてきた。その光は会場の霧も照らして、その霧がまるで雲のようだった。すごく綺麗だった。ナブナさんのハモリが死ぬほど良かったこと、suisさんがメンバー(主にナブナさんとキタニ)に積極的に目を合わせていたことを忘れないうちに今書かせてほしい。2年前のライブでは敢えてsuisさんと目を合わせないようにしていたらしいナブナさんが、たくさんsuisさんと目を合わせていて、すごくすごく胸が締め付けられるような気持ちになった。ヨルシカ大好きです。
話を戻して。ナブナさんの朗読。奥さんの話。ここで幽霊に出会った女の子は奥さんだということがわかる。そういう関係があったのかあ。しかもそれだけじゃない気もした。楽しくなった。真っ赤なスクリーンに百日紅と書かれた映像が印象的だった。「うちとけて一輪草の中にいる」
ここでステージの雰囲気が一気に変わったような気がした。キタニはアップライトベースに、マサックさんはジャンベに、皆がステージの真ん中でsuisさんを囲んでいる。逃亡。演出なのか私がそう感じただけなのかわからないけど、少し暗い感じの逃亡に感じた(皆のレポを読んでみたけどたぶん私がそう感じただけ)。長調ではなく短調っぽいような。ピアノの音だけ妙に明るくてなんだか怪しかった。suisはんの「さぁ、」はやっぱりずっと特別な気がする。風を食む。これも待ってた。ライブアレンジがあって同じ曲なのに全然違う感じがした。「貴方しか貴方の傷はわからない」私の大好きな歌詞。生で聞くことができるなんて。生きててよかったと思った。淡色で作られた映像からも風を食むの優しさを感じられたような気がした。
夜行。この曲はこのライブには絶対に欠かせないと感じていた。怒涛の優しい曲ラッシュに心が掴まれている。この曲はsuisさんの高いけど低い声がなんだか苦しそうですごく切なくなる。
嘘月。この曲も私も泣かせにきていた。suisさんの歌い出しが優しい。ピアノのアレンジが原曲よりも可愛くなってた。欠けた月が映っていた。
ナブナさんの朗読。帰り道の話。旦那さんはずっと奥さんだけしか見えていないことがわかる。旦那さんと奥さんには私たちの知らないもっと深い何かがきっとあるんだろうな。
盗作。サビでステージの上にきらきらと光るガラスの破片のようなものがすごく綺麗だった。盗作のMVを思い出させる。破壊衝動の曲。ナブナさんずっと暴れてるなあ。
ここで私の知らない曲が流れる。まさか新曲とか歌っちゃうのかと思ったら爆弾魔。私こういうの大好きなの把握されてるのかな。「わかってるんだ」力強く歌うsuisさんに引き込まれた。この曲をこの盗作ライブで聞けて本当に良かったと思う。
春泥棒。サビの盛り上がりがすごく気持ちがいい。億劫のうーのところでsuisさんちょっと声掠れて胸に手を当てて歌っていたのが印象的だった。「今日も会いに行く〜」からそれぞれの楽器が鳴るところで、原曲とは違うリズムで弾いていてすごく楽しかった。桜が舞うような演出もすごく素敵だった。
花に亡霊。suisの可愛らしくてでも消えてしまうような歌い出し。本当にこれを聞いたら全部終わっちゃうような気がした。たぶんこの照明の演出が一番明るかった気がする。suisさんが目を瞑って歌っていたのがよく見えた。
ナブナさん以外の全員がステージを去った。悲しくなった。ナブナさんの朗読。前世の話。「もしかしたら」って捲し立てるように話す声は、「もしかしたら」って私の鼓動もどんどん速くなる。幽霊に会った少女は奥さんだった。じゃあその幽霊は?
「あぁ、そういうことだったんだ。」
視界がぼやけてきらきらしていて全てが繋がったような感覚。盗作とは何か。自分の中で腑に落ちた感じがした。
ライブと言えばいいのか、映画と言えばいいのかわからない。「盗作」を見れて良かった、聞けて良かった、心の底からそう思う。あっという間だった1時間半だったけど、あの場に入れて本当に良かった。ありがとうございました。
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