見出し画像

「BoC'zライス」イラスト制作記事

先日投稿したイラスト「BoC'zライス」の制作記事です。

完成イラスト


■清書までの過程
今回は構想から清書までの全段階を掲載します。

・シルエット

まずはモノクロで大雑把なシルエットと輪郭線を描き、全体的なポーズを決めます。

画像は拡大後のものですが、本来はポーズのアイデアを幾つか小さく描き、気に入ったものを拡大して使用していきます。

今回は以下の公式ビジュアルから着想を得ていたので、ポーズはそれほど迷いませんでした。初期構想では顔は斜め上を向いていて目線だけ下に向ける予定でした。

‪オリィザ‪☆

・カラー大ラフ

シルエットを元に色を付けてみて、大雑把に全体像を把握します。

この時点ではあくまで全体的なイメージが掴めればいいので、細かいバランス等はあまり考えず塗っていきます。帽子も後々3Dモデルを使う予定だったので描いていません。

大ラフは自分がイメージ出来ればいいと思って描いているので毎度のこと超雑なのですが…今後はしっかりした依頼を受けたりする場合も考えて、ラフ段階から他人が見ても全体像がイメージできるようにちゃんと描いていきたいですね。


・人体ラフ

大ラフまでは大雑把でしたが、ここでは大ラフを元にしっかりバランスを考えて人体のラフを描きます。

等身定規と頭の部分に関しては、支援しているイラストレーター様のFANBOXで配布されている3Dオブジェクトを利用しています。定規2枚の間が丁度1等身で、3枚目がウエストの部分、4枚目が股下に来るように配置します。

顔の向きがいまいちしっくり来なかったので、ここで顔が正面を向くように修正しました。


・ラフ

人体ラフを元にその他の部分も含めたラフを描きます。

今回は服が簡単だったので割と綺麗になってますが、普段はこの段階では割と雑めに描いて、細かい部分は次の段階で描き込んだりしています。

手の部分は以下のサイトの画像素材(自由にトレース利用可能)を使用しています。そのままだと角度や指の太さ等が合わなかったりするので多少修正を加えます。

・下描き

ラフをコピーして色を変え、雑だった部分も綺麗にして下描きを作ります。今回は右手の修正や後髪の描き込み等をこの段階でしました。

線画の前段階をどの程度綺麗に描くかは人によると思いますが、個人的には線画の段階で迷いたくないので、下描きはかなり綺麗目に描くようにしています。

色を付けて全体像を確認し、問題なさそうであれば線画に進みます(結局この後に髪や帽子等を修正していますが)。

・線画

下描きを元に線画を描きます。

画像は完成品の線画なので下描き段階から修正している部分もありますが、必ずしも下描き→線画の段階で修正している訳ではなく、色を塗り始めてから違和感に気付いて修正したりもします。

この段階以降の修正は手間がかかるので、本来は下描き段階でほぼ完成に近い線にしておきたいのですが…早く線画に進みたいと思ってまだ微妙なのに線画に入ってしまう悪い癖があります。こうなると結局清書後に修正点が出てきてしまい時間を取られるので、できれば治したいと思っているのですが、中々治せない癖です。

今までは線がやや細すぎた感じがあったので、今回は意識的に線を太めにし、その分色トレスを丁寧にして馴染ませるようにしました(画像は色トレス無しのもの)。


ここからはいつも通り各パーツごとの振り返りになります。

■髪

ライスの絵は11月に描いていましたが、やはり髪型が特殊なこともあって形と塗りの両面で苦戦しました。

公式絵だと後髪の髪束はそれほど多くないのですが、見栄えを重視して多めにしています。また、ライスは横髪と後髪の境界が分かりにくいので、どこから色分けをするか等も個人的に難しいポイントでした。

前回は艶や影の伸ばしに「滑らか水彩」を使用していましたが、いまいち伸び方が綺麗にならないと感じたので今回は「シャープ水彩伸ばし」を使用しました。

理想的な伸び方をしてくれて非常に使いやすかったので、今後はこちらを使用していく予定です。

■帽子

BoC'zロゴは中々良い感じ

上述したように帽子は3Dモデルを使用したものの、頭の形や向きに合わせるのにかなり苦戦しました。

丸みを頭の形に合わせると鍔の部分が合わなくなり、逆に鍔を合わせると丸みが合わなくなったりしたので、それぞれ別モデルを使って描き、後から合わせました。そのため上部と鍔の部分で若干向きに違和感があるようにも見えますが、正直これが限界でした。

BoC'zのロゴは後からブラシで描きましたが、特に違和感なく馴染んだように思います。ラフ途中で顔を正面に向けたのは、斜め上を向いているとロゴの処理が面倒になりそうだなと思ったのも理由の一つだったりします。

■上半身

盛ってない?

公式のイラストだといまいち素材感が分かりにくかったのですが、一応サラサラした感じの素材をイメージしています。その素材感の表現として、クリスタのパーリンノイズを薄く使っています。

具体的にはオーバーレイのレイヤーにスケール1.00(1番左)、振幅2.00(1番右)、減衰0.00(1番左)、その他はデフォルトで、不透明度を4%にしています。また帽子にも同様の処理をしています。

身体のラインがはっきり出る衣装ということで、3月に描いたシービーの絵で身体の凹凸の表現を描いた経験が役に立ちました。普段人体クロッキーをしていると身体の起伏を少なく描いてしまいがちなので、ウエストのくびれ等はやや大袈裟に見えるくらいに描くようにしました。

胸は盛りすぎず盛らなさすぎずを意識しましたが、盛りすぎだ!というお兄さまお姉さまがいたらすみません…

■スカート

服の皺は毎度のこと苦戦していますが、今回は非常にシンプルなデザインだったのでそれ程手間はかかりませんでした。

とはいえ、皺表現はまだまだ下手くそな部類だとは思います。改めて見ると一部影をぼかし過ぎな気もしますね。
やはり影の付け方に自信が無いために誤魔化そうとしてぼかしてしまうと思うので、今後は模写練習等も取り入れて服の皺に対する苦手意識を解消していきたいです。

■肌

肌塗りは服や髪に比べれば非常にやりやすいものの、色味の調整には毎度気を遣います。

絵を見る機器によって色味は若干異なって見えるので、彩度が高すぎず低すぎずの色味にするのは中々難しいなと感じます。
特に今回はベースの影と濃い影とで彩度が結構変わってしまっているため、脚の右側と左側で色味が異なり若干違和感が出てしまっているようにも思います。

光の反射表現として、左肩上部と右脚にノイズのエアブラシを使ってうっすらと白い光を入れています。自然な反射の表現ができているように思えるので、今後もこの表現は使っていけそうです。

手は上述の通り画像素材を元にしているため形自体は綺麗に描けるものの、塗りは毎度苦戦しています。特に手のひら、或いは手の甲の凹凸感を表現するのが難しく、いつもぼかし気味にして誤魔化してしまいがちです。ここは今後の課題として受け止めておきます。

■総評
今回は服装がシンプルだったこともあり、比較的スムーズかつクオリティを維持して完成まで持っていけました。特に人体バランスに関しては今までの絵の中でも1番と言えるほど上手くいったように思います。ポーズに関しても身体のラインの流れを意識して単調さを無くせたように思います。

一方で、スムーズに描けたにしては時間が掛かりすぎているので(約30時間)、やはり各工程の無駄が多かったり、修正回数が多いことによる時間の消費が問題点です。特に修正回数に関しては、全体像を見てバランスをチェックする回数が少ないことで結果的に修正回数が多くなっているように思います。なので今後は今まで以上に細かく全体像を確認し、左右反転によるバランスのチェックも頻繁に挟むことで修正回数を減らしていこうと思います。


P.S.
先日某絵師のトレパク騒動があったこともあり、今回は清書以前の全段階を掲載しました。

タイムラプスも撮りたいのですが、以前撮った時にファイルサイズが物凄く重くなったので(3~5GB程)、それ以来使っていません。ただ各工程でタイムラプスを小分けにすることで対処できるかもしれないので、可能であれば今後撮ってみようと思います。

この記事は以上になります。最後までお読み頂き有難うございました!

いいなと思ったら応援しよう!