親の知的能力障害の告知について|子どもには知らせる、親には知らせない
※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼
【お返事】相談者に真実を知らせるかどうか、知らせるにしてもどこまでか。そういう質問ですね。これは一概に「こうだ」とは言えません。原則論としてはお話できます。専門家の方を想定してお話します。一般の方は、そんなもんか、くらいに。
原則としては、もう次の通りでしかありません。これ以外には、おそらくないでしょう。
それを本人が知って(将来的にも)楽になる場合は知らせる
このさじ加減は、ご本人がどのような道筋を辿って回復していくかの見立てまでできてないと、将来を読むことはできません。そこまで見えていて、どの段階でそれを言うか言わないか、ということですね。ここは、実は、臨床家の腕の見せ所なんです。
※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。
■親についての見立て(MR)を子どもにどこまで知らせるか
母親がMR(知的能力障害)の場合は、当然ですが母親のMRを治すことはできません。母親がMRですと子どもの気持ちを察することができませんので、子どもは愛着障害になります。ですからカウンセラーは、子どもの愛着障害の治療に専念します。子どもは、母親以外の他の社会資源を使いつつ、生きていくでしょう。小学校上級生くらいになると、なんとか自分でやっていくようになります。
それまでは、関わったスクールカウンセラーが責任もって、付き合っていきましょう。その子の人生初のよき理解者の立場をキープです。その子はそれによって学校が楽しくもなるでしょう。
親のMRの告知は、小学校の上級生になったらできると思います。それは次の言葉です▼
「悪い親ではなかったけど、分からない親だったね」
こう告知します。カウンセラーと子どもとの関係性が十分にできていれば、その告知を子どもはすんなりと受け入れるでしょう。
注意する点としては、愛着障害の小学生は、(MRの)母親にお金を出してもらってカウンセリングへ通うことになります。カウンセラーは、母親を元気づけしつつ、子どものカウンセリングが中断しないように気をつけます。(お金を出してくれている)母親を支えつつ、ということが大切です。なぜなら、親がヘソを曲げてしまったら、せっかく子どもが相談につながったのに、その糸を切ってしまうことになりかねないからです。そうなってしまうと、家庭が社会とつながらなくなり、子どもへの虐待が封印されてしまうことになるかもしれません。
子どもが成人になっているなら子どもの愛着障害のカウンセリングを集中します。
■親についての見立て(MR)を親にどこまで知らせるか
質問者さんは、ここが知りたいところですね。
母親へ告知はしません
親にMRだということを言ってたところで、親には理解されないでしょう。MRとは言わなくても、発達障害という言葉で告知する場合はどうでしょう。こちらも余計なことでしょう。
なぜなら、親は自分は悪くないと思っているケースが大半だからです。親の怒りに火をつける結果になり、子どもへの虐待がひどくなるかもしれません。
親自身が、自分が悪いと思っているのでしたら、それは親の見立てが間違っている可能性があります。もう一度検討してみてください。
親がMRの場合の声かけは、「子育て大変だったでしょう」
あくまでもこのスタンスを崩さずに、親を支えてあげましょう。具体的にアドバイスしてください。子どもに不利にならないよう、親の負担にならないよう、現実的なアドバイスが効く場面ですね。
■発達障害や重篤な精神疾患のある人へのカウンセリング
ここからは、脳の機能障害を持った人に対しての一般的な話です。一応の方向性としてお話しますが、これを基本にしながら、親の状況、子どもの状況などをいろいろ考えて、柔軟性をもった対応が望まれます。
相談者の方が発達障害(MR)ならカウンセリングは長く続きません。ご本人のほうから1~2回で中断されるでしょう。
相談者の方が発達障害(ASD, LD, ADHD)や重篤な精神疾患(高次脳機能障害、統合失調症、躁うつ病など)の疾患と思われる場合は、他の検査や医療機関への受診も促します。促したうえで検査結果を踏まえて告知をしつつ、カウンセリングの方針を再確認して、カウンセリングを続行します。
■まとめ
母親がMRの場合は、それを告知しない。むしろ頑張っている面をプッシュする。
子どもには母親がMRであることは、タイミングを見て告知する。
発達障害や重篤な精神疾患の人への告知は、他の医療機関へのリファー・検査依頼を含めて告知する。その上で、カウンセリングも続行する場合もある。
⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。
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