【二次創作】ワトソン×ホームズ死別モノ【なんでも許せる方向け】
243段…244段…245段…246段…
私は階段の数を数えていた。
君のことだ、どうせ階段の数を覚えているかい?とか抜かすんだろう。
377段…378段…379段…380段…
観察がどうとか思考がどうとか。君のしたり顔が目の浮かぶよ。
521段…522段…523段…524段…
思えば君に会うの何十年ぶりだろう。君が居なくなってからは随分穏やかな日々だった。
頂上の光が見える。
997段…998段…999段…1000段。
「やあ、久しぶりだな」
しかし、返事は無い。
ふと下を覗き込む。
雲の空の大地の、更に下。
全ての底に彼はいた。
安楽椅子でパイプを燻らせている。いつもと変わらずに。
よくよく考えれば彼が“向こう側”にいるのは当然のことに思えた。
彼はそう言う男なのだ。
「参ったな、数え直しだ」
一段…二段…三段…四段…
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