アナ雪 Let It Go は愛着障害のファンタジーが消えた状態の歌ですか?
【質問】古いですがアナ雪の「Let It Go」で、日本語訳だと流行りの自己肯定感ぽい感じですが、英語だと、もっと開き直りで「私は 異端として孤独に生きてやる」くらいの過激さがある的なことを、ある評論家が言ってたのですが、英語赤点でわからないので、高間先生の英語歌詞の感想お聞きしたい。
愛着不全が「うっせぇわ 」だとしたら愛着障害な何だろう?と考えたのですが、ファンタジー状態の歌が浮かばず(たくさんありそうですが) Let It Goの英語版を思い出しました。
愛着障害のフ ァンタジーが消えた後の世界ぽいですか?
【お返事】アナ雪の英訳を確認しておきます。訳詞は、英訳サイトからいただきました。
※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。
■アナ雪は普通の希望の歌
Let it go, let it go
Can't hold it back anymore
抑えなくていいの抱えなくていいの
これ以上抑えられないわ
Let it go, let it go
Turn away and slam the door!
抑えなくていいの抱えなくていいの
背を向けてドアを(バタンと)閉めるわ
I don't care what they're going to say
Let the storm rage on
The cold never bothered me anyway
私は気にしないわ、彼らが何と言おうとも
嵐は強いままにしておけばいいの
寒さなんか私を悩ませないもの
これをみると「私は自由に生きていく」という自己肯定感に満ち溢れた歌ですね。このくらいの自己肯定感だと、愛着障害の人が回復した像とも思いにくいです。彼らの未来が、こういう青空の下のような歌にならないわけではありませんが、ちょっと苦労の微塵もない感じです。
だから「普通の希望の歌」としました。
愛着障害が回復した場合、もうちょっとクールになるかもしれません。あえて書き直すとすると、こんな感じでしょうか。
今夜の山の雪は白く輝き
足跡は一つも見られないわ
まるで何も積み上がらなかった私の過去のよう
孤独な世界に生きて
そこでも片隅に生きていた私
風が唸っている、私の心の中を渦巻く嵐のように
私は孤独に魅入られ、その力を抑えることができなかった
神様はいたかもしれないが、私には分からなかった
神様がいる世界なんて経験したこともなかった
誰も入ってこない、誰にも見つからない
いつものように、果てしなく遠い宇宙のかたすみで
人生を隠していた、感じないで、誰にも知られないで
いまは、ほんの少し、誰かが私を知っているかもしれない
抑えなくていいの抑えてもいいの
あなたはお好きなほうへ生きなさい
抑えなくていいの抑えてもいいの
あなたを苦しめたものはもう死んだのよ
(作詞:takama shinobu)
アナ雪の詩には、質問者の方が評論家から聞いた「異端として孤独に生きてやる」過激さを感じるところはありません。
あえていうなら冒頭の、A kingdom of isolation and it looks like I'm the queen(孤独な王国、そして私がその王国の女王のようね)がニヒルに映ったのでしょうか。しかし、この言葉に続く後の言葉たちは、希望の言葉たちです。
「うっせえわ」は愛着不全か、思春期の歌ですね。愛着不全でなくても思春期では当たり前すぎるような歌です☺
■愛着障害の歌とは?
さて、ありそうでなさそうな愛着障害の歌。
◇Mother
まず、私の著書「孤独と愛着」でも紹介しましたが、ジョン・レノンの Mother ですね。私はこれを聴いたのは、1970年、中学校2年のとき、横浜へ転校したときです。ちょうどビートルズの解散と重なっていましたが、そんなニュースよりも、この歌にショックをうけて、何か自分の中の一生のものと出会ったような気がしました。
◇ざんげの値打ちもない
北原ミレイの歌が一番良いです。阿久悠作詞によるこの歌も、Motherと同じ1970年の歌です。演歌ですが、演歌というジャンルを飛び越えて、いまも胸に迫ってきます。怨念の歌ですが、この怨念は愛着のなせるわざですが、愛着障害の人がなにか事件を起こすとき、愛着障害ではない部分が、理由は分かりませんが、起動するように感じます。それがこの怨念。怒りではなく怨念。
おんなの怨念というようなものを越えてしまっているように聴こえてきます。私が中学2年生で、おんなの怨念などを感じるわけがないのです(笑)。だからこの歌に魅入られていったのは、別の理由があるはずです。
◇ジョニーへの伝言
ペドロ&カプリシャス(高橋真理子)の1973年のヒット曲です。この踊り子のような感覚は、愛着障害の人が回復していったときに感じるものでしょう。すごく吹っ切れている、あきらめている感じがするでしょう?これが、愛着障害のファンタジーが消えた状態を歌っている歌です。この作詞も阿久悠です。彼はいったいどういう人生を生きた人だったのでしょう。
私はこれらの3曲がとっても好きなんですね。
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