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第2回 プラスチックハンガーからの脱却! #段ボールハンガーができるまで

業務用段ボールハンガーの共同開発に挑戦することが決まったものの、さまざまな試練が待ち受けていました。(開発に至るまでのストーリーはこちらをご覧ください!)

段ボールハンガーの実現に向けた課題はこちら。

①衣類の重さに耐えられること
②ネック(ポール等に掛ける部分)の高さが2cm以下であること
③ネックがポールを滑りやすい形状であること
④Solairoのデザイントーンに合っていること
⑤持ち運びに耐えられること(輸送、お客さまがご自宅に持ち帰られる)
⑥店頭で一定期間の保管に耐えられること
⑦再利用できること
⑧低価格
⑨グッドデザイン賞
⑩リユースリサイクル

①衣類の重さに耐えられること

段ボール製ということもあり、最も重要になるのが、重さに耐えられることでした。まずはクリーニング製品の中で最も軽量で商品点数の多い「Yシャツ用」のハンガーから試作することになりました。

開発途中の段ボールハンガー

②ネック(ポール等に掛ける部分)の高さが2cm以下であること

まずは一般的な業務用ハンガーの形状を真似るところから始めました。様々な形状の試作品を作りましたが、包装機まで運ぶレールに引っ掛けると、ほぼ全ての段ボールハンガーが包装機でカバーを掛けるところまでも辿り着かず、ぽとぽとと床に落ちていきました…

その場でハサミで簡易的に形状を整え、なんとかレールには乗るようになりましたが、次に苦戦したのは想像していた通り、高さ制限によるネックの脆さでした。ネックを2cm以下と細くすることで包装機に入る時にポキポキ折れていきました。

そこで、ネック部分の縦と横の目を変えた二重構造にするという発明(後に特許取得)に至りました。これにより強度が保たれ、ネックが折れることはほぼ無くなりました。

③ネックがポールを滑りやすい形状であること

包装機でカバーをかけた後、ポールを滑り落とす時に段ボール製のためなかなか滑り落ちませんでした。その後、突起をつけることで摩擦を軽減させ解決できるのではないか、ということで、ネックの内側に突起をいくつか付けて何度か試したところ、この問題もクリアできました。

これでやっとネックが完成したのですが、依然としてネック部分が最も弱い(最も荷重がかかるため)ため、ネックが折れることで段ボールハンガー全体が使えなくなる問題を検討した際、ネックとボディ部分を分けた2部構造(後に特許取得)にすることチャレンジすることになりました。

2つに分けることで、ネックにかかる荷重をボディにも分散することに成功し、かえって強度が高まる結果となりました。(ただ、ネックとボディを組み立てる工程が発生しましたが…)副産物として、リユース性と部材の生産効率の向上、コストの低減へとつながりました。

④Solairoのデザイントーンに合っていること

段ボールハンガーにすることで、プラスチックハンガーには無かった印刷可能な「面(スペース)」が生まれたため、これを上手く活用することを検討しました。そのためブランド「ロゴ」を印刷し、もう片方のスペースには毎月のお得なキャンペーン情報を見ていただきたいという想いから、ホームページのQRコードをプリントすることになりました。

そして、ついに段ボールハンガーが100%完成!2022年2月から8カ月ほどかけてここまで辿り着きました。2022年11月にはリ総研様、大国段ボール工業様と一緒に記者会見を開き、完成披露発表を行いました。

まずはYシャツの扱い点数が最も多い、Solairo博多駅東店からの導入が決まり、導入当日にはテレビ局様が5局ほど取材にかけつけてくださいました。

お客さまからも「環境のことを考えて、とても良い取り組みだね」といった嬉しいお言葉をいただき、とても励みとなりました。

が、、、その後事件が起こったのでした。翌日に寄せられたのは「持って帰る途中で(ネック部分が)折れたぞ!」「家で洋服箪笥に引っ掛けたら翌日落ちてた」などのお叱りや不満の声。そこで、そこからさらに日々形状を研究し、改良に改良を重ねる日々が始まりました。

⑤持ち運びに耐えられること 

お客さまがご自宅に持ち帰られる、輸送中にもネックが折れないようにする

⑥店頭で一定期間の保管に耐えられること

長期間試せていなかった、店舗での保管中に洋服がハンガーから落ちてしまわないよう、強度を加えました。

2023年4月。晴れてSolairo Cleaning Factory 全4店舗で導入するに至りました。「Yシャツ用段ボールハンガー」の導入にはお客さまのご理解なくしては成り立ちませんでしたから、ご理解・ご協力くださったお客さまには本当に感謝しております。

その後も店頭での回収にもご協力いただき、リユース・リサイクルの促進につながり、サーキュラーな(循環型)取り組みとして継続できています。

また、開発のきっかけをくださった、リ総研様、何度も何度も開発に労やアイデアを惜しまず取り組んでくださった大国段ボール工業の寺澤会長にも本当に感謝しております。

こうして完成したハンガーは次のステップ、「グッドデザイン賞」という次の目標を掲げ、進んでいくことになるのでした。

第3回へ続く…


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