CIS型パネルのBPD短絡故障を特定する!
※2023年6月23日に配信したメルマガのバックナンバーです
『太陽光パネルに異常に詳しい会社のメルマガ』vol.29
琵琶湖のほとりから
form 藤本 秀樹
ソラメンテでがっちりメンテ!
アイテスの藤本です。
前回から引き続き
CIS型パネルのバイパスダイオード(以下、BPD)の
短絡故障についてお話します。
【大前提として】
ソラメンテは結晶系太陽光パネルに特化した点検機器です。
「ストリングチェッカー ソラメンテZ」は
CISパネルの発電システムでは使用できません。
しかーし!
今日お話するBPD短絡故障だけは
「ソーラーパネルチェッカーソラメンテiS」と「CISアダプター」を
使用することで特定することが可能です
いつもより、
長くて小難しい内容になっていますが
アイテスがみなさんにお配りしている
「 太陽光パネルのメンテブック 技術編(青本)」から
抜粋する形でご紹介します。
それでは行ってみましょう!
CISパネルで
BPDショートが起こると
ストリングの電圧が大幅に低下します。
結晶系太陽光パネルのBPD故障だと
クラスタ単位で電圧が落ちますが
CISパネルにはクラスタ回路がないので、
パネルの電圧がより大きく低下します。
実際に、3直3並列のストリングでBPD短絡故障が1枚ある場合、
以下の変化が起きることが確認されました。
開放電圧が大幅に低下する(300V⇒240V):約0.5枚分に相当
最大出力が大幅に低下する(1,124W⇒778W):ストリングの約30%に相当
BPD故障パネルがあるだけで、
大きな出力低下が起こります。
ただし、発電所では
3直3並列のストリングが
複数並べられていることを
忘れないでください。
これらのストリングを
アレイとして考えると
PCSは正常ストリング群の発電電力を
最大にするために電圧を調整します。
このシステムでは、
電圧は約240Vになります。
その結果、
BPD短絡故障があるストリングは
PCSの動作中は
電圧240Vで電流がゼロになるため
1ストリング分、
つまりパネル9枚分が全く発電に
寄与しなくなってしまいます。
前回のメルマガでは、
薄膜CIS型パネルの故障事例についてご紹介しました。
その故障パネルの特定作業が
煩雑で時間のかかるものであることがわかりました。
従来、故障パネルの特定には、
パネルごとにPVケーブルを外して確認する必要がありました。
これには時間と手間がかかり、
さらに発電を停止する必要があり、
売電ロスも発生してしまうのです。
このBPD短絡故障をPVケーブルを外すことなく
パネル表面から
CIS薄膜パネルの電流と電流の方向から
BPD短絡故障パネルを効率的に特定できるのが
「ソラメンテ CiSアダプター」です。
このアダプターは、
ソラメンテ-iS(SI-200)の
コネクタ部に装着して使用します。
手順は以下の通りです。
ソラメンテ-Zを使用してストリングごとの開放電圧を調べます。
開放電圧が大きく低下したストリングの開閉器を切り、開放状態にします。
「ソラメンテ CiSアダプター」が装着された「ソラメンテ-iS」(SI-200)を使用して、開放状態のストリング、および各サブストリングの電流とその向きを調べます。
電流の流れが他と異なるサブストリングを特定します。
特定されたサブストリングの中で、他のパネルと反対方向に電流が流れているのがBPD短絡故障パネルです。
このアダプターを使うことで、
BPD短絡故障パネルの特定作業が効率化されます。
PVケーブルを外す手間や発電停止の時間も不要になるので
保守点検(O&M)の現場での作業効率があがります。
「ソラメンテCiSアダプター」を活用して
BPD故障パネルの特定作業をスムーズに行い
発電所の稼働時間を最大限に活かしましょう。
ご質問やお問い合わせがありましたら、お気軽にご連絡ください。
それでは、次回もお楽しみに。
ぜひ弊社の「 太陽光パネル メンテナンスブック技術編(青本)」もご参照ください。
▼メンテブックのお申し込みはこちら【無料】
https://www.solamente.biz/t-support/solabook/form-solabook/
太陽光パネルに異常に詳しい会社
アイテス 藤森 秀樹