公務員が生成AIパスポートの勉強をはじめてみた
0.はじめに
生成AIの波が行政にも押し寄せ、業務効率化やサービス向上の切り札として期待が高まっています。公務員として、この流れに乗り遅れるわけにはいきません。
生成AIを使いこなして「残業時間の削減」、「創造的活動の時間の確保」「より質の高い政策立案」「市民への迅速な情報提供」など実現したいなという青写真を描いています。
そこで生成AI初心者公務員の私も、AIリテラシーを身に付けるために、「生成AIパスポート」の学習をはじめてみました!
この資格は、生成AIの安全に使うための基礎知識が網羅されており、行政を担う私たちにとって必須のスキルを身につけるきっかけとなりそうです。
早速、公式テキストを購入して、読んでみましたが、専門用語も多く、構成も若干技術者向けです。
そこで、私の情報処理の学習経験を踏まえ、よりスムーズに学習を進めるための効果的な学習方法や、生成AIを活用する上での注意点などをまとめてみました。これから学習を始める方、あるいは既に学習中で行き詰まっている方の参考になれば幸いです。
1.生成AIパスポート攻略法~初心者でも大丈夫!~
公式テキストは「生成AIの概要」から始まり、「技術基礎」「動向」「情報リテラシー」「プロンプト実例」と続きます。技術的な解説から始まるため、ITに不慣れな方にとっては少々ハードルが高く感じるかもしれません。
私も最初は「ノーフリーランチ??」「ルールベース??」などの言葉がすぐには入ってきませんでした(笑)。専門用語の羅列に圧倒され、早くも挫折の危機…という方もいるのではないでしょうか。
そこでオススメしたいのが、後ろの章から読んでいくという学習方法です。特に、最後の「プロンプト実例」の章からスタートするのが効果的です。この章では、具体的な活用事例を通して、生成AIでどんなことができるのかをイメージすることができます。例えば、「住民向けのお知らせを作成」という課題に対して、どのようにプロンプト(AIへの指示)を入力すればいいのか、どのような結果が得られるのかを実際に手を動かしてみるのがいいと思います。
まるで料理のレシピ本のように、まずは完成形である「料理」を味わってから、材料や手順を学ぶ方が、理解も深まり、学習意欲も持続するものです。生成AIの勉強も同じです。具体的な活用例をイメージしてから技術的な説明を読むことで、「なるほど、だからこんなことができるのか!」と点と点が線で繋がっていく感覚を味わうことができます。
2.これだけは知っておきたいAIの注意点
生成AIは強力なツールである一方、その利用には潜在的なリスクも伴います。公務員としてAIを活用する上で、特に注意すべき点を詳しく見ていきましょう。これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることで、安全に生成AIを活用できます。
著作権侵害: 生成AIが作成した文章や画像が、既存の著作物を侵害していないか、厳密な確認が必要です。
差別・倫理的問題: 生成AIが出力した情報に、差別的な表現や倫理的に問題のある内容が含まれていないか、注意深くチェックする必要があります。AIは学習データに基づいて出力するため、バイアスが含まれる可能性があることを常に意識しましょう。
個人情報漏洩: 生成AIに個人情報を入力する際は、情報漏洩のリスクを十分に考慮し、適切な取り扱いを行う必要があります。機密性の高い情報は入力しない、入力する場合は匿名化するなど、情報セキュリティ対策を徹底しましょう。
フェイクニュース・偽情報: 生成AIは、フェイクニュースや偽情報を作成するために悪用される可能性があります。情報の真偽を複数の情報源で確認する、ファクトチェックを行うなど、情報リテラシーを高めることが重要です。
悪意のあるコード作成: 生成AIが、悪意のあるコードを生成する可能性も否定できません。生成されたコードをそのまま実行するのではなく、セキュリティ専門家によるチェックを行うなど、慎重な対応が必要です。
これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることで、安全かつ効果的に生成AIを活用することができます。
3章:AIのしくみ
生成AIの能力は、設計されたアルゴリズムによって実現されています。これらのモデルを知ることで、生成AIがどのように動作し、どのような可能性を秘めているのかをより深く理解できるきっかけになります。
3.1 自己回帰モデル (Autoregressive Models)
自己回帰モデルは、過去のデータに基づいて未来のデータを予測するモデルです。天気予報や株価予測のように、時系列データの分析に用いられます。
例:過去の予算執行データから将来の予算需要を予測する
3.2 CNN (Convolutional Neural Network)
CNNは、画像データの処理に特化したモデルです。画像から特徴を抽出し、画像認識や物体検出などに利用されます。生成AIの分野では、画像生成、画像変換、画像補完などに応用されています。
例:都市計画の図面から建物の種類を識別する、防犯カメラ映像を解析する
3.3 GAN (Generative Adversarial Network)
GANは、生成モデルと識別モデルという2つのAIが競い合うことで学習するユニークなモデルです。生成モデルは偽物のデータを作成し、識別モデルは本物と偽物を見分ける役割を担います。この競争を通して、生成モデルはより精巧な偽物データを作り出すことができるようになります。
例:防災シミュレーションのための仮想的な災害状況を生成する、写真のようなリアルな画像の生成
3.4 Transformer
Transformerは、自然言語処理の分野で大きな成果を上げているモデルです。代表的な例として、BERTやGPTがあります。
BERT: 自然言語理解に特化しており、検索エンジンの精度向上などに利用されています。
GPT: 文章生成に特化しており、高品質な文章を生成することができます。例えば、文章の要約、質問応答、翻訳などに利用されます。
他にも様々なTransformerモデルがあり、画像認識や音声認識などにも応用されています。
3.5 生成モデルの課題
生成モデルには、データの不足による生成品質の低下や、モデルの誤った出力、バイアスといった課題も存在します。これらの課題を克服するための研究開発が盛んに行われています。
4.実践あるのみ!~手を動かして学ぶ~
何でもそうですが、生成AIの学習も、実際に手を動かして実践することが重要です。色々なツールを試してみて、自分に合った使い方を見つけましょう。以下に、初心者でも簡単に試せる課題をいくつか紹介します。
記事の要約: 長いニュース記事やレポートなどを生成AIで要約してみましょう。要約の長さやスタイルを指定することで、様々なバリエーションを試すことができます。
SNS投稿の作成: イベント告知やお知らせなどを生成AIで作成してみましょう。ターゲット層や伝えたい内容を明確にすることで、効果的な投稿を作成できます。
議事録作成: 会議の音声をテキスト化し、要約を作成してみましょう。議事録作成の手間を大幅に削減することができます。
プレゼンテーション資料作成: プレゼンテーションの構成や内容を生成AIに考えてもらいましょう。
翻訳: 英語や中国語など、様々な言語に翻訳してみましょう。
これらの課題を通して、生成AIの様々な機能や活用方法を学ぶことができます。
5.生成AIを使いこなす未来~ブレストパートナー~
生成AIは、まるで頭の中身をブレインストーミングしてくれる頼もしいパートナーのような存在にもなりえます。私も、生成AIに案だしやブラッシュアップに付き合ってもらっています。
生成AIは、業務効率化にはじまり、政策立案や住民サービス向上のための新しいアイデアを生み出す、報告書作成の効率化を図るなど、様々な場面でその力を発揮してくれることが期待できます。
生成AIを効果的に活用することで、私たちはより創造的な業務に集中できるようになります。生成AIパスポートの学習を通して、AIリテラシーを高め、AIを活用した行政サービスの向上をめざすわけですが、まずは、勉強して、手を動かして生成AIを使いこなせるようにならないといけないです。
そして、経験に基づく知識だけでなく、体系的な学習を通して確かな知識を身につけることが重要です。生成AIパスポートは、そのための有益な資格と言えると思います。
AIパスポートを取得する頃には、生成AIの基礎知識を身に付け、ブレインストーミングのいいパートナーになれるはずです。そういった学習や経験を通して、AIの特性や活用方法、そしてリスク管理について体系的に学ぶことができます。この知識は、行政サービスの様々な場面で応用できます。例えば、
市民対応の効率化: AIチャットボットの導入により、24時間365日、多言語での対応が可能になります。
正確な情報提供: 膨大なデータに基づくAIによる情報分析で、迅速かつ正確な情報提供を実現します。
政策立案の高度化: AIによるシミュレーションや予測を活用し、エビデンスに基づいた政策立案を支援します。
新たなサービス創出: 生成AIを活用した革新的なサービスを開発し、市民のニーズに応えます。
これらのスキルを習得することで、AIを効果的に活用した、より効率的で質の高い行政サービスを提供できるようになります。
私自身も、次回の2月の試験に合格できるように頑張ります。