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釜石の老舗水産加工会社の挑戦。D2Cブランド「子どもようおさかなさん」で新たな世界観をつくりあげる /【事例】岩手県・津田商店

岩手県釜石市の老舗水産加工会社「津田商店つだしょうてん」。1933年の創業以来、三陸の豊富な水産資源を生かして、水産加工品の製造販売を行なってきました。

生産方法や原材料への徹底的なこだわりは、“50年以上学校給食で選ばれ続けてきた”という結果にも表れています。学校給食に真剣に向き合い、子どもがおいしく食べられるお魚を追求してきた津田商店は、そのノウハウを活かしD2Cブランド「子どもようおさかなさん」を立ち上げ、2023年8月にECサイトをオープンさせました。

本記事では今回のプロジェクトの模様を、津田商店 代表取締役社長・津田 保之つだ やすゆきさん、弊社チーフクリエイティブオフィサー(CCO)・鷹觜 愛郎たかのはし あいろうさん地域活性化起業人として釜石市へ派遣中の弊社・池井戸 葵いけいど あおいさんにインタビューしました!

株式会社津田商店
創業:1933(昭和8)年
本社:岩手県釜石市
会社HP:https://www.tsudashouten.co.jp/
ECサイト:「子どもようおさかなさん
Instagram:https://www.instagram.com/kodomoyou_osakanasan/

▲写真左から
株式会社津田商店 代表取締役社長 津田 保之氏
ソウルドアウト株式会社・釜石市地域活性化起業人 池井戸 葵
ソウルドアウト株式会社 CCO 鷹觜 愛郎

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1933年創業、釜石の水産加工会社

50年以上学校給食で選ばれ続けてきた

─── ではまず、津田商店さんについて簡単に教えてください。

津田:1933(昭和8)年創業の、岩手県釜石市に本社をおく水産加工会社です。

事業は大きく二つの柱があり、缶詰事業と冷凍食品事業です。前者は、ほとんどが大手水産会社のOEM。後者の冷凍食品事業では自社ブランドを展開しており、販路としては全国の学校給食で、50年以上にわたって提供し続けています。


─── 学校給食で50年以上にもわたって選ばれ続けてきたんですね!

津田:給食の食べ残しを表す「残食率」が非常に低いこと、育ち盛りの子どもたちに必要な栄養をたくさん含んでいること、安心・安全であることなどが評価されているんだと思います。

長年蓄積してきた生産技術によって、骨ごと食べられて、臭みのない製品に仕上げており、カルシウムや青魚特有のEPA、DHAといった栄養の摂取が可能になりました。また、人工添加物は不使用。下処理から加工まで一つひとつ安全面や衛生面で細心の配慮をしています。

本物の素材にあまり手を加えず、素材を生かしたおいしいお魚を届けたい。こういった私たちの生産へのこだわりが、長く選ばれ続けている理由です。 

社内では、全国の学校給食に特化した営業体制を築いており、販路を徐々に拡大してきました。 

*残食率:出席した人数分の学校給食の提供量に対する、食べられずに残された給食の量の割合。

─── 50年以上となると、社会や環境の変化に影響を受けたこともあったのではないでしょうか? 

津田:実は、外部環境が運良くプラスに働き、事業を右肩上がりで成長させることができてきました。

一つは、文部科学省が主体で、学校における米飯べいはん給食の推進を図っていることが背景にあります。私が幼い頃は、米飯給食は週に1日あるかないか程度でした。今では平均週3.5日という結果もあるほどで、米飯のおかずとしての魚の需要が増えています。

*参考:学校における米飯給食の推進について(通知)|文部科学省
https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11373293/www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1283835.htm
*参考:令和3年度学校給食実施状況等調査の結果(報道発表)|文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20230125-mxt-kenshoku-100012603-1.pdf

─── 学校給食で魚の需要が伸びるなかで、特に津田商店さんの製品が選ばれてきたのはどうしてでしょうか?

津田:ここにもまた一つ、外部要因が背景にあります。

全国の学校給食の現場では、調理師さんの人手不足が深刻化しているんです。地方の財政も豊かではなく、調理師さんを新たに雇うこともできなくて……。

そこで、お湯でボイルするだけでできあがる、簡便性が高い当社の製品が選ばれてきました。

半世紀以上変わらない事業形態に危機感を抱く

─── 外部要因も後押しになり、順調に成長されてきたんですね。

津田:そうです。しかし、少子化が深刻化している昨今では、学校給食の市場は先細りし、このままだと伸びは期待できません。

また、3年前にコロナ禍が始まったばかりの頃、3か月間、全国の学校で一斉休校がありました。その間、工場は止めずに稼働していたので、在庫はどんどん膨れ上がる一方で、売上はほとんどない状態だったんです。

このまま、偏った販路では危ない、と危機感を覚えました。


─── 今後のことを見据えて、新たな販路を開拓しなければならない、と考えられたんですね。 

津田:ほかにも、世界的な、魚を取り巻く問題も関係しています。

主に中国や東南アジアなどの海外では魚介類の消費量が急増しており、それに伴って乱獲が発生。さらに、地球温暖化によって海水温が上昇し、魚の成育に欠かせない植物性プランクトンが減少。このようなことが原因で、私たちが原料として使っているサバやサンマ、イワシなど青魚の漁獲量が減ってしまい、価格が高騰しているんです。

一方、学校給食では単価の上限が決まっています。一部の魚では、すでにその上限に達しつつあり、使わない、または使用頻度を下げる、といった対応を迫られています。

 

─── そういった差し迫った問題が、今回の新しいブランドの立ち上げにつながるんですね。

「子どもようおさかなさん」ができるまで

商品の可能性を感じ、toC向けの販売を開始

─── では、ソウルドアウト池井戸さんとの出会いを教えてください。

津田:2021年12月、池井戸さんが開催していたマーケティングに関するセミナーでお会いしました。

セミナーでは、想いを言葉にして表現することが得意だというお話がありました。私たちも、世の中にどう訴求、発信していくか、といったことをお願いしようとしていたんです。

ですが、話し合いを重ねるうちに、これまで学校給食というマーケットで長くやってきて蓄積したノウハウを、別のマーケットに展開していくような新しい事業をやっていかないかとご提案をいただきました。

池井戸:津田商店さんの商品をいただいたときに、「この商品はおいしい」「絶対に売れる」と感じたんです。いろいろとお話を伺っていき、この商品を法人ではなく一般のお客さま向けに販売し始めることをご提案しました。

津田:彼女のバイタリティを感じ、一緒に課題解決に取り組んでいきたいと決心しました。

 

─── 池井戸さんの提案から、今回の取り組みに至ったんですね。その後は、どのような取り組みをされたのでしょうか?

池井戸:販路をいくつか考え、すぐにチャレンジできそうだと感じたのがふるさと納税でした。運営している市役所の方に提案し、協議の上、出品が決まりました。

─── はじめて一般の方向けに販売を始めたんですね。

池井戸:津田商店さんのファンをつくっていくために、信頼できるパートナーさんからのサポートを受けながら、Instagramの運用も始めました。

その後、だんだんとお客さまからの声が集まってきたので、ECサイトの開設に向けて検討を始めます。 

ブランドの方向性を考えるため、商品の特徴や独自性、ターゲットを改めて整理しました。学校給食で培ってきた安心安全や完全無添加などのベネフィットを踏まえ、ターゲットは子どもの栄養を担保しながらも時短を実現したいお母さんとしました。

しかし、お母さん向けの時短商品がすでにたくさんあるなかで、どうやってポジションを確立するべきなのか、長く愛されるブランドをつくるためにはどうすればよいのか悩んでいて。それで鷹觜さんにご相談させていただくことになったんです。

地域が勝つために。下請けから脱却し、インターネットの棚で適正な利益を得る

─── ブランドの方向性を固めていくなかで、鷹觜さんに相談をもちかけられたんですね。

池井戸:2022年11月、鷹觜さんからソウルドアウトの全社員に向けて、これまでの実績をもとに、広告クリエイティブに関する講義を行なっていただく機会がありました。そのあと食事会が設定されており、私も参加させていただくことになったんです。

そこで、社長の荒波から「津田商店さんの話を鷹觜さんに相談してみては」と言っていただいて。

鷹觜:食事会の会場までタクシーで向かう予定だったんですが、池井戸さんと徒歩で向かうことになりましたよね(笑)。歩きながら延々と話してくれたのを覚えています。
 
池井戸さんの熱意を受け取り、ぜひお力添えしたいと感じました。ソウルドアウトにはまだ正式にジョインしていないときだったのですが、半強制的に手伝うことになった形です(笑)。


─── そんなスタートだったんですね!鷹觜さんは、池井戸さんの話を聞いてどのようなことを感じられましたか?

鷹觜:まず一つ目に、インターネットを活用して直接お客さまに販売し、適正な利益を得られるビジネスモデルにしたいと感じました。

津田商店さんのように、BtoBの事業を展開する中小企業の場合、どうしても下請けのビジネスモデルになってしまいがちです。例えば、小売業者が30%、中間の卸売業者が20%の利益をもっていってしまうと、生産原価を30%に下げたとしても、結局20%しか手元に残らない。これではいくら汗をかいていい商品をつくっても、なかなか儲かりません。

今はモノを売る方法として、インターネットの棚と、リアルの棚の二つがあります。適正な利益を得るためには、BtoBの業態ではなくtoCのブランドを展開し、インターネットの棚で売る必要があると考えました。

─── インターネットを活用した、新たなビジネスモデルへの転換ですね。下請けを中心に展開する企業では、新しい業態にチャレンジするのはなかなか難しそうに感じました。

鷹觜:そうですね。いろいろな事情で、インターネットというマーケットでスタートを切れない会社さんは多いかもしれません。

ですが私は、津田商店さんがもつ強みに大きな可能性を感じたんです。

津田商店さんには、学校給食という食に対して一番厳しい世界で、トップブランドであるという非常に大きな強みがあります。私も商品をいただいたんですが、めちゃくちゃおいしい。その世界で50年以上選ばれ続け、さらに残食率も圧倒的に少ない。骨ごとおいしく食べることができて、カルシウムも摂取できる最高の商品です。

この素晴らしい商品を広めることで、世の中を良くすることができると感じました。


─── 津田商店さんというブランド自体の価値を感じられたんですね。

鷹觜:そうです。また、私は、津田商店さんと同じ岩手、東北出身です。これまでも地域がもつ課題に向き合ってきました。

地域の経済は、漁業や農業などの一次産業を主軸に成り立っています。津田商店さんのように、一次産品に付加価値をつけてくれる会社が儲からなければ、地域は儲かりません。


─── 鷹觜さん自身の地域への強い想いも、今回ジョインするきっかけの一つにあったんですね。

その市場でナンバーワンになるためのブランド設計

─── 最初のブランドの方向性は、お母さんをターゲットとしていたと思います。そこから変化はあったのでしょうか?

池井戸:そうですね。当初は、津田商店さんのおいしい商品を、今の形のまま、多くの方に届けていく方法を考えていたんです。

ですが鷹觜さんから、価値があるものを、ちゃんとブランドとして売っていくべきだ、正当な価格をつけて売っていくべきだというお話をいただき、方向転換しました。

鷹觜:インターネットで売るには、どれだけいい商品であっても、その良さをわかりやすく言語化して伝えなければ売れません。見え方や伝え方を整えなければ、うまくいかないケースが多いのです。愛してもらえるブランドの顔をつくっていく必要を感じました。


─── では、鷹觜さんは具体的にどのようなアドバイスをしていったのでしょうか?

鷹觜:一番初めに、「子ども用」という言葉をつけたほうがいい、という話をしました。「子ども用のお魚」というカテゴリーでナンバーワンになるべきだと考えたからです。

「子ども用」の旗を立てることで、“「メーカー」→「お子さまのいるご家庭」”という明確な道が生まれます。この商品は「子どもの身体を考えて開発された」「これを選べば間違いない」というスピードが付加されるのです。

品質に厳しい学校給食で選ばれ続けている、残食率が非常に少ない、無添加で骨までおいしく食べられる、そんな「子ども用のお魚」があることを知らない人は、まだまだ多い。だからこそ、明確な関係づくりとスピードが大切だと思いました。

池井戸:今、インターネットで「子ども 魚 ショップ」などの語句で調べると、一番上に津田商店さんの「子どもようおさかなさん」が出るんです。カテゴリーの名前をつけるのって、すごく強いな、と感じています。

鷹觜:ブランドの名前が決まったあとは、「子ども用のお魚」というブランドを確立するために、ブランドロゴの作成をしたほうがいい、という話をしました。

言葉だけでなく、“ぱっ!”と、商品の価値が「見た目」で伝わることが重要です。

池井戸:盛り込みたい要素をデザイナーさんと話し合いながらロゴを作成しました。

お母さんと子どもが一緒に楽しめる絵本のようなイメージや、カルシウムやEPA、DHAといった子どもの成長に役立つといわれている栄養を摂ることができるので、知育のようなイメージです。


─── ブランドのコンセプト設計からロゴ制作など、かなり時間をかけてクリエイティブ面を整えてこられたことがわかりました。

「子どもようおさかなさん」のロゴ

クリエイティブもビジネスもトータルでデザインする

─── 今回のプロジェクトでは、単価設計など踏み込んだところにも取り組まれたと伺いました。

鷹觜:これまで「デザイン」は、「伝える=コミュニケーション領域」だけをやっていればよかったんです。しかし、デジタルの進化はビジネスを急激に変化させています。今の時代の「デザイン」は、コミュニケーション領域にとどまらず、事業を成長させる領域でも、クリエイティビティを発揮できると考えています。

どのような構成や構造をつくることによって、成長基盤が生まれるのか。また、CRMまで含めて、博報堂でいうと「ショッパーズ・カスケード™モデル」のどの部分をどう設計していくのか。こういったビジネスデザインを土台に据えたうえで、コミュニケーションデザインは力を発揮できると考えています。

ビジネスもクリエイティブも対立軸ではなく、トータルでデザインしていく必要があります。


─── 具体的にどのようなアドバイスを行ないましたか?

鷹觜:まずサイズダウンです。

従来の学校給食用では、10食で一パックだったのですが、家庭だとさすがに厳しいなと思いまして。かなり無理を言ってサイズダウンをしていただきました。

もちろん、変えない方が楽です。サイズ変えるってすごく大変なことですしね。工場のラインの変更など、相当な苦労があったと思います。


─── サイズダウンですか……かなり大きな意思決定ですね。鷹觜さんはどうしてサイズダウンをお願いしたのでしょうか?

鷹觜:商品が素晴らしいことはわかっています。ですが、いくらいいものであっても、お客さまが冷凍庫に入れておきたいサイズ、実際に袋を開いたときに使い勝手が良いサイズ、というのがあります。

UI・UXが良くなければ、商品になかなか手が伸びず、買ってもらいにくくなってしまいます。商品の使いやすさにはとことんこだわるべきです。

池井戸:サイズダウンに関しては、最初は私自身、津田社長にかなり遠慮してしまっていました……。ですが、サイズダウンが決まってからは、社長も後押ししてくださってどんどん議論が進み、製造担当の方にも何回も試作していただきました。 

商品の見た目を比べたり、社内外のお母さんたちに使ってもらいアンケートを取ったりしながら、10食の半分の5食セットにするか、一つ多い6食セットにするか、何度も議論しました。最終的には、6食セットとなり、ご家庭で食べやすいサイズに仕上がったと思います。


─── 6食セットに決まり、そのあとに単価も決められたんですよね。

池井戸:そうです。ここが最も苦労しました。最初は、できるだけ多く売れるように、できるだけ安く売ろうとしていたんです。ですが、鷹觜さんと何度もやり取りさせていただき、津田商店さんも適正な利益が得られる形で売ろう、ということでこだわって設計し直しました。

鷹觜普段から厳しい入札価格で戦ってきたBtoBの企業がtoC事業を始めるときの落とし穴はここにあると思います。

大量に卸型で販売するときと同じ利益構造では、全く儲からない商品になってしまうんですよね。この段階では、時間がかなりかかったとしても、仕入れ原価や製造コスト、配送コスト、マーケティングコストなどを適正に算出したうえで、販売価格を決めることが重要です。

私の出身である岩手、東北は、なんといっても三陸の海産物が地域経済を支えています。それを使った素晴らしい商品が世の中に出て、適正な利益が取れるよう、チャレンジを応援したいと思いました。

─── では、実際にどのように単価の設計をされたのでしょうか?

池井戸:売上に対して、原材料や資材、人件費などあらゆるコストを書き出して、設計していきました。

その商品はその価格で、お客さまは買いたくなるのか。リピートしたくなるのか。その条件で販売した場合、年間でいくらの利益が見込めるのか。

相当な時間を費やしました。鷹觜さんとも津田社長ともかなり相談させていただきましたね。

鷹觜:そうですね。めちゃくちゃ深く議論させていただいたと思います。

価値を感じて、その価格で買ってくれる人をつくっていく。単価を間違えると、投資回収も難しくなります。長く愛されるブランドになるために、楽な道はありません。

津田商店さんはこれまで長年にわたって改良を重ねてきました。骨まで食べられる技術や完全無添加で素材を活かした味付けなど、他社と差別化できるポイントがたくさんあります。このことを世の中に浸透させられる、価値を伝えられる単価の設計を行ないました。

テスト段階でもリピート率は好調に推移

─── 8月から新しいECサイトがオープンしました。津田社長、いかがでしょうか?

津田:今後の我が社の大きな柱に育つように、腰を据えて、じっくりと取り組んでいきたいです。

スタッフたちは、全く経験のない領域に足を踏み入れているので、戸惑いもあったと思いますし、生みの苦しみを味わったと聞いています。その分、お客さま一人ひとりからの生の声に喜びを感じているようです。これまで実際のお客さまから反応をもらったことがなかったので、新鮮であり、仕事のやりがいにもつながっていると思います。

池井戸:嬉しいです!まだまだこれからなので、もっと多くの方に、この商品を届けていきたいです。

今はテスト段階で、広告費をかけた販促などはしていないのですが、それでも想定以上の反応がありますね。もっと苦労すると思っていたリピート率は20%ほどで、商品の良さが伝わり、おいしいと思っていただいていることがとても嬉しいです。自信をもって売っていける商品だと改めて感じています。

ただ一方で、商品の価値が伝わり切っていないことを課題に感じています。ECサイトで購入してくれた方の経路を見ると、トップページに来訪したあとに商品ぺージに遷移し、細かな商品説明を見ずに購入していました。もっとこだわりが伝われば、さらなるリピートにつながると思うので、今後はメルマガやチラシを使って伝えていこうとしています。

「地方発全国、日本発世界」の実現に向けて

ビジネスモデルを変革し、新しい世界観をつくりたい

─── では、今後挑戦していきたいことを教えてください!

津田:時間をかけて、理想の姿を追い求めていきたいと考えています。

お客さまからは、「もっと小さい単位がいい」「魚のバリエーションを増やしてほしい」といったお声をいただいています。積極的にお応えしていきながら、この事業を理想の姿にできるよう、どんどん深掘りをしていきたい。池井戸さんには、遠慮なく、たくさんアドバイスをいただきたいです。

ほかにも、私たち津田商店では、冷凍食品事業だけではなく、缶詰やレトルト食品といった事業をOEM中心で展開しています。「子どもようおさかなさん」が軌道に乗れば、ほかの事業でも同じように自社ブランドを展開し、別販路を開拓していきたいと考えています。

池井戸:いいですね。ぜひ、そうしていきたいです!

鷹觜各事業の収益源が「三本足打法」になるといいと思います。

冷凍食品事業は、一本目が学校給食、二本目が今回立ち上げたD2Cブランド「子どもようおさかなさん」です。三本目にサブスクリプションモデル。年間継続で購入、といった形になると、とても楽になっていくと思います。


─── まさに、ビジネスモデルの変革ですね……!

池井戸:私も、鷹觜さんがおっしゃっていたように、この事業を伸ばしていくためには、定期便をつくることが絶対に必要だと思っているんです。できれば、今年の年末商戦に間に合うようにつくりたいです。

あとは、小分けパックもつくりたいです。以前、海外進出のための情報収集をした際に、海外では大容量では売れず、バイヤーさんにも扱ってもらえない、という話を知りました。ですので今後、さらに売れるようになれば、様々なサイズ感の商品をつくっていきたいです。


─── 「三本足打法」のビジネスモデルと、海外進出ですか!素晴らしいです。

池井戸:ありがとうございます。

「子どもようおさかなさん」の価値をさらに広めていきたいですね。先ほど津田社長がおっしゃっていたように、今お客さまの声を聞いてスピーディーに改良していく仕組みをつくろうと準備中です。リピートしてくれるお客さまをコミュニティ化していくことも考えています。

今、子どもに魚を食べてもらいたいと思ったときに、インターネットで検索して一番上に出てくるのが魚のレシピで、がんばるのはお母さんなのです。それが当たり前の価値観になっていますが、それを変えていきたい。「子どもようおさかなさん」がいつも隣にあり、それを食べるのが当たり前の世界観を、津田商店さんのチームと一緒につくっていきたいです!


編集後記
「子どもようおさかなさん」という新しい世界観をつくる。そのためのビジネス設計、クリエイティブなど、記事には書ききれないほど多くのキーワードが飛び交うインタビューでした。この記事を読んで、「子どもようおさかなさんを応援してくれる方が増えると嬉しいなと感じます。

【インタビュー・執筆:みやたけ(@udon_miyatake)】

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👇鷹觜さんのソウルドアウトへの参画がMarkeZineに取り上げられました

👇 池井戸の地域活性化起業人としての活動をまとめています

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