水 with me
宇宙植民時代のムーブメントに乗り遅れた地球はご存知の通りホジョジョ星の植民星としてホジョジョ星人たちと貿易関係にある。
植民星といっても地球支配種ホモ=サピエンスが過去に行ってきたような野蛮な支配では無くせいぜい支配星が優先的な交易権を持つとかその程度のモノであった。
して地球の特産品は水の惑星の異名に偽りなくまさにH2O、水のそのモノである。
そのためホジョジョ星人との接触の後も地球での生活が苦しくなる事ような事は無く、むしろホジョジョ星人が水との引き換えに授けてくれる新しい技術によって生活の質はみるみるうちに向上していった。
はじめは生命維持に水を必要とする以上、生物学的に考えればホジョジョ星にも水は存在しているはずなのになぜ水を要求するのだろうと疑問に思う声もあったが海水を汲み出して連中に渡すだけで生活の質がみるみる上がっていくのだから次第にそのような考えを持つ人はいなくなったのだ。
しかし、地球とホジョジョ星人たちの交易にも終わりが訪れた。かつて地球表面の7割をしめていた海の割合が徐々に減り始めたのだ。海水でさえこの有様なのだから生活用水や飲料水に関してはかなり切迫している状況にあった。人々はホジョジョ星の技術に甘えたいがばかりに水不足の問題を先送りにしていたのだった。
水が無いと分かるとホジョジョ星人はさっさと引き揚げてしまい地球上では大慌てで対策の話し合いが始まった。
かくして、話し合いのすえホジョジョ星人から授かった技術によって生み出された長距離ロケットが地球を旅立った。
目指すはシリウス恒星系の生命圏“ハビタブルゾーン”にある惑星である。ここでは地球よりも幾分か遅れた知的生命体の文明が確認されている。
ロケットはシリウス系内に入ると敵意がないことを宇宙共通信号電波により表明し、無事その惑星に着陸した。
「やあ、皆さんはじめまして。我々は太陽系にある地球からやってきました。何を隠そう我々はあなた達と交易をしたいのです。このロケットの技術教えましょう。なに?我々の星に対価となる充分な資源がありません?
そうですねぇ、周回軌道からみたあなた達の星の海はとても綺麗でした。
どうでしょう代わりに水をいただけませんか?」
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