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親による虐待が小学生の頃から始まった場合、子どもは愛着障害になるのか?

今回は、専門家向けの解説になります。継母(ままはは・けいぼ)からの虐待を想定しました。

虐待を受けたのは途中からだと、愛着はどんな風になるのでしょうか?

高間しのぶの質問箱より

生育上の途中から虐待を受けるとは、どういった例が考えられるでしょうか。
例えば、幼少期に実母に愛情豊かに育てられたが、小学校あがる頃に死別して、その後にきた継母に壮絶に虐待されるようなケースが考えられます。
1970年代頃の昭和の虐待ドラマ・小説・報道では、こういった継母からの虐待ストーリーが多くあったように記憶しています。

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■成長途中からの虐待における愛着はどうなる?

上の例では、実母との間で築いた基本的信頼感はあります。そのため愛着障害とは言えないでしょう。しかし、継母による継続する虐待に晒され(さらされ)ますので、無数のPTSDに晒されることになります。

これによって世界に対しての信頼感も損傷を受けるかもしれません。解離的な症状が出始めて、愛着障害の診断が下されるかもしれませんね。愛着障害との診断はなくとも、複雑性PTSDの診断が下される可能性はとても高いです。

「愛着障害=ほぼ複雑性PTSD」の公式からすると、愛着障害の症状が顕著になっていきます。

いづれにしても継母からの心理的・身体的・ネグレクトなどの虐待はありますが、その周囲が、彼らをどのように支援していたのかが、重要になってくるでしょう。

例えば、学校の先生や近所の人が継母による虐待のことを理解していて、その子を気にかけてくれていたなどです。影でそっと食べ物を差し入れてくれていたり、児相へ通報してくれる等、そういう経験をしていると、世界への信頼感は保持されるでしょう。

■父親の役割

継母からの虐待があるとき、父親の言動は重要になります。

実父の精神年齢が学童期だったり、発達のグレーゾーンにある場合は、子どもが継母から虐待を受けていることに気が付かないか、見て見ぬふりをするかもしれません。
家族に波風を立てるのがやっかいなため、子どもを守ろうとせず、見て見ぬふりを決め込むかもしれません。家族なのに、いじめにおける「傍観者」の役割を取ります。

この場合は、継母や実父からも離して、「児相による一時保護の後、安全な場所での養育の開始」が望まれます。安全な場所とは、祖父母の家(実母の、あるいは実父の)、親戚の家、児童養護施設などが考えられます。

実父の精神年齢が成人期まで達しているなら、後妻の子どもへの虐待に気がついて何とかするでしょう。

■専門家の対応

治療は、無数のPTSDにより損傷をうけた基本的信頼感を回復させることです。つまり、安全基地を作っていく方針になり、愛着障害とほぼ同じ治療になります。

■まとめ

今回は、継母からの虐待を想定しました。継父(ままちち・けいふ)からの虐待の場合は、実母が守ってくれますので(離婚など)、愛着は損なわれることなく育つでしょう。

  • 生育途中からの虐待でも複雑性PTSDになり、愛着障害の症状が顕著になる。

  • 継母からの虐待は、実父が守ってくれるはず。それがない場合は、実父の精神年齢に問題がある。

  • 専門家の対応は、愛着障害への対応と同じ。


さて、「鬼畜」という小説があります。松本清張によるフィクションですが、映画化、ドラマ化されています。そこに継母ではありませんが、激しい虐待をする養母が出てきます。

主な登場人物は、自営業を営む気の弱い男性とその妻。男性の愛人と、その間にできた3人の子どもたち。男性の仕事がうまくいかなくなったとき、愛人が子どもたちを連れて男性と妻の前に現れます。そして子どもたちを置いて立ち去ります。
気の強い妻は男性に子どもたちを始末しろと命じます。子どもたちに虐待めいた世話をします。男性はなんとか子どもたちに抵抗しないように言い含めるのみです。

3番目の子どもがネグレクトによって衰弱死すると、2番目、1番目も始末しろと迫ります。男性は2番目の子を東京タワーへ置き去りにし、1番目の子を毒殺しようとしますが失敗し、がけから投げ捨てます。この子は九死に一生を得て助かり、男性が警察につかまります。子どもは、父親をかばって「このおじさんは知らない人」と告げます。

この物語には3人の大人が出てきます。気の弱い男性(父親)、気の強い妻(養母)、愛人(母)。この中の誰がいったい「鬼」なのでしょうか。ストーリーとしては、男性が鬼畜として描かれているようですが、皆さんはどう思われますか?


□幼い依頼人|ラジオおやすみカフェ

今日のラジオおやすみカフェのテーマは…2020年の韓国映画「幼い依頼人」。詳細はラジオをお聴きください。

  • 7歳の弟を殺したと自白した少女を守る弁護士イ・ドンフィが主人公。

  • 継母が夫の連れ子を虐待死させた実話に基づく映画化。

■他の助けを求めるのもいいでしょう

あなたが愛着の問題を抱えている場合は、自分の物語を十分に話せる臨床心理士などの専門家に相談するとよいでしょう。もし、いまのカウンセラーがいまいちと感じるのなら、別のカウンセラーを探しましょう。あなたにとって良いカウンセラーはあなたの一生の財産になります。あなたのカウンセリングがうまくいきますように。

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