見出し画像

鍵屋は呼ぶな、絶対にだ!!

 日曜の夜、22時からの夜勤に出かけた。筆者は某コンビニエンスストアでアルバイトをしており、日曜は必ず夜勤に入ることになっていた。家を出る際、当然のこととして部屋に鍵をかけた。鍵はかけたあと、抜かなければならない。鍵を抜く時に、斜めに力が入ってしまったのだろう、鍵が折れた。
 バイトが終わったあと、部屋に入るために鍵業者を呼んだ。もちろん、朝までバイト先に居座り、大家に電話する、あるいは合鍵を作りに行くという手も考えたが、家で夜を過ごせないことは苦痛であったし、何より心のどこかで業者を信用していたのである。
 鍵業者が到着し、契約についての説明があった。作業は見せることができないこと、ピッキングでは最近の鍵は開けられないかもしれない、みたいな話をされた。この時点で、電話で確認した限り費用は5000円以内で収まるはずだった。当然、この鍵業者はカスのぼったくりであったため、ピッキングでは開けられないとか言って鍵を破壊する羽目になった。この時点で、総費用52000円の請求、新しく鍵を取り付けた場合72000円と言われた。とんでもない話である。良識ある大人であれば、この時点で金を払わず業者を帰らせ、しかるべき機関に相談すべきところであるが、19の若輩である筆者は、この時点でもこの業者を疑いきれなかったのだ。人間、自分の正当性を真に確信できなければ、強気には出られない。結局、52000円は支払ってしまった。
 翌日、鍵を交換しにきた大家や、親に言われてはじめて、自分は正当ではない金を支払わされたのだということを心から思い知る羽目になった。
 さて、この出来事はここ数年で最も筆者の精神衛生を悪化させた。前期の取得単位が1.0だったことよりも苦しかった。その原因は、
 一、業者を信用していたこと。信用していた人間に裏切られることは、辛いことだ。
 二、人に商売で騙されたことが、俺の自尊心を傷つけた。はっきり言おう、俺は俺のことを賢いと思っていた。まだ思っている。そして、人は信用できないということを、信条とすらしている。これがいざ、その時になってみれば、大人に言わせれば誰にだってわかるおかしい話に乗せられ、金を掠め取られたわけである。俺は俺が、この件での俺の動きが、一生許せないだろう。虎になりそうだ。虎にはなれないので、国道2号をオートバイで100キロで飛ばした。
 俺はこの件から、自分の判断を幾分か信じるのをやめた。他人を、特に金を払う相手を信用するのをやめた。鍵屋を呼ぶのをやめた。ついでに、水道屋とガス屋も呼ばないと誓った。借家賠つきの保険に入っていないことも判明した。5万円は親に建て替えてもらった。死んでもこの金は返す。この高い勉強代で、業者の兄さんが美味い飯を食えていることを、切に願う。最後に、全日本鍵協会、日本キーサービスの益々のご活躍をお祈りして、このnoteは終わりとする。

さて、現実逃避として読んだ、「三日間の幸福」という本は、素晴らしい出来だった。次回はこの感想を述べよう。

いいなと思ったら応援しよう!