見出し画像

建築業界におけるAI活用の未来は元請け不要社会

先日、知人からのお誘いで全員初対面という普段良く会っている方とはまた違った建築業界の方との交流会がありました。
リフォーム会社、建材屋さん、施工管理アプリ会社といった面子。
皆さんとの対話の中から、ふと10年後の建築業界、特にリフォーム業界の未来像がボンヤリと浮かんできました。

それは言わば【リフォーム受発注のUber化】です。

Uberとは、2009年にアメリカで誕生した自動車配車プラットフォームです。 読み方は「ウーバー」。 仕組みをひと言で言うと、一般人が空いた時間を利用してタクシー運転手のような仕事を行い、スマホアプリを通じてマッチングした利用者が乗車するというライドシェアリングサービスです。

まぁイメージがUberなだけで、実際は違います。
似ているのはスマホのアプリ内で工事の発注から受注、そして工事後の支払いもオンライン、全てがアプリ上で完結する、というリフォームに特化したプラットフォームが普及している社会です。
それによって起こるのは、工務店などのいわゆる元請け会社の存在意義が消滅する事。言い方を変えると
総下請け時代
総職人時代

そんな可能性も高いのではないか。それがかなりリアリティを持って想像できたひと時でした。

いやいやいや、リフォームに限ってはそんな事にはならないでしょ!と思っているそこの貴方。その思考はヤバいですよ。

それでは私が辿った思考を解説していきます。


時代背景:元請け会社の減少

最近のニュースではよく「職人不足」と言われておりますが、実は工務店などの元請け会社も減少傾向にあるのが現代です。
理由はいくつかあると思いますが

着工数の減少により、建築工事を担う大工や工務店の数も減少傾向となっています。
1996年の着工棟数160万戸時代には木造建築業(住宅会社、ハウスメーカー、地域ビルダー、工務店等)の会社数が約10万社ありましたが、2019年では約3万5千社まで減少しています。

工務店のミカタ【工務店生き残り戦略】集客アップには住宅FC・VC導入も一つの手 より

需要が減少すれば、自ずと供給する側も減少する事は避けられません。
また、経営に問題がなくても後継者がおらず事業承継が上手くいかなかったり、コロナ禍での経営破綻なども多そうです。

弊社も例にもれず元請け会社として運営しております。お客様から仕事の依頼を受け、各職人さんや業者さんへ発注をし、工事を完遂する。
大まかにそれらを全体統括するのが元請け会社の仕事です。

ウチは社員に職人さんは在籍していませんが、中には職人さんを雇って社員としている会社もあります。
そして、言い方はアレですが受注した仕事を下請け業者に丸投げするという元請け業者もまだまだ存在しています。
特にこの丸投げ元請け会社が、今後厳しくなってくるだろうなと考えています。

また、住宅業界がやりがいのある仕事である一方で、クレーム産業と呼ばれるようになって久しいです。
1ミリの誤差も許されないというような、かなり厳しい品質を求められることもしばしば。これは、お客様が現場や職人さんと離れて距離ができたことにより、同じ人間が作っているんだという事をどこかに忘れてきてしまったように感じています。いくら職人さんでも、精密機械ではありませんから。
そんな理由から元請けになってリスクを負う位なら、気楽な下請けがいいなんていく声も聞こえてきます。

更にここ最近はあらゆる情報がネットで得られるようになり、建築の業界でも技術やサービスのコモディティ化が起こっています。
コモディティ化とは、製品やサービスについて、性能・品質・創造性・ブランド力などに大差がなくなり、顧客からみて「どの会社の製品やサービスも似たようなもの」に見えるようになった状況という事です。
お客様からしたらハズレがなくなったというような良い面もありますが、建築会社としては他社との違いをPRしたいという思いがあります。

元請けの業務内容とは

例えば、とある家の一部屋をリフォームする工事を請け負ったとしましょう。
①電話やメール等で工事の依頼を頂く
②現地に伺って要望を聞き、現場の部屋を採寸、写真撮影する。
③事務所で図面化する。
④床、壁、天井の数量や使う材料などの数量を積算する。
⑤それぞれの仕様を決める。
⑥仕様に沿って工賃と材料の単価を集計し、見積する。(この時点で必要があれば職人さんや業者さんへ見積依頼する事もあり)
⑦お客さんへ見積と資料を持って説明する。
⑧無事に受注したら、建材を発注する。
⑨建材の納品時期と合わせながら、職人さんの段取りをする。
⑩着工。工事中は現場で管理業務。
⑪工事完了。見積通りに終われば、請求書を発行する。

まぁざっとこんな感じです。
で、これがまるっと不要になるんじゃ?というのが今日の本題でございます。

リフォーム業界におけるDX化の現在地

まず、既にある技術の紹介からしていきましょう。

・iPad/iPhone専用 リノベーション現況調査アプリ りのべっち
こちら、福井コンピュータアーキテクト(株)が提供しているサービスです。
なんと、部屋線をスキャンしていくだけで寸法情報を持った3Dモデルと現況図を生成という、リフォーム会社にとっては非常に革命的なサービスなのです。
しかもそのデータは元々提供していた建築CADソフトのアーキトレンドというソフトと連動が出来るという。素晴らしい!
これがフルに活用できるようになれば、メジャーを持って現場を採寸する必要がありません。
具体的には上記の
②現地に伺って要望を聞き、現場の部屋を採寸、写真撮影する。
③事務所で図面化する。
④床、壁、天井の数量や使う材料などの数量を積算する。
これらが不要になります。
もちろん現状ではまだ一気通貫とは言えませんが、現状でもかなり人間の労力を限りなく少なくする技術です。

・建築施工管理アプリ ANDPAD
こちらは現場の効率化から経営改善まで一元管理できるクラウド型建設プロジェクト管理サービスです。
現場での施工管理から、図面管理、写真管理、関わりのある全員とのチャット機能などがスマホのアプリ上で完結します。
また業者間だけでなくお客様との共有ノートもあり、議事録や資料のやり取りと保管も同時に可能です。また、それらを社内で共有する事もできます。
こちらもフルで活用できるようになれば、色々な業務がこのアプリ内で完結できます。
⑤それぞれの仕様を決める。
⑥仕様に沿って工賃と材料の単価を集計し、見積する。
⑦お客さんへ見積と資料を持って説明する。
⑧無事に受注したら、建材を発注する。
⑨建材の納品時期と合わせながら、職人さんの段取りをする。
⑩着工。工事中は現場で管理業務。
⑪工事完了。見積通りに終われば、請求書を発行する。
はい、これらも一気に不要になりますね。
ただこちらもまだ一気通貫にとはいきませんが、もはや時間の問題ですね。

・チャット生成AI ChatGPT
こちらは業界関係なく一度は皆様も耳にしたこともあると思いますし、もしかしたら既に活用されている方もいらっしるかもしれませんね。
ChatGPTとは、それまでのAIと比べて自然な返答、情報元のデータが大規模、文脈を理解する、新たな文章やアイデアを生成できるのが特徴です。
現在はGPT-4まで更新されており、できる事は
・あらゆる質問の回答
・物語やエッセイなどの文章生成
・言語の翻訳
・企画書の作成
・プログラミング
・表の作成
・議題に対するディスカッションや議論
とリリース後からも増えており、またその性能も飛躍的に向上しています。
有料会員限定ですが、新機能「Advanced date analysisi」がリリースされ、資料の分析、グラフやプレゼン資料の作成、画像の編集、エクセル資料やQRコードの作成とかなり実用的に生かせるようなアップグレードがされています。
更に11月末にはChatGPTをカスタムできる「GPT Store」が利用可能になるという事で、ある特定の分野を更に特化させより高度な回答が出力できるようになります。

個人的には近い将来、あらゆる条件を入力するだけで間取りや家の造り、図面など全てを出力してくれる設計AIの誕生も当然有り得ると考えています。

これらを踏まえて、次回は私が想像した未来のリフォーム工事の発注、受注の仕方を具体的に解説してみます。お楽しみに!


いいなと思ったら応援しよう!