コタール症候群は愛着とは無関係|統合失調症とパーソナリティ障害の考え方

【質問】コタール症候群は愛着と関連しますか?

【お返事】コタール症候群とは、次のような症状です。精神科医のサイトから抜粋しました。

この症候群をともなった患者は財産・地位・健康を喪失した感覚だけでなく、心臓や血液・腸を失くしたと訴える。それを超えるとついには何もない無の世界について訴える。この比較的まれな症候群はたいていは統合失調症やうつの前兆として現れる。抗精神病薬が使われるようになって、この症候群は以前よりも見られなくなっている。

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■コタール症候群は妄想の病い

上の説明でも見られるように、統合失調症スペクトラムの中の「妄想性障害」のあたりではないかと思います。コタール妄想とも呼ばれています。

つまり、脳機能の問題になります。愛着は脳機能の問題ではありませんので、コタール症候群は愛着とは関連していないといえるでしょう。これが結論です。

ただ稀に、愛着障害の人でも、大きなストレスがかかったときは統合失調症のような幻覚を見たり感じたりすることもあるし、妄想に巻き込まれることもあります。統合失調症なのか、愛着障害なのか、この見立てはちゃんとできないといけないでしょう。

ただ、繰り返しになりますが、もしコタール症候群であれば愛着とは無関係いです。

■統合失調症スペクトラム

DSM-5から統合失調症はスペクトラムとして考えるようになりました。単一の病態ではなく連続しているとみなすわけです。具体的には、パーソナリティ障害のA群である統合失調症に準じる障害群との連続として見ていきます。具体的には、

  1. 妄想性パーソナリティ障害

  2. スキゾイドパーソナリティ障害

  3. 統合失調症型パーソナリティ障害

  4. 妄想性障害 ⇒このあたりから統合失調症傾向が強くなります。

  5. 統合失調症

これらをひとかたまりの連続体としてみたものが、統合失調症スペクトラムです。つまりA群の人格障害が、統合失調症の中に組み込まれた感じです。1→5へいくにしがって、統合失調症の傾向が強くなります。

ちなみに、幻覚や妄想が噴出している急性期には、カウンセリングはできません。薬を飲んで沈静するのを待ちます。

陰性症状と呼ばれる引きこもった状態になった慢性期には、カウンセリングはあり得ます。語られないかなしみを聴いていきます。耳をすまして聴いていると、患者さんのこころの静謐な部分に眠っている記憶が蘇ってくることがあります。

■消えゆくパーソナリティ障害

パーソナリティ障害のA群が統合失調症スペクトラムに吸収されたように、B群、C群のパーソナリティ障害もしだいに、もっと適切な症状群に吸収されるいくでしょう。

現在はA群が3つ、B群が4つ、C群が3つありますが、将来的にはパーソナリティ障害はもっとすっきりした形態になることが予測されます。

具体的には、反社会性スペクトラムというものができて、反抗挑戦症、素行症、放火症、サイコパスなどもそこに吸収されていくでしょう。(これは高間の試論です。)反社会性以外のパーソナリティ障害は、もっと適切な症状へ振り分けられるかもしれません。

■まとめ

  • コタール症候群は愛着とは無関係。統合失調症の分類に入る

  • 統合失調症はスペクトラムで考える

  • パーソナリティ障害は、将来的にもっとシンプルになりそう

◇ラジオのおやすみ談話室:学生の頃読んだ現代詩手帳の中の投稿詩に、「腹を裂いたら腸がなかった」という一節があり衝撃を覚えた。統合失調症になれば現代詩が書けるのかと思っていた(笑)。芸術か、アールブリュットか、という瀬戸際の話かも。

⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。

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