愛着障害は、反応性と脱抑制の真逆のタイプがあるのはナゼですか?
【お返事】脱抑制は理解しづらいと思います。ここで用語の整理をしておきます。
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※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。
■愛着障害関連の用語
私の愛着障害の話の中でよく登場する用語です。
かりそめの成人期:高間の造語です。愛着障害の人は精神発達が幼児期でストップしていますが、それでは社会に出たときやっていけないので、「かりそめの成人期」のようなモビルスーツを発達させて、幼児がモビルスーツを操縦するように世の中を生きていきます。
その生き方を「かりそめの成人期」と名付けました。反応性:DSM-5のPTSD群の疾患である、反応性アタッチメント障害のこと。一般的には愛着障害(あるいは複雑性PTSD)と言われる。
脱抑制:DSM-5のPTSD群の疾患である、脱抑制型対人交流障害のこと。一般的には愛着障害(あるいは複雑性PTSD)と言われる。
■反応性も脱抑制も同じルーツ
反応性と脱抑制は同じルーツから発生しています。どちらも「親密が怖い」という問題があって、反応性はあからさまに人を拒絶し、脱抑制は分からないように人を拒絶しているのです。真逆のように見えますが、同類なのです。だから、DSM-5でも愛着障害の枠組みの中で論じられるのです。
脱抑制の人の心理は、分かりにくいでしょう。脱抑制の人は、無差別愛着といって、だれかれと無しに、無差別に愛着(のようなもの)を向けます。実際は愛着ではなく関心程度のものです。
ですから、無差別愛着は愛着ではありません。愛着ではないので、すぐに関係性を切ることができます。脱抑制の子どもは幼児期には、このような無差別愛着行動に出ます。
こういう人が成人になると恋愛依存のような行動をとることがあります。何人もの異性に対して関係を持つのです。ひとりの人だと関係が濃くなりすぎるので、それを回避するために複数恋愛を走らせるわけです。いわゆる生存戦略なんですね。
これは恋愛でなくても同じで、人間関係も濃くなりそうな場合は、急いで切って逃げます。相手にしたらワケが分かりません。なんだか仲良くなろうしていた矢先に関係を切られるため、理解不能に陥り、もうこの人に近づくのは止めようと思うでしょう。
子どものときは本能的にこの行動をやるので、「近づいて、バチッと関係を切る」行動のスピードは早いです。しかし、成人になると「接近ー切断」のスピードは長くなっていくようです。そうしないと社会生活が営めないですからね。
ですから、脱抑制か普通の人か、判別しにくくなることはあるでしょう。しかし、生育歴を検証して親の言動が見えてくると、愛着障害だと分かり、そのタイプとして脱抑制行動を取っているのだと理解することができます。
■反応性と脱抑制が分かれる原因は「社会化」か?
この2つがどう分かれるのかは、どこにも文献はないと思います。私もよく分かっていません。でも同類なので、同じように対応しています。これが実情です。
試論と言われても困るのですが、「男性の愛着障害は脱抑制が多い」ように思います。あくまでも体感ですが。この理由は、男性は「社会化」を強制される場面が多いからかもしれません。ですから「かりそめ成人」度が高くなり、普通のように見えている場合もあるのでしょう。反応性は愛着障害と分かりやすいですが、脱抑制は分かりにくいのです。
動物でも巣はメスが守って、オスは巣をつくる材料を探しに行きますよね。人間も動物ですから、同じような本能が働いているのでしょうか。動物心理学の援用も必要かもしれませんね。
ちなみに動物心理学とは、動物の行動、表情、しぐさ、鳴き声などから動物の心理を研究する学問です。動物の心は、明るさや色などを感知する「感覚」、感覚によって物事を知る「知覚」、知覚された内容を経験や思考によって判断する「認知」に区分されています。
■まとめ
反応性も脱抑制も同じルーツで、親密が怖い
脱抑制の場合は分かりづらい。親密が怖くないように見えるから。でも実際は怖いので、ある程度親密になったら急に関係を断つ。
試論:動物学的に社会化を要求される男性のほうが、脱抑制になりやすいかも?
◇ラジオのおやすみカフェ:カラスはどこへ行った?
■他の助けを求めるのもいいでしょう
もし、あなたもしくはあなたの知人が愛着の問題を抱えている場合は、臨床心理士などの心理の専門家にアドバイスを求めるとよいでしょう。
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