資格参画社会
カメラ資格、ギター資格、登山資格、海水浴資格…
「不便な時代なったものだな」
私は投函された『最新版あなたの趣味を彩る資格カタログ!』をゴミ箱に投げ込んだ。
窓の外に目を向けると子供たちが公園の門のカードリーダーに免許証をかざしてから我先にとブランコのほうへ駆けていく様子が見える。
遊具遊びが免許制になって早数年。最近では幼稚園入学を控えた親子が遊具講習センターに向かう様子が春先の風物詩だ。テレビをつけると最近話題の「現金携帯の資格化政策」の特集をしている。賛否両論らしいがどうなるのだろう。
よくよく考えてみればおかしな話である。かつては動物を狩って得た肉を糧にしていたそうだ。しかし、今では動物の狩猟はもちろん買い物にすら資格が必要だ。これでは生きづらくて仕方がない。
そうえいば先程のカタログと一緒に資格社会反対活動のビラも投函されていた。少々過激だが革命もやむを得ない世の中である。資格社会を変えるために私も参加するべきであろう。
その前に準備が必要だ。私は受話器を手に取りダイヤルを回す。私の手で革命を起こし資格の必要ない楽な社会を作り出すのだ。
「…もしもしこちら資格センターです。本日はどのようなご用件でしょうか。」
「はい、革命の資格を取りたいと思いまして…」
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