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なぞなぞ星人2

「朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足。この生き物は何か?」

スフィンクスは旅人に問いかける。

彼は番人でありこの問いかけは彼の使命である。

この日の旅人は銀色の円盤だった。

早朝の陽光を反射して輝く銀色の円盤。

なぜ、こいつは浮いているんだ?

そんなスフィンクスの疑問を他所に円盤の下から半透明の黄色い光線と共に珍妙な生き物がゆっくりと地上へ降り立った。

そいつは四本の足で地面を踏みしめこちらへ近づいてくる。

スフィンクスの頭は疑問でいっぱいだった。最も、質問しているのはスフィンクスの方なのだが。

「その問いかけはなんだ?」

円盤の主が訊ねる。

「これはなぞなぞだ。答えられない者をエジプトに入れるわけにはいかない。」

スフィンクスは疑問を振り払い使命に忠実であろうとする。

「むむむ、しばし考えさせてくれ」

円盤の主はその場でピタリと止まって考え始めた。

やがて昼になった。

「どうだ、答える気になったか?」

「もう少し考えさせてくれ」

円盤の主はいつのまにかどっしりと地面に腰掛け、その二本の足であぐらを組んで考えを巡らせている。

む?二本?朝は四本だった気がするが姿を変えたのか。珍妙な生物もいたものだ。銀色の円盤は宙にとどまったままで砂漠の正午の日差しから円盤の主を守っている。

もはや何も驚くまい。しかし、いつまで考えているつもりだ。次の旅人からは時間の制限を設けることにしよう。

やがて夜になった。

「ユリイカ!」

円盤の主はその三本の足ですっくと立ち上がり叫んだ。

「それは私のことだろう。通らせてもらうよ」

銀色の円盤から再び半透明の光線が放出され、円盤の主は吸い込まれていく。

スフィンクスは呆気に取られていた。

比喩そのものではないか。これではなぞなぞでは無くクイズだ。だいたいあの生き物はなんだ。どこから来たんだ。

だが、やはりスフィンクスの疑問を他所に銀色の円盤は月や星々の輝きを反射しながら飛び去って行った。

それは、もはやこの星のモノとは思えず、むしろ…むしろ、むしろ…なんだと言うのだろう…

何年かたった後、スフィンクスの目の前に珍妙な建物が建築され始めた。

それは石でできた巨大な四角錐だった。

指揮を取っているのはいつしかの円盤。それも見たこともない技術を駆使して人々を使役している。

円盤の主の指揮のもと、古代の文明の限界を超えた巨大な四角錐は次々とエジプト中に建造された。

何百年の後、エジプトは衰退し旅人は訪れ無くなった。円盤は去っていき、巨大な四角錐が造られることも無くなった。

何千年の後、時代は変わり多くの旅人がエジプトを訪れる様になっていた。

もだが、スフィンクスはなぞなぞを出さない。もはや守るべきエジプトはそこに無かったからだ。

人々は口々に言う。

「驚いたナポレオンの言ったことは本当だったのだな。ここまで巨大とは」

「しかし、どうやって建造したのかまるで見当も付かない。それも何千年前にだ」

「まさか、宇宙人が手を貸した。なんてことは無いよな。いや、まさかな…」

使命を終えたスフィンクスはただ見守るのみであった。









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