カウンセリングを時間内で終わらせる方法は?|①十分に聴いて②適切なフィードバックをする
【質問】クライエントさんの話が切れず、時間がオーバーしてしまう時、どう対応されてますでしょうか。 傾聴と理解が十分になされてたら押すこともな く、また自然な収束に促せる話の切れ目など見えるのでしょうか...
あと「カウンセリング終了後にドアまで見送る時に大事なエッセ ンスが話される」という高間先生のお話に感銘受け、実際の相談者の話しに聞き耳を立てたところ、そこでまた長引いてしまったという失敗もあります(笑)
SVまでの事例でもないので質問箱で失礼しました。 サイトはじめいつも本当に教科書のように参照させて頂いてます、有難うございます。
【お返事】私の記事や放送を教科書のように使っていただいてありがとうございます。心理学に貢献されてきた何万人という先生方の足元にも及びませんが、私が勉強してきたものをすべて出し切るように書いていますので、そのように利用いただけているのは嬉しい限りです。これからもしばらくは整理しつつ発信しますので、よろしくお願いいたします。
今回の質問は、カウンセリングの方法論に迫るものだと思いますので、専門家向けの話になります。相談者の立場の方は、スルーするか、高間はそんなことをやっているのかと思いながら読んでみてください。
※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。
■カウンセリングの傾聴中にやっていること
カウンセリングは、何度も申し上げていますが、傾聴が基本です。30分~40分は、傾聴しています。残りの15分程度で、相談者との対話が始まります。だいたい、一般的なカウンセリングでは、そんな枠組みがあります。
それで傾聴の間、私が何をやっているかというと、私のクライエント用のノートを見ていただければわかりますが、クライエントの言葉をかいているだけでなく、その言葉がどういう意味をもつのか、私の解釈や考えも同時に書き込んでいくのです。重要なところは赤ペンで〇を付けたり、文字を書いたり。
それを面接中にずっとやっています。それも、相談者の方が見える前でやっているのです。これはノートに書き込むだけでなく、相談者のジェノグラム(家系図)にも、重要な視点や言葉は書き込みます。相談者の言葉で。だから、私のジェノグラムは、びっしりとメモだらけです。しかし、このジェノグラムがのちのちカウンセリングの羅針盤になるのです。重要な情報がびっしりだから。当然、相談者のみならず、関係者のの見立てもそこには記入されています。3世代くらいのジェノグラムが望ましいです。整理すると、以下のようなものが、ノートには記入されているのです。
・相談者の見立て
・関係者の見立て
・相談者の言葉
・相談者のしぐさ、視線
・沈黙の箇所と長さ
・カウンセラーの発言
・カウンセラーの解釈(妄想)、思いめぐらしたこと
これらの情報を毎回のセッションで拾っていくため、傾聴しながら口をはさむヒマがありません(笑)。だから結果的に30分以上、傾聴が可能になります。みなさんも、ノートの作成を是非、カウンセリング中の作業に入れてみてください。
■カウンセリング終了前、15分の対話
ここまでノートが出来上がると、その回のセッションの流れが浮き彫りになります。それは実際に話していたことだけでなく、カウンセラーが考えていたことも別の流れとして見えてきます。これを元に、対話が始まります。
終了時間になってもまだ話をされている方もいらっしゃいます。その場合でも、ちょっとしたすき間を見つけて、息を継いだ瞬間などですね、そのセッションの重要点をフィードバックすると、それはその面接のエッセンスなので、相談者の方の話もそこで終わることが多いですね。
このやり方は、カウンセラーの妄想や期待を話しているわけでなく、ノートに書いた相談者の言葉を拾いつつ、それを元に論理的に考えをめぐらしたものをフィードバックしているので、何かの定番を言っているわけではないので、伝わりやすいです。机上の空論になっているわけではないので、相談者の言葉を使っているので、カウンセラーも自信を持ってお伝えすることができます。ブレません。
このへんは、私独自の方法と思います。かつて、泉谷閑示先生の自筆の面接記録を見たことがありますが、泉谷先生も、クライエントの言葉を漏らさずに書いているだけでした。自分の考えなどがそこに書かれているわけではありませんでした。
私は、SVをするときも、カウンセリングと同じようにセッションノートをつけます。そのノートを見てもらえばわかりますが、あなたが話したことに対して私がどう書き取って、考えをめぐらしているかをお見せすることができるでしょう。
そのセッションをどうやって終了させるか、これは難しいスキルです。初学者が必ず迷うところです。しかし、上のような情報が豊富にあれば、結構、楽に終了させることができるでしょう。
大学院のとき、カウンセリング概論の授業で、佐治守夫先生のカウンセリング場面の教材を見ました。本物のセッションを録画したものです。驚いたのが、先生が時間が来たからと言って、急にばったりとカウンセリングを終了するのです。それまで目を閉じて、相談者の話しを眠るかごとく聴いていて、それでばったり終了。同級生たちは、絶対に佐治先生寝てたよ、と言う。そんなところ収録しないだろと思いつつ、私もよく分かりませんでした。佐治先生は、私のようなセッションノートをつけていたわけでもありません。あれを説明しろ、と言われても、私には、いまだに説明できません。いまもう1回見ることができれば、何が起こっていたのか説明できるかもしれませんが、当時の私には分かりませんでした。
そのくらいカウンセリングでやっていることは分かりづらいことだという理由を説明するために、私の経験をお話しました。でも、上記のやり方でやれば、分かりづらいカウンセリングも少しはあなた色で進めることができるのではないでしょうか。頑張ってください。
■娑婆(しゃば)へ送り出すときの対応
カウンセリングが終わって、ドアまで見送っているときは、一応本番のカウンセリングは終了しているわけです。カウンセラーも相談者をクールダウンさせる必要があります。ですから、あくまでも雑談ムードは崩さないことかと思います。真剣に聴いているとカウンセリングが継続しているようで、娑婆へ帰れなくなります。ここで結界外しをやらないといけません。
カウンセラーは、相談者の中から何かを出してやろうという、すけべ心はいけません。それは本番のカウンセリング中でも、カウンセリング後のクールダウン中でも同じこと、あくまでもクールに見送る姿勢です。その中にカウンセリングで言えなかった本音が見える場合があるということも、知っておきましょう。その程度で☺
■カウンセリングルームのもう一つの役目~心の断捨離の場
カウンセリングルームは百変化します。いくつに変化(へんげ)できるかが、そのカウンセリングルームのキャパシティの深さになるでしょう。
相談者にとって、捨てに捨てられないものを置いておく場がカウンセリングルームになったりします。つまり、カウンセリングルームに断捨離していくのです。例えば、
・自分の面接記録
・サバイバルナイフ
・幼少期のアルバム
・幼い頃からの手紙の束
・母と撮った1枚の写真
こんなものをカウンセリングルームに置いていかれた人々がいます。これらは時期がくれば、相談者に確認した後、お寺へ持っていって供養してくるつもりです。供養はお寺の役割ですから。
■まとめ
・カウンセリングノートとジェノグラムをしっかりとつけていれば、カウンセリングの終了時に何をフィードバックすればいいのかが分かるので、カウンセリングも終了しやすい。
・相談者を見送るときも、すけべ心を出して、何か特別なことをしてやろうと思わないこと。
・カウンセリングルームには、持っていてはいけないものを断捨離する人もいる。
⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。
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