【振動】固有振動数と共振周波数
皆さんこんにちは。振動くんの独り言の投稿です。今日は固有振動数と共振周波数について記載して行きたいと思います。
固有振動数の意味
皆さんは固有振動数がどう言うものか既にお分かりかとは思いますが、簡単に説明しますと、その物体が持っている固有の振動数です。読んで字のごとくなのですが、具体的に説明して行きたいと思います。
物体には複数のモードがある
以前の投稿で、物体には複数のモード(振動モード)があるということを説明しました。
この中で一番振幅が大きくて、周波数が小さいものを固有振動数と呼んでいます。上記の場合、22Hzが固有振動数を表しています。
二番目、三番目・・に存在するものも固有振動数の一つですが、振幅は大きく現れて来ません。
固有振動数を見つける手っ取り早い方法が打撃である
それでは、物体の固有振動数を見つける方法として一番手軽な方法と言えば打撃(ハンマリング=物を叩いて試験する方法)であることを思い浮かべる方は多いのですが、どうしてハンマリングが良いのでしょうか?
打撃波形には全ての振動数を励起させる周波数が含まれている
時間領域の波形と周波数領域の波形でランダム波形のことを説明したことを思い出して下さい。
ランダム波形の周波数は、低い周波数から高い周波数まで振幅が一定の特性を持っていることをお知らせしました。図で示すと下図になります。
ランダム波形の周波数特性を表した波形が下図の右側です。
物体を叩けば、固有振動数が励起され、固有値が顕著に現れてくる
打撃を行うと、物体が持つ固有振動が現れてくる現象を「励起」と呼びます。その励起現象は音でも判断することができます。
例えば、黒板を黒板消しで叩いた場合、黒板消しの素材(例えばプラッスチックや木製)で音が違って聞こえることがあります。この原因は、黒板消しが持っている周波数特性が異なるため、黒板自身が持っているモードの高いモード(周波数)に共振するか、低いモード(周波数)に共振するかで聞こえる音も異なってくるためです。
共振と共鳴の違い
一般に同じような現象ですが、共振は物体の持っている固有振動数と同じ周波数をもつ外部からの振動が直接物体に伝わってきた時に生じる現象です。
一方共鳴は、音の波長が物体の持っている固有の波長と一致したときに起きる現象です。例としては、音叉(おんさ)が有名です。音叉も一つの音波(音の周波数)だけで共鳴するわけではなく、複数の音の周波数で共鳴するのですが、高い音は人間の耳には聞こえづらくなるだけで共鳴がなくなった訳ではありません。
よく、ワイングラスを音で割る風景が動画で紹介されていますが、あの風景が共鳴です。
音叉の波長は1/2とか1/4とかの波長がよく共鳴箱に使われます。これは「片側固定の振動モード」と一致した波長になります。共鳴箱等は必ずどちらかが空いているので、片側固定の振動モードになります。
共振も共鳴も固有値と一致することにより、大きな力を生みます。この一致した力の大きさを専門用語で「応答倍率」と呼びますが、この力は理論上無限大になります。従って共振、共鳴した物体は破壊することになります。
破壊させない、しない様に全ての機器には共振を避けたり、共鳴を避けたりする工夫がなされています。
因みに大きな建物の内部にも音が共鳴する場所等がありますが、縦横高さの比が3:5:7で作られた場所は共鳴しにくいとされています。
物体の共振点を見つける方法として正弦波の掃引試験とランダム試験がある
物の共振振動数を測定する方法として、一般的に使用されているのが加振試験機(又は振動試験機)です。加振試験機では物体を振動テーブルの上に搭載し、振動テーブルに異なった周波数の振動(一般的に周波数は変化させるが、振幅は一定にしておこなう)を加えていき、物体が応答する大きさを計測して共振点を探していきます。この周波数を徐々に上げていく方法を「掃引試験」(=Sweep試験)と言います。
一方、物体を振動テーブルの上に搭載し、振動テーブルにランダム振動を加えていく方法を「ランダム試験」と言います。
ランダム試験は掃引試験より短時間で共振点をみつけることができる
ランダム試験では、いままでに説明して来ましたように、全ての周波数が含まれていますので、ランダム周波数での加振時に物体の固有振動数が一度に現れてきます。振動試験の時間短縮にもつながります。
本日の投稿は以上です。
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