医療ソーシャルワーカーの役割は連携|臨床心理士は苦手でも公認心理師ならスムーズかも?
今回は、ソーシャルワーカーの主要な役割【連携】についての記事です。臨床心理士がひとりで抱え込まずに、ソーシャルワーカーにバトンタッチをするタイミングというのはあるでしょう。こういうところはソーシャルワークの経験が長い公認心理師が活きる場面でしょう。医療系の臨床心理士も苦手とする分野です。
ソーシャルワークは誰でもできますが、ソーシャルワーカーと名乗るには社会福祉士または精神保健福祉士の資格が必要です。
※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼
■ソーシャルワーカーのツイートの拡散
今回の記事の背景から紹介しておきます。以下のツイート(アメリカ精神医学会の記事のRetweet)をしたところ、反響がかなりありました。理由がよく分かりませんでした。まぁ、そんなに大したツイートでもなし、私の専門の心理の話でもなし、訳が分かりません。ソーシャルワーカー関連の人がリツイートしてくれたのかなとリツイートしてくれた人を見ていたら、その中に何と!森川すいめい先生ご本人が居ました。なるほどーそういうことか!と。そのツイートが下記です。
■ソーシャルワーカーに関するAPAの記事(全文翻訳)
プライマリーケアにおけるソーシャルワーカーによって、患者の治療行動が増えることが判明しました。
プライマリーケアに医療ソーシャルワーカーを配置することで、うつ病や不安症の患者が診断から30日以内に治療を受ける可能性が高まることが、Psychiatric Services in Advance誌に発表された研究により明らかになりました。
Cleveland Clinic's Center for Value-Based Care ResearchのElizabeth R. Pfoh, Ph.D., M.P.H.氏らは、2016年から2019年にかけて少なくとも1回のプライマリーケア受診があり、うつ病、不安症、またはその両方の診断を受けた成人68,659人のデータを調査しました。また、2017年から2019年にかけて、40か所の診療所に医療ソーシャルワーカーが配備されました。患者は、ソーシャルワーカーが配置される前に診断されたか、配置された後に診断されたかによってグループ分けされて、診断後 35 日間追跡調査されました。
2018年5月、アメリカでは電子健康記録(EHR)システムが変更され、医師がより簡単に患者を医療ソーシャルワーカーに紹介できるようになり、紹介を受けてから7日以内に患者にコンタクトできるようになりました。ソーシャルワーカーは、患者健康質問票-9などのツールを用いて患者をスクリーニングし、現在の物質使用の有無、不安障害、精神疾患の既往歴について患者に尋ねました。そして、利用できる地域のリソースを提供したり、精神科医、臨床心理士、開業しているソーシャルワーカーなどのメンタルヘルス専門家を紹介しました。
ソーシャルワーカーがプライマリーケアの診療所で活動する前に、うつ病または不安症と診断された患者と比較すると、次のような変化がありました。
診断から30日以内に医療を受ける確率は、それぞれ4.35倍と4.27倍であった
精神科医以外のセラピストとの面会を持つ確率が5倍だった
精神科医との面会がある確率は、それぞれ1.82倍と1.58倍であった
Pfoh氏らの結論は、「高度なEHRシステムを有する医療は、うつ病、不安症、またはその両方の新たな診断を受けた患者をトリアージし、適切なケアにつなげるために、衛生学の訓練を受けたソーシャルワーカーの導入を検討するべきである」ということです。
詳細については、Psychiatric Servicesの記事 "Characteristics of Patients Who Attended Behavioral Health Services After Primary Care Referral With Referral Management Support "を参照してください。
■医療ソーシャルワーカーについて
医療ソーシャルワーカー(Medical Social Worker)とは、社会福祉士または精神保健福祉士(PSW) の資格を持った人が、医療分野でソーシャルワークをするときに使います。資格がなくてもソーシャルワークはできますが、そのときはソーシャルワーカーでなく相談員になります。
つまり臨床心理士や公認心理師でもソーシャルワークはできますが、そのときは「相談員」ですね。ただ、公認心理師にはPSWの資格を持った人も多いので、公認心理師でもソーシャルワーカーと名乗る人もいます。臨床心理士は、ソーシャルワーカーをほぼ名乗れないでしょう。
◇医療ソーシャルワーカー(MSW)の仕事とは
医療ソーシャルワーカーの主な仕事は、医療機関において患者さんやご家族が抱える悩みや問題を発見して、問題の解決を図るために医療機関や県警との【援助、支援、連係】を行うことで、次のような内容です。
心理的な援助は臨床心理士ですが、具体的な調整や援助はMSWが行います。キーワードは【連携】ですね。医師や心理士の苦手とする分野です。こういうクッションになってくれる人がいると患者さんも安心ですね。
患者さんやご家族の心理的・社会的問題について具体的に援助して、その解決や調整へ導く
患者さんの退院へ向けた援助と退院後の生活支援、社会復帰支援
患者さんやご家族の受診に関する支援
患者さんとご家族が抱える医療費や生活費などの経済的問題の解決(公的資源の情報を教える)など
■まとめ
ソーシャルワーカーによって精神疾患の受診行動がアップします。
ソーシャルワーカーのやるべき連携は重要です。森川すいめい先生によるとオープンダイアローグの要になるかもしれません。公認心理師が生き残れる道もそこにあるかも。
⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。
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