SESSIONSに提出したDemoの音楽を解剖します
はじめに
この記事について
デモパーティSESSIONSに参加し、そこでお話を聞くと「音楽が作れないからPC Demo CompoではなくGLSL Compoに提出した」ということを耳にしたので役に立つかはわかりませんが少し記事を書いてみることにします。
・すでにDTMなどをやっている方
サウンドデザインからお読みいただくことを推奨します。
・DTMなど音楽をやっていない方
プログラミングについてはわかりませんが音楽の制作フロー、おすすめモニタリングツールなど紹介します。
自己紹介
はじめましてsolaという者です。作曲をしているものです。FL Studioを使ってます。プログラミングは未経験者に毛が生えた程度(つまり初心者)のため何もわかりません。
SESSIONS
SESSIONSは2023 4/28〜4/30にツインメッセ静岡にて開催されたデモパーティです。
Combined PC Demo Compoで3位とCombined PC Demo Compoで2位を頂きました。
Combined PC Demo CompoはSainaとの共作で映像はSaina、音楽はsolaとなっています。
映像に関しての記事はSainaが投稿しているのでぜひお読みください。
今回はDemoと共作という点からCombined PC Demo Compoに提出した作品についてお話します。
制作フロー
制作までの過程
今回Saina側から一緒に作ろうと誘ってもらい制作が始まりました。
音と映像で作業を分け、制作期間も余裕がないため音と映像を同時進行で制作するに当たりイメージ共有は入念に行いました。
その結果、ボトルメールや海をコンセプトにして製作を行いました。
リファレンスにした曲はSundown - Mestie&Windmanです。音のイメージとジャケットの画像も世界観として参考にしました。
どこから作るか
どこから作るか問題について2種類の「どこから」があると思います。
リズム、メロディー、ハーモニーのどの編成から作るか
Aメロ、サビなど、どのパートから作るか
これを踏まえて作る順番を書いていきます。
ジャンル決定とサビのドラムスケッチ
自分の作曲スタイルはまず作るジャンルを決めるところから始まります。
今回は「遅めのFuturebass」としたためこの段階でリズム(要するにドラム)が決定することになります。
曲のメインとなる部分、つまりサビのリズムを完成させるとサビまでどうやって盛り上げていくか、サビからどう終わるかが少しイメージしやすくなります。
全体のコード進行とイントロを決めて全体の雰囲気を決める
サビのドラムを基準にサビのコード進行から作っていきます。同時にサウンドデザインも行います。
次にサビに入る前の「Dear you I don't know even ones face」というフレーズを録音しました。このタイミングに録音したのはボーカルチョップという手法でメロディーを作りたかったからです。
その次にイントロのコード進行とリードメロディーも作って始まり方を決めていきます。
メロディーはメインでピアノとボーカルチョップを用いてサブでシンセのプラック(短い音)をキーのC#で鳴らしています。
ボーカルチョップはサンプルを直接切って貼っています。
その後間を埋めるようにBメロとアウトロのコード進行を作っていきます。
メロ付けとブラッシュアップ
ここからは苦しくなってきますがメロディーを考えてそれに合うようにコード進行の刻み方やドラムの調整をしていきます。
サビの2週目はボーカルチョップを抜いてColuorBassの要素を足して行くという展開を作って曲全体の構成もブラッシュアップしていきます。
ベースをつけて迫力を出す
ベースは特に言うこともなくコードのルート音を弾いているだけです。
サイドチェーン(キックがなるタイミングでベースの音を下げています)でノリノリにして完成!
サウンドデザイン
サビ前のボーカルフレーズ
これは自分の声です。オートチューンとvocalsynth2でとった気がします。若干ポタロビっぽい…
ちょっとだけフォルマントを高くしてるだけで特にオートチューンはいじってません。
vocalsynth2の方はインサートが残ってなかったのでどんなセッティングかわかりません。多分Edgyあたりのプリセットをいじって使った気がする……
ボーカルチョップ
・赤の部分
実際にボーカル素材を並べ替えたもので無音にしてプロジェクトファイルには残しています。
・緑の部分
赤を書き出してそのまま貼り付けたものです。
・青の部分
赤を書き出して1オクターブ上げたものになります
緑 : 青 = 5 : 7くらいでミックスしてローパスで高域を削っています。
コードシンセのレイヤー
1週目のサビでコードの後ろにアルペジオ的なシンセをレイヤーしています。Vitalで作成しました。ランダムが優秀過ぎます。
Macro1で発音間隔を制御しています。
ミュートになっているランダム2はアルペジエーターを使わないときにONにすれば引いた鍵盤のメジャースケールのランダムな音を出すことができます。
パッチは要望があれば配布しようと思います。
Colourサウンド
サビの2週目はColourBass要素を入れて雰囲気を変えました。
作り方は素直にスーパーソーにボコーダーをかけてグロウルベースでモジュレーションしました。FLユーザーなのでボコーダーはVocodexです。
サビの1週目で使っていたコードシンセにレイヤーする形でcolourサウンドを取り入れたので完全にColourBassにシフトすることなく今までの雰囲気を拭き継ぐことができたのではないでしょうか
Demo制作でも使えそうなモニタリングツール
ダジャレじゃないです
MiniMaters
一応まだ開発途中?(2023/5/2現在v0.8.12)っぽくて自分のwindowsではクラッシュするようになりました。macでは正常に動いてます。
VSTでDAWの音をモニタリングできるモードとデスクトップの音をモニタリングできるモードがあります。macはデスクトップ音声モニタリングはなかった……
でもこういうのは作っちゃう人が多いんですかね?
ちっちゃいウィンドウで常時前面表示ができるので便利です。
Minimaters開発者のわかりやすい動画が載っているツイートを貼っておきます。
おわりに
感想
SESSIONSというDemoscene初心者でも楽しむことができるパーティを開催していただき本当にありがとうございました。
ジェネラティブアート?テクニカルアート?の技術が自分にない中で音源で提出したこともあり、自分が現地に行っても楽しめるのか不安があったのですが、すごい作品をたくさん見たり、それを作った人と直接話すことができる機会というのが新鮮でとても楽しかったです。
次回は勉強して64K目指すぞ~
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