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にんげんのうた


人は美しいけれど

それだけじゃなかなか上手くいかなくて

汚いところもあるんだな

変なプライドや意地が

割り込むように入ってきて

ほんとうのきもちなんて放ったらかしで


だからさ

もし綺麗なことばっかり書いてたとして

そのひとつひとつは

本当に逃げ場を探している人には

伝わらないことばってことになる

人間くさいものは

鬱陶しいと誰かに蹴飛ばされたその先で

必要としている他の誰かが拾い上げる

生きている限り現実があって

現実に揉まれてぺしゃんこになって

立ち上がることなんて考えられなくなるから

人は苦しみと痛みを知っていて

でも本当は、知りたくなかったもので

病は気からなんて言うもんだから

仕方なくいつ何時も死と隣り合わせになる

それで、そういうときに歌を聴く

音楽の、歌の、その奥にあるものを見つめて

本物の逃げ場を

本物のにんげんの奥底を

その美しさと汚さが混ざる心を

自分なりによく分かることで

知らなかった夜をひとつ理解する


人間くさい歌が好きだ

目の前で起こってることみたいに生々しくて

そこで息してるみたいに自分の近くにあって

でもちょっと知らないような感じがする


そういう理由で好きだ

にんげんのうたはそういうことだな

私にとっては

〈にんげんのうた〉

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