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コントロールせず怒りや恐怖を鎮めるには・その2|質疑応答
こちらの記事▼への質問が続きました。質問を紹介しつつ、回答をまとめておきたいと思います。
回答は今朝、個別に質問箱にしましたが、まとめるにあたって、追記した部分もありますので、よろしければこの質疑応答もご覧ください。
※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼
※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。
■怒りを小出しにする知人は母子関係のねじれか?
【質問①】2022.02.19 の Standfm 拝聴しました。知人のことで質問があります。
子供に怒りを小出しする親(知人)は、実母との関係がねじれているからでしょうか。脳機能や発達の問題でしょうか。
知人は、(自分のやったことを)反省しているようで、子供に謝ってはいるのですが、2日後くらいにはまた子供を叱り飛ばしています。
「昨日はいいよって言ってたのに、今日は叱るの? 」という矛盾した叱り方をしているときもあります。反省した翌日にはひどい言葉で子供を泣かせているし、虐待ではじゃないの?と尋ねると「そうだと思うけど繰り返してしまう、自分が嫌だ」と言って凹んでいます。反省していた母親(知人)の側に、叱られた子供が寄ってきても、それを払いよけるんです。反省してるというのに、その態度が不思議です。
彼女は家事も料理も何でもそつなくセンスよくこなしています。第一印象は知的で優しそうな柔和な雰囲気です。
【お返事①】お友達の母子関係についてですね。分かってはいるけれどやってしまう、という怒りがものすごく強い方なんだと思います。「そう(虐待)だと思うけど繰り返してしまう、自分が嫌だ」と分かっているわけです。そして家事をそつなくセンス良くこなすという。ここから分かることは、脳機能や発達の問題ではなさそうです。自分のことが良く見えていて、日常生活を回すことには不自由していないからです。
とすると、愛着不全の傾向が強そうです。「実母との関係がねじれているから」(気持ちが十分に満たされていないから)子どもへの怒りが収まらないのでしょう。つまり友だちは、不安型愛着スタイルの人かもしれません。
子どものワガママに対して、自分の中の子どもがギャーギャーと騒いでいるのかもしれません。「私は親へワガママなんか言わなかったよ!なのにお前はしたい放題!」という訴えかもしれません。
友だちが、自分の怒りに気づき、その怒りと共に生きようとするまでには、ずいぶんと時間がかかるかもしれません。あなたがお友だちであるならば、それを見守ってあげることもいいでしょう。できるだけ、受容してあげていれば、友だちも自分の中の怒りという事実に気がつくでしょう。
友だちの中にある怒りは、その人の「身代わりの自分」なんです(下記▼を参照ください)。その身代わりの自分が、すねたり、怒ったりしているのです。それを友だちが分かっていくこと。それには友だちが受容されたという体験が必要になってきます。自分の親からは受容されたと思える体験が全然少ないわけですから。
友だちから依存されることもあるかもしれません。それをあなたが持ちこたえることができるなら、その依存も、できる範囲でOKにしてあげてください。そして頃合いをみて、カウンセリングを勧めてあげてください。キーワードは「ACのためのカウンセリング」です。「愛着不全のカウンセリング」や「成人学童期のカウンセリング」でもいいのですが、用語としては「AC」が一番わかりやすいです。
■怒りは母親に直接ぶつけていいのか?
【質問②】19日のスタンドFMについて。怒りの感情は母に直接ぶつけてもいいのでしょうか? 私はおそらく 愛着不全なのですが、母に怒りが湧いてくることがあり、直接言いたいです。ただ過去にもそういう場面で母に伝えると、余計にガッカリしたり、やっぱり分かってくれないと余計につらくなったこともありました。その場合は、受容してくれる人に話したほうがよいのでしょうか。
【お返事②】母への怒りは、母親へまずぶつけましょう。それで、分かってくれない体験をするでしょう。この繰り返しを幼い頃からやってきたあなたです。ガッカリ体験も無数にあるでしょう。それでも爆発するなら、親に怒りを投げつけましょう。
その繰り返しの中で、あなたに「あきらめ」が芽生えてくると、愛着不全卒業の日は近いです。
さて、母親へ怒りをぶつけるという効果は2つあります。
①母親自身も自分の生き方がヘンだったと気づいてカウンセリングへ来る可能性があります。というのも、あなたが愛着不全ならば、母親自身も愛着不全の可能性が高いからです。母親自身も自分の親との関係で怒りを持ち続けている可能性があります。この母親のカウンセリングが継続するかは微妙ですが、なんか自分がヘンかもと気づき始めます。
母親が自分の怒りに直面していくと、自分と親との関係が見えてきて、自分と娘(あなた)との関係も見えてきて、これまで能天気に考えていた家族関係が、娘がどんなにつらかったのかということに気がつくかもしれません。しかし、ここまでたどり着くには道のりは遠く、母親が命尽きる可能性もありますので、娘のあなたとしては、あなたが楽になる方向性だけを見ていればいいのです。期待はNGです。
②母親への怒りがわいている最中に、本当にあなたを受容してくれる人に出会うでしょう。そして本当の受容がどういうものか、母親を反面教師にして、あなた自身が気づいていきます。その過程で、母親よりも大事なもの(友だち)を知っていきます。その友だちを一生大切にしていきましょう。双子のカメレオンになるでしょう。
■まとめ
愛着不全の人は、母親との関係がねじれているので、自分の子どもへの怒りもなかなか収まらない。
我が子への怒りは、自分のこころの中に住んでいる小さな子どもから発している。その小さな子どもを受容してあげましょう。母親への怒りはぶつけるようにしましょう。
それによって母親が気づく場合もあり、また、あなたを受容してくれる友人に出会う可能性もあります。
◇ラジオのおやすみ談話室:カレーライス(カレーとライスが別々)とライスカレー(カレーとライスが一緒)。最近はカレーライスに統一。
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