坂道を駆け上がれば、差はできるもので③(終)~そうだとしても~

 長ぇ。相変らず話が長ぇでやんす。

 文章をつい堅苦しく、びっしり書いてしまうものですから、だからこそ読みづらく付き合いずらい記事になっているかもしれないので、ちょっと砕けた文章で自己ツッコミを入れました・・・焼け石に水です、きっと。


〇格差は広がっていくのか

・見つかる人、見つからない人

 櫻坂46が歌番組に出演すれば、毎度数人のメンバーがSNSで話題になります。いわゆる「見つかる」というやつです。
 「見つかる」可能性は、選抜メンバー全員が持っているでしょうが、実際のところ見つかるのは、その時のセンターや、より前の列に立つ一部のメンバーに限られているように見受けられます。
 そして当たり前ですが、その番組に出演していないバックスメンバーは見つかりようがありません。
 いわゆる「見つかる」メンバーは、そもそも既にBuddiesからの人気者であることが多い気がするのですが、それはやはり、Buddiesを惹きつけただけの才能や技術が、Buddies以外の方にも届いているということなのでしょう。
 当然と言えば当然だったかもしれません。Buddies特有の女性の好み、というものはあるかもしれませんが、それがBuddiesでない方と比べて大幅に異なるということもないでしょうから。
 つまり、選抜メンバーとそのフォーメーションを定めるミーグリ売上基準というBuddiesからの人気の指標は、Buddies以外の方へ櫻坂46を訴求する際の参考に足るということでしょう。
 Buddiesにより支持されているメンバーは、世間からの注目も集めやすかろう。ならばそんなメンバーを、歌番組などにおいてより目立てる位置に置いておこう。そうすれば、櫻坂46に興味を持ってくれる人が増えるかもしれない。
 そんな思惑の下、世間から見つかりそうなメンバーを、見つかりやすい位置に配置する。フォーメーションを決めるとはそういう作業なのかもしれません。

・歌番組出演の目的

 櫻坂46が歌番組に出演する目的は何でしょうか。勿論、新曲のプロモーションでしょう。では誰に対するプロモーションでしょうか。
 私は、櫻坂46が歌番組に出演する目的は、現在Buddiesではない、櫻坂46をまだあまりよく知らない、未来のご新規ファンになってくれるかもしれない方々へ向けて楽曲とメンバーをプロモーションすることではないかと思うのです。
 その歌番組を他のアーティスト目当てに見ている方に、もののついでに櫻坂46を見てもらい、知ってもらうために歌番組に出演しているのだと。
 既存Buddiesに向けて出演しているということはないでしょう。
 そもそも既存Buddiesは、新曲発表情報をいち早く知っていますし、CDなり配信なりで楽曲を聞いているでしょうし、MVだって見ているでしょうし、グループ内にどんなメンバーがいるかも知っていますし、グループがどんな活動をしているかを知っています。既存Buddiesに「宣伝」をする理由はほとんどありません。
 歌番組に出ることで、既存Buddiesがその番組を見て視聴率に貢献することだってあるでしょうし、番組に出ている選抜メンバーファンの喜びにも繋がる、一種のファンサービス的要素もあるでしょうが、それはあくまで副次的なものであるはずです。
 
 歌番組で歌うのは、最も売り出したい最新CDの表題曲。当然出演はその選抜メンバーになります。
 選抜メンバーとは、ミーグリに参加するようなコアなファン一同に選ばれた面々です。そしてそれはBuddies全体からの人気の傾向であり、Buddies以外の方にも受けるのではないかと推測される面々です。
 「バックスメンバーに、バックス楽曲をもって歌番組に出演してほしい」「選抜、非選抜と区別せず、両A面として楽曲を出し、両チームに歌番組に出演してほしい。」ファンのそんなご意見も、たまに耳にします。
 私もとても共感できる気持ちなのですが、運営目線を想像すると、この手法を取る理由は無いのだろうことも理解できます。
 歌番組出演の最大の目的を新規ファンの獲得、グループの宣伝と考えるならば。
 選抜メンバーこそまだBuddiesでない方にも受けやすそう、というミーグリ売上基準という根拠を持った目算がある。しかし、まだBuddiesでない方がいつどの歌番組を見てくれるかは分からない。
 とすると、そんな方に櫻坂46を見てもらえる可能性、その上で興味を持ってもらえる可能性を少しでも高めようと思えば、プロモーションシーズンにおける歌番組の出演を常に選抜メンバーをもって行うというのは、全く合理的な判断だと思うのです。

・広がる格差

 選抜メンバーの顔触れが、シングルごとに極端に変わるということはありません。ミーグリ売上基準≒ファンからの人気でメンバーを選抜しており、またそのファンが一途で義理堅いからです。
 よって、常に選抜に名を連ねるメンバーと、およそバックスであり続けるメンバーが存在することになります。
 選抜常連メンバーは櫻坂46の全楽曲の中においても出演楽曲が多いということになり、歌番組の出演、そしてライブの出演楽曲数も必然多くなります。
 フォーメーションの中核を担うメンバーが多くの楽曲において共通する、ということは、海外公演などにおいて案外便利なのかもしれません。
 海外公演においてはメンバー全員ではなく、その時の選抜メンバーを中心に限られた人数で参加していることが多いようです。その人数が先方からの希望なのか、運営の経済的な理由なのかは分かりませんが、とにかく限られています。
 その限られたメンバーで披露する楽曲について考えてみると、名刺代わりの表題曲、人気楽曲、そういった需要に応えた楽曲をぜひともライブで披露したい時、その各楽曲の核を担うメンバーがおよそ共通するならば、メンバーとフォーメーションの変更は最小限で済みます。
 不参加メンバーの穴を埋めるメンバーは大変かもしれませんが、中心メンバー、参加楽曲数の多いメンバーの負担を少しは和らげることができるのかもしれません。

 選抜メンバー、バックスメンバーは、選ばれ分けられた時から、その差がどんどんと広がっていくのではないかと思うのです。
 差。それは人気差に限らず、アイドルとしての経験の差であり、アイドル人生、芸能人人生の濃度の差です。延いては人生経験の差であり、思い出の差になっているかもしれません。

 選抜メンバー、その常連ともなれば、常に歌番組に出演することになります。当然、バックスメンバーよりも世間から認知される可能性、新たなファンを獲得できる可能性は高くなります。
 新たなファンが、見つけたその子を推しと定めたら、その視線を、熱意を、愛着を別のメンバーに向けてもらうのは困難になります。ファンの肉体的・精神的・経済的リソースは1推しに偏るからです。人気差は広がる一方でしょう。

 ライブにおいても出演楽曲数が多く、選抜常連メンバーの大舞台の経験回数は、バックスメンバーを大きく上回るでしょう。
 フェス、海外公演においても出演数が多く、まだ櫻坂46を知らない方に向けてパフォーマンスをするその緊張感は彼女らにとって貴重な経験でしょう。
 そういった経験の積み重ねが、選抜に選ばれるほどの彼女らの才能を更に磨いているかもしれません。
 メンバー全員のアイドルとしての、アーティストとしてのポテンシャルがほとんど変わらなかったとしても、ほんの少しの差が選抜経験の回数差に繋がり、そして彼女らのアイドル、アーティストとしての実力差に繋がっていく。そんな連鎖が、もしかしたらあるのではないでしょうか。

 また、歌番組においては、時には他アーティストとのコラボもあります。他アーティストと共に同じステージに立ち、自分たち以外の曲を歌って踊る、彼らと交流する。それもまたアイドル、アーティストとしての貴重な経験でしょう。
 しかしそれ以前に、紅白歌合戦に出演する、今人気の楽曲を共に歌える、あの憧れのアーティストの間近に迫れる、そんな経験は、一人の人間としての大切な思い出になるのではないでしょうか。
 最近は海外公演の度に彼女らの舞台裏の様子がYouTubeチャンネルにて見ることができます。ライブは勿論のこと、その合間に街を散策し、皆で美味しい食事を楽しむ彼女たちの、何とも楽しそうなこと。
 微笑ましい反面、少し切なくなります。バックスメンバーは、この経験ができない、ないし少ないわけです。
 海外旅行なんて、個人でいくらでも行けるでしょう。しかし、修学旅行のような友達みんなで連れ立っていく旅行は、やはり特別な思い出です。
 散策も食事も、海外公演に参加したメンバーにとって仕事の合間の余暇。とはいえ、新鮮な景色を気心知れた仲間と共に楽しめるというのは、きっと格別です。
 あのライブは大変だったね。でも、あそこは綺麗だったね。あれ美味しかったよね。あの時あんなことがあったよね。
 それは共に海外に行ったメンバーだけが共有できる思い出。バックスメンバーが分かち合えないだろうそれは、人生経験の差かもしれません。
 メンバーそれぞれに人生があり、個々人で仕事の内容も違います。ですから、個々人の経験も思い出も当然少しずつ違います。ただ集団単位、選抜とバックスという二分された単位で、経験や思い出に差があり、共有できないものがある。
 当人らはそんな事全然気にしていないのかもしれませんが、彼女らを遠目に見るひとりのおじさんBuddiesとしては、それが何だか少し寂しいのです。

 出演数、舞台数を偏らせているのは、彼女らに差を付け、その差が広がる恐れを強いているのは、いわゆる運営です。しかしこれもまた当然の判断だと言えるでしょう。
 選抜メンバーが野球で言うところの先発メンバーなら、選抜メンバーは打てそうだから(売れそうだから)打席に送ったということです。そして事実打てているから、世間に見つかり、新たなファンを獲得しているから、また打席に立たせる。
 選抜メンバーが経験する大きなステージも、素敵な思い出も、グループの発展により寄与してくれた、会社により利益をもたらしてくれた彼女らへのご褒美である、とも言えるかもしれません。
 ライブにおいて選抜メンバーの登場回数が多いのは、ファンの需要にもマッチしています。
 選抜メンバーは人気で選ばれたメンバーですから「選抜メンバーを推しているファンの数>バックスメンバーを推しているファンの数」です。選抜メンバーにより登場してほしいと思っているファンの数の方が、会場には多いのではないでしょうか。
 また歌番組、フェス、海外公演、そういった場でBuddies以外の方々にグループをアピールしてきたのも選抜メンバーであり、そこでのパフォーマンスをきっかけに櫻坂46のファンになってくれた方はつまり、選抜メンバーを推してくれている可能性が高いと思うのです。
 選抜メンバーに出演を偏らせる。それは、この度はじめて櫻坂46のライブに来てくれた、そんな新規ファンの需要により応えることにもなると思います。
 そして選抜メンバーがそうやって打ってくれるほど、そのメンバーで世間にアピールし、新たなファンを喜ばせてくれるほど、バックスメンバーの割り込む余地は少なくなります。

 上述の「打てそうだ」とは、つまりミーグリ売上の結果です。裏を返せば、ミーグリ売上が高ければ、打てそうだと思わせられれば、バックスメンバーにも選抜のチャンスが巡ってくるかもしれない、ということになります。
 つまり、選抜メンバーを選抜させたのは、バックスメンバーをバックスに追いやったのはBuddies自身とも言えます。
 勿論正しくは、メンバーを選出するのは運営です。しかしその選出基準はミーグリの売上です(100%それしか考慮されていないわけではありませんが)。
 櫻坂46発足以来一貫してその基準に基づかれ、その基準はファンにも周知され、実際に推しの選抜入りを期待した購買行動をファンは取っています。
即ち、選抜メンバーは、バックスメンバーは、Buddies自身が選出しているも同義と言えるでしょう。
 Buddiesそれぞれが一番会いたい推しに会いに行き、彼女らを選抜させんと応援する。運営は、グループをより多くの人に知ってもらい、興味を持ってもらい、より多くのファンを獲得し、より多くの利益を獲得する。
 櫻坂46に関わる人々が、自分にとって最も合理的な選択を採った結果が選抜結果であり、その結果がメンバー間に格差を生んでいると言ってもよいのではないでしょうか。

 運営の戦略、メンバーの選抜方法は合理的ではない、間違っている。そんな指摘が正しい場合とはきっと、Buddiesの趣向がBuddies以外の方々の趣向と大きくかけ離れている場合です。
 Buddiesにより好まれるメンバーが世間受けしないなら、Buddiesの意見が反映されたミーグリ売上を参考にした選抜メンバー選出と、その選抜メンバーを中心としたグループの売り出しは功を奏しません。
 しかし現在、櫻坂46グループ全体の人気は拡大し、その活躍の範囲を広げています。この結果に至った運営の手腕を、私は否定できません。
 もっと素晴らしい人選が、戦略があったのかもしれませんが、それをファンの立場から語っても、内実を知らない人間の仮定で架空のお話になってしまうでしょう。

・バックスライブの位置づけ

 選抜メンバーが多様な経験を経る一方、バックスメンバーにはバックスメンバー固有のステージ、選抜メンバーには味わえない経験、バックスライブがあります。
 もしかしたらグループ全体のライブよりも熱狂的なそのライブ、観客の満足度という点においては全体のライブよりも高いかもしれないそのライブはしかし、やはり内向き、既にBuddiesである方々向けのものでしかなかろうとも思います。
 新規のファン程、選抜メンバーを推しやすく、どうしてもバックスメンバーへの注目は集まりづらい。仮に箱推し寄りのファンであっても、財布の中身を勘案した時、推しが出演していないライブは優先順位が低くなる。
 ライブの内容自体、その楽しさがバックスメンバーについて深く知っているほどに楽しい性質を有していますから、やはりバックスライブの最大のターゲットは、バックスメンバー推しのBuddiesなのでしょう。

 バックスメンバーとは、あくまで相対的に、まだ櫻坂46を知らない方に対する訴求力が選抜メンバー比べて低いと判断された方々です。これは運営が、Buddiesの意見を参考にして下した判断でしょう。
 グループ本体のライブやフェス出演はニュース番組の芸能コーナーで紹介されても、バックスライブが紹介された覚えはあまりありません。それはバックスメンバーやバックスライブ自体を外向けにアピールする効果は薄いと思われているからではないでしょうか。
 大きく宣伝せず、会場は小さく、セットも簡素に。それでもライブの内容で観客たちは満足する。バックスライブの費用対効果は高そうです。
 その「効果」には、バックスメンバーと選抜メンバーとの活躍の差に不満を持つ方のガス抜き、というのも含まれているかもしれません。
 そしてその効果は実際に高いのでしょう。私含めて、バックスメンバー推しのBuddies、運営からちょろいと思われているかもしれませんし、事実そうでしょう。
 運営、さすがに商売上手です。Buddiesの数を増やしつつ、選抜、バックス二種類いる既存Buddiesの需要を、同時に同じライブで、ではなくライブ自体に種類を設けることで満たす。
 メンバーの活躍の差に対し、Buddiesからの不満、意見はちらほらあるでしょう、しかしそれが爆発しないギリギリのラインをキープしながら、メンバーに投ずるリソースに差を付け、人気に差を付け、それがBuddiesの数を増やし、利益を増やすことに繋がるのですから。
 バックスライブとは、バックスメンバー推しに対する運営からの交渉材料だったのかもしれません。これを設けるから人気差、活躍差には我慢してくれと。
 バックスライブなどいらないのだ。それよりも彼女らを等しく扱い、活躍の場を、人気を得られるチャンスを等しくなるようにしてくれないか。ファンがそれくらい強気な態度に出られれば、現状は変わったでしょうか。
 いや、きっとそうはならないのでしょう。
 運営は売り手、商品を用意する側です。不満があるなら応援してくれなくて結構、それくらい横柄な、いや客商売においてはまっとうな態度もとれる運営にとって、バックスライブというバックスメンバーファンに向けた商品の提供は、バックスメンバーファンを繋ぎ止め更なる利益を獲得するあこぎな戦略でもあるでしょう。
 同時に、バックスメンバーに活躍の機会を与え、更なる人気を得る機会を与え、バックスメンバー推しにとって推しの活躍を見る機会を与える、メンバーとファンに対する温情的な側面もあると言えそうです。

 その温情で、バックスメンバーはバックスライブを通じて、アイドル、アーティストとしての経験を重ね技量を高めることができるでしょう。しかし、あくまで既存Buddiesに向けたもの、Buddies以外も相手取る選抜メンバーとの経験と同質ではないでしょう(バックスメンバー、バックスライブの方が既存Buddiesのツボを心得ている、とも言えますが)。
 メンバーにとって自らのファンを増やし得る場、延いては選抜メンバー入りを手繰りよせる場かもしれませんが、対象がおよそ既存Buddiesとなるとレッドオーシャン、競争相手が多く、パイ自体も小さいのですから更なる人気獲得は容易ではなく、結局、新規に向いている選抜メンバーとの差は大きいままになってしまうのではないかとも思うのです。

〇それでも上を目指すなら

 どうやらメンバーが人気の序列を上げるのは、1列でも前に行き、バックスメンバーが選抜メンバーになることは櫻坂46の運営構造上難しいようなのです。
 しかもまもなく四期生がやってきます。この先運営は、今まで二期生、三期生に投じていた資源を引き上げて四期生にそれを投じるでしょう。多くの方にとっての、四期生のファンになるきっかけを作るために。
 四期生は、二期生よりも、そして気が早いとはいえ三期生よりも、グループ在籍期間が長いはず。彼女らに投資し、売り出し、ファンを付けることは、より早く選抜メンバー、グループの中心メンバー、世間へアピールできるメンバーにすることは、櫻坂46をより大きくし、より高みに至らせ、より長く存続させるためにも必要なことだからです。

 即ち、現在選抜に立つメンバーも、その立場が安泰と言えるメンバーはごく限られるでしょう。そしてバックスメンバーが選抜メンバーになることはさらに難しくなるでしょう。
 歌番組にせよライブにせよ、現選抜に比べてアピールの場、きっかけとなる場が少なく、そしてこの先四期生に比べても少なくなりかねない。運営から積極的に推される機会が少なくなりかねない。
 それでもバックスメンバーが今以上の人気を獲得し、選抜入りを目指すなら、どんなことに取り組めばいいのでしょうか。

 私はその一つが、メンバーが一タレントとして確立すること、具体的に言えば外番組出演を自らの魅力で獲得し、継続的に出演することではないかと思います。
 既存Buddiesからの票は期待できない、ならば三期生がそうであったように新規ファンをターゲットにする。しかし現在の立場では、歌番組に出演して「見つけてもらう」こともできず、全体ライブやフェスで新規ファンにアピールできる機会も少ない。
 とすると、Buddies以外の方へのアピールの場は外番組、番組でなくとも外向けの広報活動になってくるのではないかと思うのです。
 それも、櫻坂46の誰か、という人気メンバーが優先されそうなオファーではなく、あなただから来て欲しいと言われるようなオファーです。
 大沼さんを例にすれば、船舶免許を持っていたから出演できた「しらせ」の特集や、上田晋也さんのファンだから出演できた「くりぃむナンタラ」などになります。
 ゲームが好きでも、特定のスポーツが得意でも何でもよいでしょう。それが理由でお試し的に出演できた上で、その番組にハマるような言動、行動をしたことで継続的にゲスト出演できるようになれれば、継続的にその番組を見てくださる方にその存在をアピールできます。
 その番組を見てくれた皆が皆、即Buddiesになるわけはなく、地道過ぎる努力ですが、世間からの認知度、世間への広報力は、選抜入りにおいては侮れません。我が推し、松田里奈さんの選抜入り最大の理由は、そこではないかと私は推察しています。
 そういった番組に出演できるように、まずは内向き、運営向き、既存Buddies向けに、自らの個性、というより才能や特技を、今まで以上に、今までとは違う方法でアピールしていかねばならないのではないでしょうか。
 まぁ、言うは易しです。
 これは名案、妙案というより、もうそれくらいしか手が無いのではないかという、どちらかと言えば消極的、悲観的アイディアです。

 しかし、櫻坂46在籍中のことばかりでなく、卒業後も芸能活動をすると仮定した上で先々まで視野を延ばせば、一タレントとして確立することはより意義深いはずです。
 それだって在籍中の人気メンバーこそチャンスは多いでしょうが、在籍中の序列が卒業後の活躍を保証するものではないことも、歌、ダンス、ファン人気、総合したアイドル力よりも面白がられるタレント力が物を言うことは多くの諸先輩方が示しています。
 卒業後、アイドルをしていたとき以上に芸能人として売れる。それが在籍中の現在の彼女たちの本懐とは思えませんが、長い人生を後から振り返った時には意味のあることだった思えるのではないでしょうか。
 一タレントとなった未来から見れば、現在の格差というものもあまり気にならなくなり、一タレントとして、多様な思い出も人生経験も重ねることができるでしょう。

〇ファンの心構え

 さて、グループの現状や特定メンバーの現状についてあれこれ分析し、現状は運営の戦略含め多くの要素が絡み合っている、ある意味致し方ない状態なのだと語ってきましたが。
 それは、櫻坂46というアイドルグループでの生存競争における前提条件、環境条件の説明でしかなかったかもしれません。

 個人的に、アイドルを応援するにあたり忘れてはならないことは、全てはアイドル自身の選択と努力の結果である、と心得ることだと思うのです。
 芸能界とは、もっと狭く捉えてアイドル業界とは、一つのアイドルグループとは、とんでもない才能を持った人間たちが研鑽を重ね、それでいて運を引き寄せて、やっと人気者になれる、人から求めてもらえる人材になれる業界ではないでしょうか。
 運営の采配は確かに残酷です。しかしそうでなければ、運営がアイドルグループを運営することもままならず、グループ内で一際輝く才能を世に送り出すこともできないでしょう。
 そして厳しい業界、厳しい運営の誰かから、強要されない限りにおいて、アイドル自身が自らの価値を高める努力ができるかどうか。アイドル業界もまた、料理人や大工のような職人気質の業界なのでしょう。
 怪我のリスクを増してまで毎夜ダンスの練習に勤しみ、国内海外を飛び回ってライブをし、テレビに出て、イベントに出て、ミーグリなどのファンサービスもする。
 それらがこなせるよう自らの体を鍛え、管理し、あるいはそこまでやっても壊れない肉体や精神を先天的に有している人間。
 それでいて、テレビで重宝されるような能力、ドラマに起用されるような演技力、それらも磨き、あるいは既にそんな才能を兼ね備えた人間。
 かつ、誰もが振り返る美貌を持ち、多くの人に好かれるアイドルを演じられる、あるいは根っからその素養を持っている人間。
 ありとあらゆる要素を持ったうえで、運が味方する、そんな一握りの人間が掴める栄誉。それがアイドルグループにおいては選抜、もっと言えばセンターポジションではないでしょうか。
 選抜される、センターに立つ。それは才能と努力と運の結果です。そうではないメンバーの努力が足りないわけではないでしょうが、努力だけで辿り着ける場所でもないはずです。
 自分の力だけではどうしようもない、どうしようもない要素まで含めて結果に差がつく超競争社会、そこに身を投じたのは彼女たち自身です。
 あるメンバーが立っている場所が日の目が少ないところだとしても、それはそのメンバー自らが招いた結果だと思います。
 決してファンのせいではありません。もっと応援してあげれば、ミーグリを買ってあげれば選抜になれたかも。そんな後悔は筋違いでお門違いです。
 確かにファンの応援あってこそ選抜になれるでしょう。しかしそれだけの人気を集めて見せたのは、メンバー自身の才能と努力と運の賜物に違いありません。事の発端、因果の始まりは、やはりメンバー自身にあると思うのです。

 メンバーのその立ち位置は、彼女自身が辿り着いた結果、彼女自身が掴んだ結果とも言えます。
 その才能でもって数百倍という倍率を勝ち抜きグループ入りし、その努力でもってメンバーであり続けました。過酷極まるその環境を耐え抜き、脱退することなく今もグループに在籍している。その時点で傑物かもしれません。
 M-1グランプリ決勝戦で最下位になってしまった漫才師は、まるで日本一つまらない漫才師の様に見えるかもしれませんが、実際には、その年の日本10位の漫才師です。
 同様に、選抜メンバーに至れない位のミーグリ売上だったとしても、ミーグリ売上から類推し、ライブ会場で推しメンタオルを掲げている人の数から類推すれば、そのメンバーの人気ぶりは、実は結構なものであることが分かります。
 櫻坂46メンバーならば、たった一人でも、並の芸人の単独ライブなら、それを超える集客が可能でしょう。それくらい多くの人に会いたいと思わせている、それがそのメンバーの実力です。

 ファンにとって、と言いますか推し活にとって大事なこと、それはきっと、アイドル個人の領分にあたる問題についてファンは意見せず、手を出さず、ファン個人の問題についてだけ考えること。
 一つ例として思い浮かんだのは、推しメンの努力を見ていてあげることだと思います。
 推しメンが、大きな大きな舞台の中に、ほんの一時しか立てなかったとしても。時には舞台に上がることもできず、その出演が限られていたとしても。推しメンの雄姿をちゃんと見つけて褒めてあげること。
 至ったその場所がどれほど凄い場所か、成していることがどれ程凄いことか。推しメン自身が結果に悔しがり、納得できなかったとしても、ファンだけは結果に至る努力も工夫も称え、結果の凄さを客観的に捉えてあげること。
 ファンに求められるのは、そんな理想的な親心じみた愛着ようなファン心理ではなかろうかと思うのです。
 「私の推しメンが冷遇されてる。運営が悪いのよ、業界が悪いのよ。」そんな見方、言い方をしてしまうと、まるでモンスターペアレントのようですから。我が子もといメンバーも、職場に居づらくなってしまいますから。
 苦言とあれば内容を精査して、言葉を選んで、メンバーの立場を慮って発した方がよろしいかと思います。それ以上に、彼女自身の選択と、その厳しい道を歩む彼女自身に着目し、誰とも比較せずに評価すること。
 そうすればもっと気持ちよく推し活できると思うのですが、いかがでしょうか。
 バックスメンバー推しの私が、自分を納得させるための詭弁を弄して予防線を張り、言い訳をしているようにも聞こえるかもしれませんね。

〇最後に

 年明けから少しずつ書き溜めた記事もやっとその筆を置けそうですが、ぐずぐずしていたその内に、ニューシングルの発表が、新たなミーグリ、選抜争いの幕が切られてしまいました。
 さて、まずもってこの度の選抜メンバーはどんな顔ぶれでしょうか。そしてこの度のミーグリ売上はどんな結果を見せるでしょうか。
 例えば従来と大差ない選抜メンバーとミーグリ売上だったとしたら、それはそれで、今までの選抜メンバーが期待通りの成果を上げたということで、今後もグループは盤石であることを表すのかもしれません。
 しかしながら、天地がひっくり返ったような選抜結果、ミーグリ売上になってくれたら。私がつらつらと書き連ねた薄弱な理屈が打ち砕かれるような結果になってくれたらと、淡く期待もしています。
 いずれにせよ選抜というのはどうしても、不安込々でワクワクしてしまうものです。

 この度の様に、ファンでありながらも一歩引いた目線に立てば、推しが選抜に入れずとも、運営の采配に思うところがあったとしても、怒ったり悲しんだりということも少なくなるでしょう。ただそこにある現実を淡々と受け入れればよいのですから。
 反面、仮に推しが選抜入りした時の喜びも、実はそんなに大きくなくなってしまうのかもしれません。ローリスクローリターンというところでしょうか。
 対して、グループを一層盛り上げようと、推しを選抜に押し上げようと精一杯応援し、その活動に、そして選抜結果に一喜一憂し、今の運営の在り方、商売方法などにも文句を言いたくなるくらいに熱い。そんなBuddiesは推し活の中での苦しみも多いでしょうが、しかしグループ・推しの活躍、推しの成果に対して得られる喜びの大きさも尋常ではないのでしょう。
 より幸せなのは、果たしてどちらなんでしょうか。


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