愛着不全の人は愛着障害の人によって救われるが関係がつらくなることもある|自己理解を進めよう

【質問】初めまして、愛着関連に興味を持ちTwitterを拝見しております。 高間さんが「愛着不全Aが、愛着障害Bに出会ったとします。Bは徹底的に合わせてくれるのでAは受容してもらって回復していきます。人への嗜癖も減少します。するとAはBの「自分のなさ」に辟易し、Bへの嫌悪感が増大します。この時期を乗り越えればAとBは双子になって、Aは回復へ戻り、Bも回復へ向かう☺」 と呟いておられたことが、ここ1年ほどの 私(A)とSNS上の知り合い(B)に酷似していました。
私は知り合いにとても救われて、以前より楽に人間関係を楽しめるようになって来たものの、時折知り合いへ期待をしすぎたり、求めてしまうことが辛くなり初めてカウンセリングへ通うきっかけになりました。
高間さんが「この時期を乗り越えれば自分も相手も回復する」と書いてくださる事が、とても希望になりました。ありがとうございます。相手に合わせるタイプの人が、気質もあると思いますがどんな背景でそういった振る舞いになったのかなど...想像するなどして、相手を追い詰めないようにお互い楽で幸せに過ごせるようになりたいと思っています。

【お返事】あなたが愛着障害の友だちに救われて、以前よりも楽に人間関係を楽しめるようになった、というのはとても良かったです。たぶん、その友だちも嬉しいと思いますよ。あなたの自己理解が進めば友だちの自己理解も進み出し、2人の関係は、これまで体験したことのない領域に進んでいくかもしれませんね。

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■人間関係を通して自分が見えてくる

上辺だけではなく、深いところで交信をしているような人間関係を体験していると、自分の嫌な姿もだんだんと見えてきます。そしてそれは、見たくない姿だったりします。質問者さんの場合は、「友だちに求めすぎている自分」も見えてきたわけですね。そしてカウンセリングを始められた。これもご自身を理解するきかっけになったようで良かったです。

これは嫌なことが見えてきて終わりではありません。それがあなたのスタートです。ユングはこの体験を「個性化」と呼んでいます。これまで自分から排除してきた嫌な部分が、40歳を越えるとだんだんと再び認識し始めるのです。それは苦しい作業ですが、この捨ててきた自分を自分の中に統合していくことこそ、自分を助けていく作業になるわけです。

この個性化があなたを通して起こっているのでしょう。そのきっかけになったのが、愛着障害の友だちだった。こうやって自分の理解が始まっているのです。

■あなたが回復したら、次は友だちの番です

あなたのご自身への理解が深まっていくと、愛着障害の友だちに何かしてあげようという気持ちが流れ出てくると思います。それが自然にやってくるまで、なんとか友情をつないでいてください。

それが双子になる道筋です。双子は下記を参照ください。

愛着障害の人が相手に合わせるのは、自分を徹底的に主張したくないからです。主張するという行為は、相手との距離を縮めます。距離が縮まると親密度が増大します。愛着障害の人の根底には「親密が怖い」がありますので、そういう少し離れた距離感が必要なのです。友だちでもちょっと他人行儀な感じ。

そこをあなたがあわてて距離を詰めないことです。せっかく友だちだからもっと仲良く、という常識的な行動はとらないことです。友だちとの距離感を大切にしていくこと。これが双子ゆえにできることです。あなたとあなたの友だちの回復を祈っています☺

■自分の理解が深まるということ|気づき

自己理解と解説しましたが、この自己理解とはいったいどういう状態なのでしょうか。これについて直球の質問が来ましたので、それを紹介しながら解説しておきましょう。

【質問】最新のnoteにもあった「自己理解が進むと安定する」なんですが「ほしい、ほしい」という 強い欲求を自覚するだけでは自己理解としては足りないのでしょうか? 「その欲しいものは手に入るものではない。自分の欲求は重く大きくそれは誰も与えられない 」ということも理解して「自己理解」と言えるのでしょうか。

【お返事】自己理解、つまり自分を理解するということは、ほぼカウンセリングの終盤で起こるものです。あるいは、カウンセリングの途中で「気づき」とセットに生じるものです。自己理解というのは「気づき」であると言ってもいいのでしょう。

どういうメカニズムで自己理解(気づき)が生じるかについては、

  1. 感情が納得する。色々な感情が「あきらめ」へ収束していく。

  2. ここで腑に落ちる体験をする。

  3. 認知的に自分への理解が進む。

まず感情、次に認知という順番ですね。この逆はあり得ません。認知を先にやっても、感情が納得していなければ、認知など吹っ飛ばされてしまいます。

質問者さんのいう、強い欲求を自覚するだけでは自己理解としては足りないのか?という質問ですが、その通りです。その欲求を持っている自分の感情が、怒りからあきらめへ変化する必要があるのです。

この感情の納得には、長いカウンセリングの時間が必要で、またカウンセラーのスキルも必要なのです。相談者の方を焦らさない、そして自分も焦らない。そんなマインドフルな対話の中で、感情はゆっくりと流れて変化していきます。結果、自己理解(気づき)が進んでいきます。

■まとめ

  • 人間関係が深くなると(嫌な)自分が見えてくる

  • それをユングは個性化といいました。

  • 愛着不全の方が回復していったら、愛着障害の友だちを助けてあげましょう

  • 自己理解(気づき)は、まず感情が納得することが先。

ラジオのおやすみ談話室:FM放送に出演します。かつてFMの仕事をしていました。

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