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「カレンダーと夏の思い出」イラスト制作記事
先日投稿した一次創作イラスト「カレンダーと夏の思い出」の制作記事です。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/115340921/picture_pc_a8871ec28faf065950ecd8656e69e240.png?width=1200)
■テーマ・構図・キャラデザ
・テーマ
今回は初めて一次創作イラストに挑戦してみました。
「夏の予定を書き込んだカレンダー1枚1枚からその時の情景が蘇ってくる」といったイメージで、夏のイベントの代表である「海」と「花火大会」をメインに、夏らしい要素を盛り込んでみました。
このようなテーマにした背景についてですが、今回のイラストは夏イラストコンテストに応募するために制作したもので、「夏らしさが感じられるか」、「発想の豊かさ、オリジナリティがあるか」という点が審査の上で重要視されました。なので、海や花火といった王道の夏らしい要素を入れつつも、それらの要素を「情景がカレンダーから飛び出す」というオリジナリティのあるテーマに落とし込んで表現してみました。
・構図
イラストにおける自分の強みはキャラクターのクオリティだと思っているので、あくまでキャラクターをメインに据える構図にしました。動きのあるポーズを意識して左脚を上げる&首~腰あたりにやや捻りを加え、右手には鉛筆を持たせて「予定を書き込んだ」という部分に説得力を持たせました。
目線は右上のカレンダー本体を見るようにし、背景の境界線と合わせて視線誘導を生むようにしました。全体としては、顔→カレンダー本体→海のカレンダー→水流→花火のカレンダー、といった流れで視線誘導を考えましたが、そもそもこういった技法にはまだ詳しくないので、狙った通りの効果が得られているかは不明です…
![](https://assets.st-note.com/img/1694248641822-Or9r6CL3Ly.png?width=1200)
・キャラデザ
一からキャラクターの造形を考えるのは初めてだったので、あまり難しくならないようオーソドックスなデザインにしました。
髪型は夏らしくさっぱりしたショートカットにしようかとも思いましたが、風に靡いてふわっと広がっている方が映えそうだなと思ったのでそこそこ長めにしました。髪色もあまり奇抜な色だと雰囲気に合わないので、シンプルな茶髪にしました。
服装は王道な夏セーラーにしました。他にも夏らしさが感じられる服装として、白ワンピや浴衣、水着なども候補に入っていましたが、全体の雰囲気やポーズに合うかを考えた結果セーラーにしました。自分は服の塗り(主にシワ)に苦手意識があるので、オーソドックスなセーラーなら比較的描きやすそうかなと思ったのもあります。
■清書までの過程
・エスキース(素体)
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大まかな人体のアタリ/シルエットです。
今回は以下のように3Dデッサン人形を使用しました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/115431904/picture_pc_4c7e7c2e11bd4be9548a611912e2a059.png?width=1200)
3Dデッサン人形はいまいち思った通りのポーズを取らせるのが難しく、体型も自分好みのものに調整するのが面倒で今までほぼ使っていなかったのですが、重い腰を上げて使ってみることにしました。
結果的に胴体や脚のアタリを取るのには非常に重宝しましたが、腕がどうしても思った通りに動かなかったのでそこは自力で描きました(おそらく自分の使い方が下手なだけ…)。胴体や脚に関してもアタリを取るのには有用ですが完璧ではないので、多少の修正は必要ですね。因みに頭に関しては以前から別の頭部3Dモデルを使用して描いています。
・大ラフ
![](https://assets.st-note.com/img/1694247125016-Q9kzbsjyKU.png?width=1200)
エスキースを基に大雑把に色を付けて全体像を確認…するのが普段のやり方なのですが、今回はコンテスト絵ということで丁寧に描いていった結果、人体バランスや服に関しては普段の清書前下描きくらいの綺麗さになってしまいました。
お陰でラフ作成は容易になったものの、「大雑把に全体像を確認する」という大ラフ本来の目的からは脱線してしまいました。これを機に清書までの過程を見直してみようと思います。
手はHatoKing様のトレス素材を使用しています。
・ラフ
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/115416320/picture_pc_04409401dfd4448cb9ec6563f770a1ad.png?width=1200)
大ラフを基に細かい部分を修正・描きこみました。
こちらも普段はもっと大雑把で、色を付けて確認するのも後の段階でやっていたのですが、丁寧にやりすぎてほぼ清書のような描きこみ具合になりました。とはいえ、今までのラフ~清書前下描き過程は正直無駄が多いと感じていたので、次からある程度省略してもいいかなとは思います。
・線画
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/115431859/picture_pc_02ff58cdb65fe71636fec60e89298caf.png?width=1200)
ラフを基に線画を描きます。
普段から線が細くなりがちなので意識的に太めにしました。そのままだと線の主張が強いので後々色トレスして馴染ませます。
■各パーツの振り返り
・髪
最初は前髪をパッツンにしようかと思っていたのですが、頭の丸みを出すのに苦労したので完成形のような髪型にしました。
今までスズカで散々描いてきていますが、パッツン前髪は頭の立体感を出すのが難しく割と苦手だったりします…
・顔
ややアオリ視点なのもあり、顎~首周りの形状でやや苦戦しました。
清書途中までは顎の底面が見えているような形だったのですが、そのままだと顔が面長に見え首もやや太く見える気がしたので、最終的に完成絵のような形になりました。
また、途中で調整したものの、完成絵でも頭全体がやや大きかったかなとも思います。普段から頭を大きめに描いてしまう癖があるので、今後は意識的に小さくしようと思います。
・セーラー服
オーソドックスな夏服セーラーです。
上半身の方は比較的上手くいったように思います。特に全体的に地味な色が多い中でリボンの赤色は目を引くので、リボン部分のシワはかなり丁寧目に描きました。風が吹いている感を出すために襟が靡いているのも地味ながら良いポイントだと思います。
一方でスカートにはかなり苦戦しました。特にお腹の下辺りの部分がどうにも立体感が出ず平面的に見えてしまう感じになってしまいました。あまり目立つ部分ではなかったのが幸いでしょうか。シワも相変わらず難しく、なかなかしっくりくる形にならず大変でした。
・背景
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/115432074/picture_pc_6a4d071d93ace479656a5f90a3fb029a.png?width=1200)
背景は今回のテーマを表現する上で非常に重要になるので、キャラの描きこみと同じくらい力を入れて描きました。
①遠景
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/115416457/picture_pc_b58ba020570a8ddced174d9e8fe27952.png?width=1200)
遠景は夏らしさを感じられる青空にしました。
初期段階では下部のひまわりや山を描く予定はなく、全体的に青っぽい色で統一しようと思っていたのですが、花火大会の暗めでカラフルなカレンダーが全体から浮いてしまう感じがあったので、ひまわりや山を描いて色味を増やすことでそれを解消しました。
空には舞い散るカレンダーとひまわりの花びらを配置しました。カレンダーは発光レイヤーで不透明度を40%程にしたら青半透明のいい感じの雰囲気になりました。使用したブラシは以下のものになります。
また、今回のイラストは下半分に非常に描きこみ要素が多くごちゃごちゃしているため、上半分は逆に要素を少なくしてスッキリさせることで疎密のメリハリをつけるようにしました。
②カレンダー類
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今作のテーマを表現する上でキーとなるカレンダー達です。実際の2023年の日付と曜日になっています。
日付や曜日の文字はテキストで作ったものをラスタライズ後、自由変形させて紙の角度に合わせています。
紙の大枠は以下のブラシを使用しました。今回はこのブラシに非常に助けられたので製作者様には感謝です…
右上にあるのがカレンダー本体で、細かいですが一番下が8月31日になるように枚数や日付を調整しています。同じ紙をコピーしまくって重ね合わせました。
花火のカレンダーは以前skeb絵で花火の絵を描いていたこともあり、比較的スムーズに描けました。カレンダー上部から飛び出すように描いたのがポイントです。細かいですが、下部は花火が水面に反射しているのを描いています。
因みに、日付にした7月28日はとある花火大会が今年開催された日です。数年前に一度行ったことがあったので、この日付にしました。
海のカレンダー内は底から海面を見上げているアングルで、海面の辺りのキラキラ感を出すのに力を入れました。紙の縁の水流は、予め紙の外側にも大きく水色を塗っておき、レイヤーマスクで紙の外を非表示にした後、水流ブラシでマスクを削ることで表現しました。
水流や水飛沫の表現には以下のブラシを使いました。
その他の魚やサンゴ、浮き輪等に使った素材類をまとめておきます。
・加工、エフェクト等
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![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/115416410/picture_pc_9e50835d47bc5beac17da01db31bdb95.png?width=1200)
主な加工ポイントとしては、
・トーンカーブによるコントラスト調整
・薄い青色のエアブラシで空気感の演出
・グロー効果
・下部に水面の模様を追加(近くに水流があるため)
・小さい塵(イラスト全体)
・日差し(イラスト全体)
等があります。
コントラスト調整と薄青の反射光で上手く空気感を表現できたと思います。
■まとめ
今回は初めての一次創作ということで色々苦労した面もありましたが、イラスト全体のテーマ設定や表現、キャラデザなど、二次創作では経験できなかったことも多く勉強になりました。
今作ではキャラクターの出来には満足している一方、やはり背景等にはかなり苦戦したので、絵の制作とは別に背景の勉強も同時並行で進めていく予定です。前に使ってみたいといいつつ結局手を付けていないBlenderにもそろそろ挑戦してみようと思います。
今回の記事は以上になります。最後までお読み頂きありがとうございました!